質量 $m$ の荷物を載せた質量 $M$ のトラックが、長さ $L$、傾斜角 $\theta$ の斜面を登る問題を考える。 (i) 加速度 $a$ で登る時の荷物に働く摩擦力 $f$ を求める。 (ii) 荷物が滑り落ちない加速度 $a$ の上限 $a_{max}$ を求める。 (iii) 加速度 $a$ で登るのに必要な駆動力 $F$ を求める。 (iv) 駆動力が $F_0 > (m+M)g\sin\theta$ の時、斜面の上端に達する時刻 $t_e$ と速さ $v_e$ を $a$ を使わずに求める。 (v) トラックが斜面から飛び出した後の運動について、荷物に働く垂直抗力と摩擦力を考察する。 (vi) 坂の途中で駆動力をゼロにし、斜面の上端でトラックが停止するようにする。荷物はトラックと一体であるとし、 (a) 駆動力をゼロにする時刻を $t_1$ とし、$t < t_1$ および $t_1 < t$ における運動方程式を書く。 (b) 時刻 $t_1 < t$ の範囲にあるとき、時刻 $t$ における速度 $v(t)$ を求める。 (c) $v(t)=0$ となる時刻を $t_2$ とすると、$t_2 - t_1 = \frac{v(t_1)}{g\sin\theta}$ を示す。 (d) 時刻 $t_2$ で斜面の上端に到着すると考えて、$t_1$ を求める。

応用数学運動方程式力学加速度摩擦力等加速度運動
2025/5/24

1. 問題の内容

質量 mm の荷物を載せた質量 MM のトラックが、長さ LL、傾斜角 θ\theta の斜面を登る問題を考える。
(i) 加速度 aa で登る時の荷物に働く摩擦力 ff を求める。
(ii) 荷物が滑り落ちない加速度 aa の上限 amaxa_{max} を求める。
(iii) 加速度 aa で登るのに必要な駆動力 FF を求める。
(iv) 駆動力が F0>(m+M)gsinθF_0 > (m+M)g\sin\theta の時、斜面の上端に達する時刻 tet_e と速さ vev_eaa を使わずに求める。
(v) トラックが斜面から飛び出した後の運動について、荷物に働く垂直抗力と摩擦力を考察する。
(vi) 坂の途中で駆動力をゼロにし、斜面の上端でトラックが停止するようにする。荷物はトラックと一体であるとし、
(a) 駆動力をゼロにする時刻を t1t_1 とし、t<t1t < t_1 および t1<tt_1 < t における運動方程式を書く。
(b) 時刻 t1<tt_1 < t の範囲にあるとき、時刻 tt における速度 v(t)v(t) を求める。
(c) v(t)=0v(t)=0 となる時刻を t2t_2 とすると、t2t1=v(t1)gsinθt_2 - t_1 = \frac{v(t_1)}{g\sin\theta} を示す。
(d) 時刻 t2t_2 で斜面の上端に到着すると考えて、t1t_1 を求める。

