問題は、演算子 grad(勾配)によって形成されるベクトルが、なぜその場所で最大の傾斜方向を示すのかを説明することです。

解析学勾配偏微分全微分最大傾斜方向ベクトル解析
2025/6/3

1. 問題の内容

問題は、演算子 grad(勾配)によって形成されるベクトルが、なぜその場所で最大の傾斜方向を示すのかを説明することです。

2. 解き方の手順

関数 f(x,y)f(x, y) の勾配ベクトル f\nabla f は、各座標軸方向への偏微分を成分とするベクトルとして定義されます。
f=(fx,fy)\nabla f = \left( \frac{\partial f}{\partial x}, \frac{\partial f}{\partial y} \right)
勾配ベクトルの性質を考えるために、ある点 (x0,y0)(x_0, y_0) からわずかに移動した点 (x0+dx,y0+dy)(x_0 + dx, y_0 + dy) での ff の変化を調べます。全微分を用いて、ff の変化 dfdf は次のように近似できます。
df=fxdx+fydydf = \frac{\partial f}{\partial x} dx + \frac{\partial f}{\partial y} dy
これは、勾配ベクトル f\nabla f と微小変位ベクトル dr=(dx,dy)d\mathbf{r} = (dx, dy) の内積として書き換えることができます。
df=fdrdf = \nabla f \cdot d\mathbf{r}
内積は、ベクトルの大きさとそれらの間の角度のコサインを使って表すことができます。ここで、θ\thetaf\nabla fdrd\mathbf{r} の間の角度とすると、
df=fdrcosθdf = |\nabla f| |d\mathbf{r}| \cos{\theta}
この式から、f|\nabla f|dr|d\mathbf{r}| が一定の場合、dfdfcosθ\cos{\theta} が最大値を取るときに最大化されます。cosθ\cos{\theta} が最大値1を取るのは、θ=0\theta = 0 のとき、つまり、drd\mathbf{r}f\nabla f と同じ方向を向いているときです。したがって、ff の変化が最も大きくなるのは、drd\mathbf{r} が勾配ベクトル f\nabla f と同じ方向を向いているときです。つまり、勾配ベクトル f\nabla f は、その場所での ff の増加が最大となる方向を示しています。これは、最大傾斜方向に対応します。

3. 最終的な答え

勾配ベクトルは、関数の増加率が最大になる方向を指します。これは、勾配ベクトルと微小変位ベクトルの内積で関数の変化が表され、内積が最大になるのは2つのベクトルが同じ方向を向いているときであることから説明できます。したがって、演算子 grad により形成されるベクトルはその場所での最大傾斜方向を示します。

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