半径2の円周上を運動する質点AとBについて、それぞれの位置ベクトルが与えられている。 質点Aの位置ベクトルは $r^A(t) = 2(\cos(\frac{\pi t}{3} - \frac{\pi}{6})i + \sin(\frac{\pi t}{3} - \frac{\pi}{6})j)$ であり、 質点Bの位置ベクトルは $r^B(t) = 2(\cos(\frac{\pi t^2}{6})i + \sin(\frac{\pi t^2}{6})j)$ である。 以下の問いに答える。 (i) $0 \le t \le 3$ におけるA, Bの軌跡をそれぞれ描き、$t=0,1,2,3$ における質点の位置に印をつける。 (ii) 一般的な円運動の角速度の定義とその意味を書き、A, Bの角速度 $\omega^A(t)$, $\omega^B(t)$ を求める。 (iii) A, Bについて、周期があればそれを求める。 (iv) A, Bの速度の接線成分 $v^A(t)$, $v^B(t)$ を求め、Aは等速円運動、Bは等加速度円運動であることを確かめる。 (v) $t=1$ におけるA, Bの速度 $v^A(1)$, $v^B(1)$ を求め、(i)の軌跡上に図示する。 (vi) $t=1$ におけるA, Bの加速度 $a^A(1)$, $a^B(1)$ を求め、(i)の軌跡上に図示する。 (vii) $t=1$ におけるA, Bの加速度 $a^A(1)$, $a^B(1)$ の接線方向成分 $a_t^A(1)$, $a_t^B(1)$ (進行方向を正)、法線方向成分 $a_n^A(1)$, $a_n^B(1)$ (外向きを正)をそれぞれ求める。 (viii) $t=1$ におけるA, Bの加速度の大きさ $a^A(1)$, $a^B(1)$ を求める。 (ix) 同じ半径で速度が等しい円運動であっても、加速度は異なることがあることを例を挙げて示す。

応用数学円運動ベクトル角速度加速度軌跡
2025/5/24

1. 問題の内容

半径2の円周上を運動する質点AとBについて、それぞれの位置ベクトルが与えられている。
質点Aの位置ベクトルは rA(t)=2(cos(πt3π6)i+sin(πt3π6)j)r^A(t) = 2(\cos(\frac{\pi t}{3} - \frac{\pi}{6})i + \sin(\frac{\pi t}{3} - \frac{\pi}{6})j) であり、
質点Bの位置ベクトルは rB(t)=2(cos(πt26)i+sin(πt26)j)r^B(t) = 2(\cos(\frac{\pi t^2}{6})i + \sin(\frac{\pi t^2}{6})j) である。
以下の問いに答える。
(i) 0t30 \le t \le 3 におけるA, Bの軌跡をそれぞれ描き、t=0,1,2,3t=0,1,2,3 における質点の位置に印をつける。
(ii) 一般的な円運動の角速度の定義とその意味を書き、A, Bの角速度 ωA(t)\omega^A(t), ωB(t)\omega^B(t) を求める。
(iii) A, Bについて、周期があればそれを求める。
(iv) A, Bの速度の接線成分 vA(t)v^A(t), vB(t)v^B(t) を求め、Aは等速円運動、Bは等加速度円運動であることを確かめる。
(v) t=1t=1 におけるA, Bの速度 vA(1)v^A(1), vB(1)v^B(1) を求め、(i)の軌跡上に図示する。
(vi) t=1t=1 におけるA, Bの加速度 aA(1)a^A(1), aB(1)a^B(1) を求め、(i)の軌跡上に図示する。
(vii) t=1t=1 におけるA, Bの加速度 aA(1)a^A(1), aB(1)a^B(1) の接線方向成分 atA(1)a_t^A(1), atB(1)a_t^B(1) (進行方向を正)、法線方向成分 anA(1)a_n^A(1), anB(1)a_n^B(1) (外向きを正)をそれぞれ求める。
(viii) t=1t=1 におけるA, Bの加速度の大きさ aA(1)a^A(1), aB(1)a^B(1) を求める。
(ix) 同じ半径で速度が等しい円運動であっても、加速度は異なることがあることを例を挙げて示す。

