半径1の円に内接する二等辺三角形ABCがあり、$AB = AC$である。$\angle BAC = 2\theta$ (単位はラジアン)とするとき、以下の問いに答えよ。 (1) $\triangle ABC$の周の長さ$l$の最大値とそのときの$\theta$の値を求めよ。 (2) $\triangle ABC$の面積$S$の最大値とそのときの$\theta$の値を求めよ。

1. 問題の内容

半径1の円に内接する二等辺三角形ABCがあり、$AB = AC$である。$\angle BAC = 2\theta$ (単位はラジアン)とするとき、以下の問いに答えよ。

(1) $\triangle ABC$の周の長さ$l$の最大値とそのときの$\theta$の値を求めよ。

(2) $\triangle ABC$の面積$S$の最大値とそのときの$\theta$の値を求めよ。

2. 解き方の手順

(1) $\triangle ABC$の周の長さ$l$の最大値とそのときの$\theta$の値を求める。

正弦定理より、

$\frac{BC}{\sin 2\theta} = 2R = 2$

$BC = 2 \sin 2\theta$

$\frac{AC}{\sin (\frac{\pi - 2\theta}{2})} = 2R = 2$

$AC = AB = 2 \sin (\frac{\pi}{2} - \theta) = 2 \cos \theta$

$\triangle ABC$の周の長さ$l$は、

$l = AB + BC + CA = 2 \cos \theta + 2 \cos \theta + 2 \sin 2\theta = 4 \cos \theta + 4 \sin \theta \cos \theta = 4 \cos \theta (1 + \sin \theta)$

$l = 4 \cos \theta (1 + \sin \theta)$

$0 < 2\theta < \pi$ より $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$

$\frac{dl}{d\theta} = 4(-\sin \theta (1+\sin \theta) + \cos \theta \cos \theta) = 4(-\sin \theta - \sin^2 \theta + \cos^2 \theta) = 4(-\sin \theta - \sin^2 \theta + 1 - \sin^2 \theta) = 4(-2\sin^2 \theta - \sin \theta + 1) = -4(2\sin^2 \theta + \sin \theta - 1) = -4(2\sin \theta - 1)(\sin \theta + 1)$

$\frac{dl}{d\theta} = 0$ となるのは、 $\sin \theta = \frac{1}{2}$ または $\sin \theta = -1$ のとき。

$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より、$\sin \theta = \frac{1}{2}$ なので、$\theta = \frac{\pi}{6}$

$\theta = \frac{\pi}{6}$ の前後で$\frac{dl}{d\theta}$の符号を調べると、

$0 < \theta < \frac{\pi}{6}$ のとき、$\sin \theta < \frac{1}{2}$ なので、$2\sin \theta - 1 < 0$ かつ $\sin \theta + 1 > 0$ より、$\frac{dl}{d\theta} > 0$

$\frac{\pi}{6} < \theta < \frac{\pi}{2}$ のとき、$\sin \theta > \frac{1}{2}$ なので、$2\sin \theta - 1 > 0$ かつ $\sin \theta + 1 > 0$ より、$\frac{dl}{d\theta} < 0$

したがって、$\theta = \frac{\pi}{6}$ のとき$l$は最大値をとる。

$l = 4 \cos \frac{\pi}{6} (1 + \sin \frac{\pi}{6}) = 4 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} (1 + \frac{1}{2}) = 2\sqrt{3} \cdot \frac{3}{2} = 3\sqrt{3}$

(2) $\triangle ABC$の面積$S$の最大値とそのときの$\theta$の値を求める。

$S = \frac{1}{2} AB \cdot AC \cdot \sin 2\theta = \frac{1}{2} (2 \cos \theta)^2 \sin 2\theta = 2 \cos^2 \theta \cdot 2 \sin \theta \cos \theta = 4 \cos^3 \theta \sin \theta$

$S = 4 \cos^3 \theta \sin \theta$

$\frac{dS}{d\theta} = 4(3\cos^2 \theta (-\sin \theta) \sin \theta + \cos^3 \theta \cos \theta) = 4\cos^2 \theta (-3\sin^2 \theta + \cos^2 \theta) = 4\cos^2 \theta (-3\sin^2 \theta + 1 - \sin^2 \theta) = 4\cos^2 \theta (1 - 4\sin^2 \theta)$

$\frac{dS}{d\theta} = 0$ となるのは、$\cos \theta = 0$ または $1 - 4\sin^2 \theta = 0$ のとき。

$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より、$\cos \theta \ne 0$ なので、$1 - 4\sin^2 \theta = 0$ つまり $\sin^2 \theta = \frac{1}{4}$

$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より、$\sin \theta = \frac{1}{2}$ なので、$\theta = \frac{\pi}{6}$

$\theta = \frac{\pi}{6}$ の前後で$\frac{dS}{d\theta}$の符号を調べると、

$0 < \theta < \frac{\pi}{6}$ のとき、$\sin \theta < \frac{1}{2}$ なので、$\sin^2 \theta < \frac{1}{4}$ より $1 - 4\sin^2 \theta > 0$ なので、$\frac{dS}{d\theta} > 0$

$\frac{\pi}{6} < \theta < \frac{\pi}{2}$ のとき、$\sin \theta > \frac{1}{2}$ なので、$\sin^2 \theta > \frac{1}{4}$ より $1 - 4\sin^2 \theta < 0$ なので、$\frac{dS}{d\theta} < 0$

したがって、$\theta = \frac{\pi}{6}$ のとき$S$は最大値をとる。

$S = 4 \cos^3 \frac{\pi}{6} \sin \frac{\pi}{6} = 4 (\frac{\sqrt{3}}{2})^3 \cdot \frac{1}{2} = 4 \cdot \frac{3\sqrt{3}}{8} \cdot \frac{1}{2} = \frac{3\sqrt{3}}{4}$

3. 最終的な答え

(1) $\triangle ABC$の周の長さ$l$の最大値は$3\sqrt{3}$で、そのときの$\theta$の値は$\frac{\pi}{6}$である。

(2) $\triangle ABC$の面積$S$の最大値は$\frac{3\sqrt{3}}{4}$で、そのときの$\theta$の値は$\frac{\pi}{6}$である。