$A$ を $n$ 次正方行列, $\varphi(t)$ を $A$ の固有多項式とするとき、次の2つを示す問題です。 (1) $\varphi(t) = (-1)^n t^n + (-1)^{n-1} (\mathrm{tr} A) t^{n-1} + \cdots + |A|$ (2) $n$ 次正則行列 $P$ に対し, $\mathrm{tr}(P^{-1}AP) = \mathrm{tr} A$

代数学線形代数行列固有多項式トレース行列式固有値
2025/6/11

1. 問題の内容

AAnn 次正方行列, φ(t)\varphi(t)AA の固有多項式とするとき、次の2つを示す問題です。
(1) φ(t)=(1)ntn+(1)n1(trA)tn1++A\varphi(t) = (-1)^n t^n + (-1)^{n-1} (\mathrm{tr} A) t^{n-1} + \cdots + |A|
(2) nn 次正則行列 PP に対し, tr(P1AP)=trA\mathrm{tr}(P^{-1}AP) = \mathrm{tr} A

2. 解き方の手順

(1) AA の固有多項式は φ(t)=det(tIA)\varphi(t) = \det(tI - A) で定義されます。ここで、IInn 次単位行列です。
det(tIA)\det(tI - A) を展開すると、tnt^n の係数は (1)n(-1)^n になります。
tn1t^{n-1} の係数は、行列式を展開する際に、tIAtI-Aの対角成分から (n1)(n-1) 個の tt を選び、残りの対角成分から aii-a_{ii} を選ぶことによって得られます。よって、tn1t^{n-1}の係数は、
i=1n(aii)(1)n1=(1)n1i=1naii=(1)n1(trA)\sum_{i=1}^n (-a_{ii}) (-1)^{n-1} = (-1)^{n-1} \sum_{i=1}^n a_{ii} = (-1)^{n-1} (\mathrm{tr} A) となります。
また、t=0t=0 を代入すると、φ(0)=det(A)=(1)ndet(A)=A\varphi(0) = \det(-A) = (-1)^n \det(A) = |A| になります。
したがって、φ(t)=(1)ntn+(1)n1(trA)tn1++A\varphi(t) = (-1)^n t^n + (-1)^{n-1} (\mathrm{tr} A) t^{n-1} + \cdots + |A| が示されました。
(2) 行列の積のトレースの巡回性(cyclic property)tr(ABC)=tr(BCA)\mathrm{tr}(ABC) = \mathrm{tr}(BCA) を利用します。
tr(P1AP)=tr(APP1)\mathrm{tr}(P^{-1}AP) = \mathrm{tr}(AP P^{-1})
=tr(AI)= \mathrm{tr}(AI)
=tr(A)= \mathrm{tr}(A)

3. 最終的な答え

(1) φ(t)=(1)ntn+(1)n1(trA)tn1++A\varphi(t) = (-1)^n t^n + (-1)^{n-1} (\mathrm{tr} A) t^{n-1} + \cdots + |A|
(2) tr(P1AP)=trA\mathrm{tr}(P^{-1}AP) = \mathrm{tr} A

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