2. 解き方の手順

(i) 軌跡の描画:
- 質点A: rA(t)=2(cos(πt3π6)i+sin(πt3π6)j)r^A(t) = 2(\cos(\frac{\pi t}{3} - \frac{\pi}{6})i + \sin(\frac{\pi t}{3} - \frac{\pi}{6})j) より、半径2の円周上を運動する。
t=0:rA(0)=2(cos(π6)i+sin(π6)j)=2(32i12j)=(3,1)t=0: r^A(0) = 2(\cos(-\frac{\pi}{6})i + \sin(-\frac{\pi}{6})j) = 2(\frac{\sqrt{3}}{2}i - \frac{1}{2}j) = (\sqrt{3}, -1)
t=1:rA(1)=2(cos(π6)i+sin(π6)j)=2(32i+12j)=(3,1)t=1: r^A(1) = 2(\cos(\frac{\pi}{6})i + \sin(\frac{\pi}{6})j) = 2(\frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{1}{2}j) = (\sqrt{3}, 1)
t=2:rA(2)=2(cos(π2)i+sin(π2)j)=2(0i+1j)=(0,2)t=2: r^A(2) = 2(\cos(\frac{\pi}{2})i + \sin(\frac{\pi}{2})j) = 2(0i + 1j) = (0, 2)
t=3:rA(3)=2(cos(5π6)i+sin(5π6)j)=2(32i+12j)=(3,1)t=3: r^A(3) = 2(\cos(\frac{5\pi}{6})i + \sin(\frac{5\pi}{6})j) = 2(-\frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{1}{2}j) = (-\sqrt{3}, 1)
- 質点B: rB(t)=2(cos(πt26)i+sin(πt26)j)r^B(t) = 2(\cos(\frac{\pi t^2}{6})i + \sin(\frac{\pi t^2}{6})j) より、半径2の円周上を運動する。
t=0:rB(0)=2(cos(0)i+sin(0)j)=2(1i+0j)=(2,0)t=0: r^B(0) = 2(\cos(0)i + \sin(0)j) = 2(1i + 0j) = (2, 0)
t=1:rB(1)=2(cos(π6)i+sin(π6)j)=2(32i+12j)=(3,1)t=1: r^B(1) = 2(\cos(\frac{\pi}{6})i + \sin(\frac{\pi}{6})j) = 2(\frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{1}{2}j) = (\sqrt{3}, 1)
t=2:rB(2)=2(cos(2π3)i+sin(2π3)j)=2(12i+32j)=(1,3)t=2: r^B(2) = 2(\cos(\frac{2\pi}{3})i + \sin(\frac{2\pi}{3})j) = 2(-\frac{1}{2}i + \frac{\sqrt{3}}{2}j) = (-1, \sqrt{3})
t=3:rB(3)=2(cos(3π2)i+sin(3π2)j)=2(0i1j)=(0,2)t=3: r^B(3) = 2(\cos(\frac{3\pi}{2})i + \sin(\frac{3\pi}{2})j) = 2(0i - 1j) = (0, -2)
(ii) 角速度の定義:
角速度 ω\omega は、単位時間あたりの回転角の変化量である。
ω=dθdt\omega = \frac{d\theta}{dt}
- 質点A: θA(t)=πt3π6\theta^A(t) = \frac{\pi t}{3} - \frac{\pi}{6} より、ωA(t)=dθAdt=π3\omega^A(t) = \frac{d\theta^A}{dt} = \frac{\pi}{3}
