集合 $X$ から集合 $Y$ への写像 $f: X \rightarrow Y$、および $X$ の部分集合 $A, B$ と $Y$ の部分集合 $C, D$ について、以下の命題が正しければ証明し、正しくなければ反例を挙げよ。 (1) $f(A - B) \subset f(A) - f(B)$ (2) $f(A - B) \supset f(A) - f(B)$ (3) $f^{-1}(C - D) \subset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$ (4) $f^{-1}(C - D) \supset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$

1. 問題の内容

集合 $X$ から集合 $Y$ への写像 $f: X \rightarrow Y$、および $X$ の部分集合 $A, B$ と $Y$ の部分集合 $C, D$ について、以下の命題が正しければ証明し、正しくなければ反例を挙げよ。

(1) $f(A - B) \subset f(A) - f(B)$

(2) $f(A - B) \supset f(A) - f(B)$

(3) $f^{-1}(C - D) \subset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$

(4) $f^{-1}(C - D) \supset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$

2. 解き方の手順

(1) $f(A - B) \subset f(A) - f(B)$ を証明する。

$y \in f(A - B)$ とすると、ある $x \in A - B$ が存在して $f(x) = y$ となる。$x \in A - B$ より $x \in A$ かつ $x \notin B$ である。したがって、$y = f(x) \in f(A)$ である。もし $y \in f(B)$ ならば、ある $x' \in B$ が存在して $f(x') = y = f(x)$ となる。しかし、これは $x \in A - B$ より $x \notin B$ であることに矛盾しない。

よって、$y \notin f(B)$ とは限らないため、$y \in f(A) - f(B)$ とは限らない。

反例：$X = \{1, 2\}, Y = \{3\}, A = \{1, 2\}, B = \{2\}, f(1) = 3, f(2) = 3$ とする。このとき、$A - B = \{1\}$ なので、$f(A - B) = \{3\}$ である。一方、$f(A) = \{3\}, f(B) = \{3\}$ なので、$f(A) - f(B) = \emptyset$ である。したがって、$f(A - B) \not\subset f(A) - f(B)$ である。

(2) $f(A - B) \supset f(A) - f(B)$ を証明する。

$y \in f(A) - f(B)$ とすると、$y \in f(A)$ かつ $y \notin f(B)$ である。$y \in f(A)$ より、ある $x \in A$ が存在して $f(x) = y$ となる。$y \notin f(B)$ より、すべての $x' \in B$ に対して $f(x') \neq y$ である。特に、$x \notin B$ である。したがって、$x \in A - B$ であり、$y = f(x) \in f(A - B)$ である。よって、$f(A - B) \supset f(A) - f(B)$ が成り立つ。

(3) $f^{-1}(C - D) \subset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$ を証明する。

$x \in f^{-1}(C - D)$ とすると、$f(x) \in C - D$ である。$f(x) \in C - D$ より、$f(x) \in C$ かつ $f(x) \notin D$ である。$f(x) \in C$ より、$x \in f^{-1}(C)$ である。$f(x) \notin D$ より、$x \notin f^{-1}(D)$ である。したがって、$x \in f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$ である。よって、$f^{-1}(C - D) \subset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$ が成り立つ。

(4) $f^{-1}(C - D) \supset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$ を証明する。

$x \in f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$ とすると、$x \in f^{-1}(C)$ かつ $x \notin f^{-1}(D)$ である。$x \in f^{-1}(C)$ より、$f(x) \in C$ である。$x \notin f^{-1}(D)$ より、$f(x) \notin D$ である。したがって、$f(x) \in C - D$ であり、$x \in f^{-1}(C - D)$ である。よって、$f^{-1}(C - D) \supset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$ が成り立つ。

3. 最終的な答え

(1) 正しくない。反例：$X = \{1, 2\}, Y = \{3\}, A = \{1, 2\}, B = \{2\}, f(1) = 3, f(2) = 3$ のとき、$f(A - B) = \{3\}, f(A) - f(B) = \emptyset$ となり、$f(A - B) \not\subset f(A) - f(B)$。

(2) 正しい。証明：$f(A - B) \supset f(A) - f(B)$

(3) 正しい。証明：$f^{-1}(C - D) \subset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$

(4) 正しい。証明：$f^{-1}(C - D) \supset f^{-1}(C) - f^{-1}(D)$