高さの異なる場所から木製の球を落下させ、落下距離 $d$ と時間 $t$ をそれぞれ4回測定した結果が与えられている。 (a) これらの結果から、重力加速度 $g$ の最良推定値を求める。 (b) 重力加速度が文献値 $9.80 m/s^2$ と異なる理由を、空気抵抗の観点から説明する。 (c) 系統誤差の影響を減らすための実験方法を提案する。

応用数学物理学運動重力加速度誤差解析実験データ
2025/6/10

1. 問題の内容

高さの異なる場所から木製の球を落下させ、落下距離 dd と時間 tt をそれぞれ4回測定した結果が与えられている。
(a) これらの結果から、重力加速度 gg の最良推定値を求める。
(b) 重力加速度が文献値 9.80m/s29.80 m/s^2 と異なる理由を、空気抵抗の観点から説明する。
(c) 系統誤差の影響を減らすための実験方法を提案する。

2. 解き方の手順

(a) 重力加速度 gg の最良推定値を求める。落下距離 dd と時間 tt の関係は d=12gt2d = \frac{1}{2}gt^2 で表されるので、g=2dt2g = \frac{2d}{t^2} となる。
各測定値から gg の値を計算し、それらの平均値を求める。
また、得られた平均値が文献値 9.80m/s29.80 m/s^2 と異なることを示す。
測定1: g1=2×15.431.8042=30.863.2544169.483m/s2g_1 = \frac{2 \times 15.43}{1.804^2} = \frac{30.86}{3.254416} \approx 9.483 m/s^2
測定2: g2=2×17.371.9152=34.743.6672259.473m/s2g_2 = \frac{2 \times 17.37}{1.915^2} = \frac{34.74}{3.667225} \approx 9.473 m/s^2
測定3: g3=2×19.622.0432=39.244.1738499.401m/s2g_3 = \frac{2 \times 19.62}{2.043^2} = \frac{39.24}{4.173849} \approx 9.401 m/s^2
測定4: g4=2×21.682.1492=43.364.6182019.389m/s2g_4 = \frac{2 \times 21.68}{2.149^2} = \frac{43.36}{4.618201} \approx 9.389 m/s^2
平均値:
gˉ=9.483+9.473+9.401+9.3894=37.74649.437m/s2\bar{g} = \frac{9.483 + 9.473 + 9.401 + 9.389}{4} = \frac{37.746}{4} \approx 9.437 m/s^2
平均値は 9.437m/s29.437 m/s^2 であり、文献値 9.80m/s29.80 m/s^2 とは異なる。
(b) 計算の道筋、巻き尺、および時計の精度を検討した結果、重力加速度が 9.80m/s29.80 m/s^2 とは異なる値となるのは何らかの系統誤差が存在するためであり、空気の抵抗が答えの不一致の原因であろうと判断したことが正しいことを説明する。
落下する物体の運動に空気抵抗が無視できない影響を与えている。
空気抵抗は物体の速度の増加と共に大きくなるため、木製の球の速度が十分に大きくなると空気抵抗が無視できなくなる。
空気抵抗がある場合、物体の加速度は重力加速度よりも小さくなり、同じ落下距離を落下するのにかかる時間が長くなる。
したがって、求めた重力加速度の値は文献値よりも小さくなる。
(c) 系統誤差の影響を減らすためには、以下の方法が考えられる。
* より密度の高い小さな球を使用する:
密度が高いほど空気抵抗の影響を受けにくくなる。
* より短い落下距離で測定する:
速度が遅いほど空気抵抗の影響が小さくなる。
* 真空に近い環境で実験を行う:
真空中で落下させれば、空気抵抗の影響を完全に排除できる。

3. 最終的な答え

(a) 重力加速度の最良推定値は 9.437m/s29.437 m/s^2 であり、文献値 9.80m/s29.80 m/s^2 とは一致しない。
(b) 空気抵抗が無視できないため、求めた重力加速度の値が文献値よりも小さくなった。
(c) より密度の高い小さな球を使用する、より短い落下距離で測定する、真空に近い環境で実験を行うなどの方法で系統誤差の影響を減らすことができる。

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