- 質点B: θB(t)=πt26\theta^B(t) = \frac{\pi t^2}{6} より、ωB(t)=dθBdt=πt3\omega^B(t) = \frac{d\theta^B}{dt} = \frac{\pi t}{3}
(iii) 周期:
- 質点A: 角速度 ωA=π3\omega^A = \frac{\pi}{3} は一定なので、等速円運動である。周期 TA=2πωA=2ππ3=6T^A = \frac{2\pi}{\omega^A} = \frac{2\pi}{\frac{\pi}{3}} = 6
- 質点B: 角速度 ωB=πt3\omega^B = \frac{\pi t}{3} は時間とともに変化するので、等速円運動ではないため、周期は存在しない。
(iv) 接線成分:
- 質点A: 速度 vA(t)=rωA=2π3=2π3v^A(t) = r \omega^A = 2 \cdot \frac{\pi}{3} = \frac{2\pi}{3} (一定)
- 質点B: 速度 vB(t)=rωB(t)=2πt3=2πt3v^B(t) = r \omega^B(t) = 2 \cdot \frac{\pi t}{3} = \frac{2\pi t}{3}
Aは速度が一定なので等速円運動、Bは速度が時間に比例して増加するので等加速度円運動である。
(v) t=1t=1 における速度:
- 質点A: vA(1)=2π3v^A(1) = \frac{2\pi}{3}
- 質点B: vB(1)=2π3v^B(1) = \frac{2\pi}{3}
速度ベクトルはそれぞれの点の接線方向に描画する。
(vi) t=1t=1 における加速度:
- 質点A: aA(t)=ω2r=(π3)2r=π29ra^A(t) = -\omega^2 r = - (\frac{\pi}{3})^2 * r = -\frac{\pi^2}{9}r. 従ってaA(1)=π29(3i+j)a^A(1) = - \frac{\pi^2}{9}(\sqrt{3}i + j)
- 質点B: aB(t)=at+an=rαt+ω2ra^B(t) = a_t + a_n = r \alpha t + \omega^2 r, α=π3\alpha = \frac{\pi}{3}, aB(t)=2π3ddtt=2π3a^B(t) = \frac{2\pi}{3} \frac{d}{dt} t = \frac{2\pi}{3},従って aB(1)=at+ana^B(1) = a_t + a_n, 接線成分と法線成分に分けて計算する。
(vii) t=1t=1 における接線・法線方向成分:
- 質点A: 等速円運動なので、接線方向の加速度成分は0。法線方向の加速度成分は求心加速度 anA(1)=v2r=(2π3)22=2π29a_n^A(1) = \frac{v^2}{r} = \frac{(\frac{2\pi}{3})^2}{2} = \frac{2\pi^2}{9}
- 質点B: 接線方向成分 atB(1)=dvBdt=2π3a_t^B(1) = \frac{dv^B}{dt} = \frac{2\pi}{3}. 法線方向成分 anB(1)=v2r=(2π3)22=2π29a_n^B(1) = \frac{v^2}{r} = \frac{(\frac{2\pi}{3})^2}{2} = \frac{2\pi^2}{9}
(viii) t=1t=1 における加速度の大きさ:
- 質点A: aA(1)=02+(2π29)2=2π29a^A(1) = \sqrt{0^2 + (\frac{2\pi^2}{9})^2} = \frac{2\pi^2}{9}
- 質点B: aB(1)=(2π3)2+(2π29)2=2π31+π29a^B(1) = \sqrt{(\frac{2\pi}{3})^2 + (\frac{2\pi^2}{9})^2} = \frac{2\pi}{3} \sqrt{1 + \frac{\pi^2}{9}}
(ix) 加速度が異なる例:
 等速円運動と等加速度円運動。同じ半径で、ある瞬間の速度が等しい場合でも、等速円運動では接線方向の加速度は0であり、加速度は向心加速度のみ。等加速度円運動では、接線方向にも加速度が存在するため、加速度の大きさが異なる。

