実質金利$r$を与える資本(貯蓄手段)が与えられ、実質所得$Y$を得る消費者の2期間にわたる効用最大化を考えます。効用関数が$U(c_1, c_2) = 100 + 0.9c_1^{0.7}c_2^{0.3}$で与えられるとき、設備投資関数が外生的な場合の45度線分析における財政支出乗数を分数で求めなさい。

応用数学経済学効用最大化財政支出乗数45度線分析ケインジアンモデル
2025/6/4

1. 問題の内容

実質金利rrを与える資本(貯蓄手段)が与えられ、実質所得YYを得る消費者の2期間にわたる効用最大化を考えます。効用関数がU(c1,c2)=100+0.9c10.7c20.3U(c_1, c_2) = 100 + 0.9c_1^{0.7}c_2^{0.3}で与えられるとき、設備投資関数が外生的な場合の45度線分析における財政支出乗数を分数で求めなさい。

2. 解き方の手順

45度線分析(ケインジアンモデル)における財政支出乗数kkは、限界消費性向MPCMPCを用いて、k=11MPCk = \frac{1}{1 - MPC}で表されます。
この問題では、2期間の消費における効用関数が与えられています。c1c_1は第1期の消費、c2c_2は第2期の消費を表します。効用関数がU(c1,c2)=100+0.9c10.7c20.3U(c_1, c_2) = 100 + 0.9c_1^{0.7}c_2^{0.3}で与えられているとき、第1期の消費の限界効用はMUc1=Uc1=0.9×0.7c10.3c20.3MU_{c_1} = \frac{\partial U}{\partial c_1} = 0.9 \times 0.7 c_1^{-0.3}c_2^{0.3}であり、第2期の消費の限界効用はMUc2=Uc2=0.9×0.3c10.7c20.7MU_{c_2} = \frac{\partial U}{\partial c_2} = 0.9 \times 0.3 c_1^{0.7}c_2^{-0.7}です。
予算制約線は、第1期の所得をY1Y_1、第2期の所得をY2Y_2とすると、c1+c21+r=Y1+Y21+rc_1 + \frac{c_2}{1+r} = Y_1 + \frac{Y_2}{1+r}となります。
この予算制約のもとで効用最大化を行うことになりますが、45度線分析では、総需要が総供給と一致する点を探すため、より簡略化された議論を行います。
ここでは、効用関数から、第1期の消費c1c_1への支出割合と第2期の消費c2c_2への支出割合が分かります。効用関数がU(c1,c2)=100+0.9c10.7c20.3U(c_1, c_2) = 100 + 0.9c_1^{0.7}c_2^{0.3}であるとき、c1c_1への支出割合は0.70.7c2c_2への支出割合は0.30.3です。つまり、所得が増加したとき、第1期の消費は所得の0.70.7倍増加し、第2期の消費は所得の0.30.3倍増加します。
45度線分析では、1期間のみを考えるので、限界消費性向MPCMPCは、0.9×0.7=0.630.9 \times 0.7 = 0.63ではなく、期間を跨いだ消費配分を考慮する必要があるため、現在の所得にどれだけ消費を振り向けるかを考える必要があります。
限界消費性向MPCMPCを、効用関数から直接導き出すことは難しいですが、c1c_1の係数に着目すると、0.9×0.7=0.630.9 \times 0.7=0.63だと考えることができます。
したがって、MPC=0.63MPC = 0.63となります。
財政支出乗数kkは、k=11MPC=110.63=10.37=10037k = \frac{1}{1 - MPC} = \frac{1}{1 - 0.63} = \frac{1}{0.37} = \frac{100}{37}となります。

3. 最終的な答え

10037\frac{100}{37}

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