$n$次正方行列$A$に対して、$A$が正則行列である必要十分条件は、$A$が$0$を固有値としてもたないことである。

代数学線形代数行列正則行列固有値固有ベクトル行列式必要十分条件
2025/6/3

1. 問題の内容

nn次正方行列AAに対して、AAが正則行列である必要十分条件は、AA00を固有値としてもたないことである。

2. 解き方の手順

* **正則行列であることの定義:**
nn次正方行列AAが正則であるとは、逆行列A1A^{-1}が存在することである。
* **固有値の定義:**
AAnn次正方行列とする。スカラーλ\lambdaAAの固有値であるとは、零ベクトルでないベクトルv\mathbf{v}が存在して、
Av=λvA\mathbf{v} = \lambda \mathbf{v}
が成り立つことである。このv\mathbf{v}を固有値λ\lambdaに対応する固有ベクトルという。
* **固有値が0であること:**
もし0がAAの固有値ならば、ある零ベクトルでないベクトルv\mathbf{v}が存在して、Av=0v=0A\mathbf{v} = 0\mathbf{v} = \mathbf{0}が成り立つ。
これは、Av=0A\mathbf{v} = \mathbf{0}が自明でない解を持つことを意味する。したがって、AAの行列式は0になる。
det(A)=0\det(A) = 0
* **正則行列であることと行列式:**
行列AAが正則であるための必要十分条件は、その行列式が0でないことである。
det(A)0\det(A) \neq 0
* **必要十分条件の証明:**
* (AAが正則     \implies 0はAAの固有値ではない)
AAが正則であるとき、det(A)0\det(A) \neq 0である。もし0がAAの固有値ならば、Av=0A\mathbf{v} = \mathbf{0}を満たす零ベクトルでないベクトルv\mathbf{v}が存在する。しかし、AAが正則なので、A1A^{-1}が存在し、A1Av=A10A^{-1}A\mathbf{v} = A^{-1}\mathbf{0}より、v=0\mathbf{v} = \mathbf{0}となる。これはv\mathbf{v}が零ベクトルでないことに矛盾する。したがって、0はAAの固有値ではない。
* (0はAAの固有値ではない     \implies AAが正則)
0がAAの固有値でないと仮定する。つまり、Av=0A\mathbf{v} = \mathbf{0}となる零ベクトルでないベクトルv\mathbf{v}は存在しない。これは、Av=0A\mathbf{v} = \mathbf{0}の解がv=0\mathbf{v} = \mathbf{0}のみであることを意味する。したがって、det(A)0\det(A) \neq 0であり、AAは正則である。

3. 最終的な答え

nn次正方行列AAについて、AAが正則行列である必要十分条件は、AA00を固有値としてもたないことである。

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