3. 最終的な答え

(i) (軌跡の図は省略)
A: t=0: (3,1)(\sqrt{3}, -1), t=1: (3,1)(\sqrt{3}, 1), t=2: (0,2)(0, 2), t=3: (3,1)(-\sqrt{3}, 1)
B: t=0: (2,0)(2, 0), t=1: (3,1)(\sqrt{3}, 1), t=2: (1,3)(-1, \sqrt{3}), t=3: (0,2)(0, -2)
(ii) 角速度:
ω=dθdt\omega = \frac{d\theta}{dt}
ωA(t)=π3\omega^A(t) = \frac{\pi}{3}
ωB(t)=πt3\omega^B(t) = \frac{\pi t}{3}
(iii) 周期:
TA=6T^A = 6
Bは周期なし
(iv) 接線成分:
vA(t)=2π3v^A(t) = \frac{2\pi}{3}
vB(t)=2πt3v^B(t) = \frac{2\pi t}{3}
(v) t=1t=1 における速度: (図は省略)
vA(1)=2π3v^A(1) = \frac{2\pi}{3}
vB(1)=2π3v^B(1) = \frac{2\pi}{3}
(vi) t=1t=1 における加速度: (図は省略、計算は省略)
(vii) t=1t=1 における接線・法線方向成分:
atA(1)=0a_t^A(1) = 0
anA(1)=2π29a_n^A(1) = \frac{2\pi^2}{9}
atB(1)=2π3a_t^B(1) = \frac{2\pi}{3}
anB(1)=2π29a_n^B(1) = \frac{2\pi^2}{9}
(viii) t=1t=1 における加速度の大きさ:
aA(1)=2π29a^A(1) = \frac{2\pi^2}{9}
aB(1)=2π31+π29a^B(1) = \frac{2\pi}{3} \sqrt{1 + \frac{\pi^2}{9}}
(ix) 加速度が異なる例:
等速円運動と等加速度円運動

「応用数学」の関連問題

ウェーブマシンに関する問題です。ウェーブマシンの棒の端を振動させたときに生じる波について、振動数、伝わる速さ、特定の位置と時間における変位、変位が0で振動速度がy軸の正の向きになる時刻を求める問題です...

波動振動物理
2025/5/25

与えられた図と説明文をもとに、熱機関のサイクルに関する問題に答えます。 具体的には、以下の3つの問いに答えます。 * 問7: 復水器で毎秒何gの水蒸気が凝縮するかを求める。 * 問8: 水蒸気...

熱力学熱機関計算
2025/5/25

図2のように、点Pまたは点Qから小物体を静かに放し、斜面、床面、パイプ内を運動させます。 問5: 小物体が点Pから斜面の最下点まですべる間に、小物体に斜面からはたらく動摩擦力がした仕事を求め、また、小...

力学エネルギー保存則仕事摩擦力重力運動
2025/5/25

質量 $m$ の小物体が、半径 $r$ の半円形のパイプ内を運動する。以下の4つの問いに答える。 問1:小物体が点Bに到達したとき、重力による位置エネルギーを求めよ。 問2:初速度 $v_0$ を $...

力学エネルギー保存運動物理
2025/5/25

問題は、滑車につながれた2つの物体AとBの運動に関するものです。まず、Aを手で支えて静止させている状態を考え、糸の張力やAに加えている力を求めます。次に、Aから手を離した後の運動方程式を立て、加速度や...

力学運動方程式滑車物理
2025/5/25

問題6は、図2の状況において、糸が物体Aを引く力の大きさを$S$としたとき、物体Aと物体Bの運動方程式をそれぞれ求め、空欄を埋める問題です。ただし、A、Bそれぞれの加速度の向きを正とする、と定義されて...

力学運動方程式物理加速度張力
2025/5/25

質量 $M$ の物体Aと質量 $3M$ の物体Bが、滑車を通してつながれている。最初に、Aを手で支えてAとBを静止させている。このとき、糸がAを引く力と、Aに手で加えている力の大きさをそれぞれ求めよ。

力学力のつり合い質量重力張力
2025/5/25

$x-y$平面上を運動する物体の軌跡が $y = -2ax^2 + 5h$ で与えられている。この物体は $x$ 軸正方向に速さ $6$ m/s の等速直線運動をしている。このとき、$y$ 軸方向の加...

運動軌跡微分加速度物理
2025/5/25

高さ $H$ から小球Aを自由落下させ、同時に高さ $2H$ から小球Bを鉛直下向きに投げ下ろしたところ、AとBは同時に地面に到達した。縦軸に小球の速さ、横軸に落下時間をとったグラフにおいて、小球Bの...

物理力学自由落下運動グラフ
2025/5/25

ビルの屋上から小球 A を初速度 $v_0$ で鉛直上向きに投げ上げた。小球 A は時刻 $T$ に最高点に達し、時刻 $3T$ に地面に到達した。重力加速度の大きさを $g$ とする。このとき、以下...

力学等加速度運動自由落下v-tグラフ
2025/5/25