2. 解き方の手順

(i) 荷物には重力 mgmg、垂直抗力、摩擦力 ff が働く。斜面に沿った方向の運動方程式は
ma=fmgsinθma = f - mg\sin\theta
より、
f=m(a+gsinθ)f = m(a+g\sin\theta)
(ii) 荷物が滑り落ちないためには、摩擦力 ff が最大静止摩擦力 μmgcosθ\mu mg\cos\theta 以下である必要がある。つまり、
fμmgcosθf \le \mu mg\cos\theta
m(a+gsinθ)μmgcosθm(a+g\sin\theta) \le \mu mg\cos\theta
aμgcosθgsinθa \le \mu g\cos\theta - g\sin\theta
よって、
amax=μgcosθgsinθa_{max} = \mu g\cos\theta - g\sin\theta
(iii) トラックと荷物全体には、重力 (M+m)g(M+m)g、垂直抗力、駆動力 FF が働く。斜面に沿った方向の運動方程式は
(M+m)a=F(M+m)gsinθ(M+m)a = F - (M+m)g\sin\theta
より、
F=(M+m)(a+gsinθ)F = (M+m)(a+g\sin\theta)
(iv) 等加速度運動の公式より、v2v02=2a(xx0)v^2 - v_0^2 = 2a(x-x_0) を用いる。初期条件は t=0t=0x0=0,v0=0x_0=0, v_0=0 であり、x=Lx=L での速度を vev_e とする。よって、
ve2=2aLv_e^2 = 2aL
ve=2aLv_e = \sqrt{2aL}
F0=(M+m)(a+gsinθ)F_0 = (M+m)(a+g\sin\theta) より a=F0M+mgsinθa = \frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta であるから、
ve=2L(F0M+mgsinθ)v_e = \sqrt{2L(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)}
等加速度運動の公式より、x=x0+v0t+12at2x = x_0 + v_0 t + \frac{1}{2}at^2 を用いる。x=Lx=L となる時刻を tet_e とすると、
L=12ate2L = \frac{1}{2}at_e^2
te=2La=2LF0M+mgsinθt_e = \sqrt{\frac{2L}{a}} = \sqrt{\frac{2L}{\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta}}
(v) トラックが斜面の端から飛び出した後は、垂直抗力と摩擦力はゼロになる。荷物には重力のみが働く。
(vi)
(a) t<t1t < t_1 では、運動方程式は
(M+m)dvdt=F0(M+m)gsinθ(M+m)\frac{dv}{dt} = F_0 - (M+m)g\sin\theta
t1<tt_1 < t では、運動方程式は
(M+m)dvdt=(M+m)gsinθ(M+m)\frac{dv}{dt} = - (M+m)g\sin\theta
(b) t1<tt_1 < t における速度 v(t)v(t) を求める。
v(t)=dvdtdt=gsinθdt=gsinθt+Cv(t) = \int \frac{dv}{dt} dt = \int -g\sin\theta dt = -g\sin\theta t + C
v(t1)=gsinθt1+Cv(t_1) = -g\sin\theta t_1 + C より C=v(t1)+gsinθt1C = v(t_1) + g\sin\theta t_1
よって、v(t)=gsinθt+v(t1)+gsinθt1=v(t1)gsinθ(tt1)v(t) = -g\sin\theta t + v(t_1) + g\sin\theta t_1 = v(t_1) - g\sin\theta(t-t_1)
(c) v(t)=0v(t) = 0 となる時刻 t2t_2 を求める。
0=v(t1)gsinθ(t2t1)0 = v(t_1) - g\sin\theta(t_2-t_1)
t2t1=v(t1)gsinθt_2 - t_1 = \frac{v(t_1)}{g\sin\theta}
(d) v(t1)v(t_1) を求める。t=0t=0 から t=t1t=t_1 まで等加速度運動をするので、
v(t1)=at1=(F0M+mgsinθ)t1v(t_1) = at_1 = (\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)t_1
t2t_2 で斜面の上端に到着するには、t1t_1 から t2t_2 の間の移動距離が L12at12L - \frac{1}{2}a t_1^2 でなければならない。
L12at12=v(t1)(t2t1)+12(gsinθ)(t2t1)2L - \frac{1}{2}at_1^2 = v(t_1)(t_2 - t_1) + \frac{1}{2}(-g\sin\theta)(t_2 - t_1)^2
L12at12=v(t1)(v(t1)gsinθ)12gsinθ(v(t1)gsinθ)2L - \frac{1}{2}at_1^2 = v(t_1)(\frac{v(t_1)}{g\sin\theta}) - \frac{1}{2}g\sin\theta(\frac{v(t_1)}{g\sin\theta})^2
L12at12=v(t1)2gsinθv(t1)22gsinθ=v(t1)22gsinθL - \frac{1}{2}at_1^2 = \frac{v(t_1)^2}{g\sin\theta} - \frac{v(t_1)^2}{2g\sin\theta} = \frac{v(t_1)^2}{2g\sin\theta}
v(t1)2=2gsinθ(L12at12)v(t_1)^2 = 2g\sin\theta (L - \frac{1}{2}at_1^2)
(F0M+mgsinθ)2t12=2gsinθ(L12(F0M+mgsinθ)t12)(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)^2 t_1^2 = 2g\sin\theta (L - \frac{1}{2}(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)t_1^2)
(F0M+mgsinθ)2t12=2gsinθLgsinθ(F0M+mgsinθ)t12(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)^2 t_1^2 = 2g\sin\theta L - g\sin\theta(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)t_1^2
[(F0M+mgsinθ)2+gsinθ(F0M+mgsinθ)]t12=2gsinθL[(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)^2 + g\sin\theta(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)]t_1^2 = 2g\sin\theta L
(F0M+mgsinθ)(F0M+m)t12=2gsinθL(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)(\frac{F_0}{M+m})t_1^2 = 2g\sin\theta L
t12=2gsinθL(F0M+mgsinθ)(F0M+m)t_1^2 = \frac{2g\sin\theta L}{(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)(\frac{F_0}{M+m})}
t1=2gsinθL(F0M+mgsinθ)(F0M+m)t_1 = \sqrt{\frac{2g\sin\theta L}{(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)(\frac{F_0}{M+m})}}

3. 最終的な答え

(i) f=m(a+gsinθ)f = m(a+g\sin\theta)
(ii) amax=μgcosθgsinθa_{max} = \mu g\cos\theta - g\sin\theta
(iii) F=(M+m)(a+gsinθ)F = (M+m)(a+g\sin\theta)
(iv) te=2LF0M+mgsinθt_e = \sqrt{\frac{2L}{\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta}}, ve=2L(F0M+mgsinθ)v_e = \sqrt{2L(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)}
(v) 垂直抗力と摩擦力はゼロになる。
(vi)
(a) t<t1t < t_1: (M+m)dvdt=F0(M+m)gsinθ(M+m)\frac{dv}{dt} = F_0 - (M+m)g\sin\theta, t1<tt_1 < t: (M+m)dvdt=(M+m)gsinθ(M+m)\frac{dv}{dt} = - (M+m)g\sin\theta
(b) v(t)=v(t1)gsinθ(tt1)v(t) = v(t_1) - g\sin\theta(t-t_1)
(c) t2t1=v(t1)gsinθt_2 - t_1 = \frac{v(t_1)}{g\sin\theta}
(d) t1=2gsinθL(F0M+mgsinθ)(F0M+m)t_1 = \sqrt{\frac{2g\sin\theta L}{(\frac{F_0}{M+m} - g\sin\theta)(\frac{F_0}{M+m})}}

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