1. 問題の内容
次正方行列に対して、が正則行列である必要十分条件は、がを固有値としてもたないことである。
2. 解き方の手順
* **正則行列であることの定義:**
次正方行列が正則であるとは、逆行列が存在することである。
* **固有値の定義:**
を次正方行列とする。スカラーがの固有値であるとは、零ベクトルでないベクトルが存在して、
が成り立つことである。このを固有値に対応する固有ベクトルという。
* **固有値が0であること:**
もし0がの固有値ならば、ある零ベクトルでないベクトルが存在して、が成り立つ。
これは、が自明でない解を持つことを意味する。したがって、の行列式は0になる。
* **正則行列であることと行列式:**
行列が正則であるための必要十分条件は、その行列式が0でないことである。
* **必要十分条件の証明:**
* (が正則 0はの固有値ではない)
が正則であるとき、である。もし0がの固有値ならば、を満たす零ベクトルでないベクトルが存在する。しかし、が正則なので、が存在し、より、となる。これはが零ベクトルでないことに矛盾する。したがって、0はの固有値ではない。
* (0はの固有値ではない が正則)
0がの固有値でないと仮定する。つまり、となる零ベクトルでないベクトルは存在しない。これは、の解がのみであることを意味する。したがって、であり、は正則である。
3. 最終的な答え
次正方行列について、が正則行列である必要十分条件は、がを固有値としてもたないことである。