質量 $2M$ の質点Qが、水平面上を初速 $V_0$ で運動し、距離 $R$ だけ進んだ後、質量 $M$ の質点Pと弾性衝突する。 (i) 衝突直前の質点Qの速さ $V_A$ を求めよ。 (ii) 衝突後、質点Pが円弧に沿って上昇し、斜面を上がった最高到達点の高さ $H$ を求めよ。ただし、水平面と斜面は動摩擦係数 $\mu$ で粗く、円弧部分は滑らかとする。また、重力加速度を $g$ とする。

応用数学力学エネルギー保存則運動量保存則弾性衝突摩擦
2025/6/26

1. 問題の内容

質量 2M2M の質点Qが、水平面上を初速 V0V_0 で運動し、距離 RR だけ進んだ後、質量 MM の質点Pと弾性衝突する。
(i) 衝突直前の質点Qの速さ VAV_A を求めよ。
(ii) 衝突後、質点Pが円弧に沿って上昇し、斜面を上がった最高到達点の高さ HH を求めよ。ただし、水平面と斜面は動摩擦係数 μ\mu で粗く、円弧部分は滑らかとする。また、重力加速度を gg とする。

2. 解き方の手順

(i)
質点Qが点Bに到達するまでに摩擦力が仕事をするので、エネルギー保存則より
12(2M)V02=12(2M)VA2+μ(2M)gR\frac{1}{2}(2M)V_0^2 = \frac{1}{2}(2M)V_A^2 + \mu(2M)gR
V02=VA2+2μgRV_0^2 = V_A^2 + 2\mu gR
よって、
VA=V022μgRV_A = \sqrt{V_0^2 - 2\mu gR}
(ii)
質点QとPの衝突は弾性衝突なので、運動量保存則とエネルギー保存則が成り立つ。
運動量保存則:
2MVA=2MVQ+MVP2MV_A = 2MV_Q + MV_P
2VA=2VQ+VP2V_A = 2V_Q + V_P
エネルギー保存則:
12(2M)VA2=12(2M)VQ2+12MVP2\frac{1}{2}(2M)V_A^2 = \frac{1}{2}(2M)V_Q^2 + \frac{1}{2}MV_P^2
2VA2=2VQ2+VP22V_A^2 = 2V_Q^2 + V_P^2
VP=2VA2VQV_P = 2V_A - 2V_Qをエネルギー保存則に代入する。
2VA2=2VQ2+(2VA2VQ)22V_A^2 = 2V_Q^2 + (2V_A - 2V_Q)^2
2VA2=2VQ2+4VA28VAVQ+4VQ22V_A^2 = 2V_Q^2 + 4V_A^2 - 8V_AV_Q + 4V_Q^2
0=6VQ28VAVQ+2VA20 = 6V_Q^2 - 8V_AV_Q + 2V_A^2
0=3VQ24VAVQ+VA20 = 3V_Q^2 - 4V_AV_Q + V_A^2
0=(3VQVA)(VQVA)0 = (3V_Q - V_A)(V_Q - V_A)
よってVQ=VAV_Q = V_AまたはVQ=13VAV_Q = \frac{1}{3}V_A
VQ=VAV_Q = V_Aのとき、VP=0V_P = 0となるので不適。
よってVQ=13VAV_Q = \frac{1}{3}V_Aであり、VP=2VA23VA=43VAV_P = 2V_A - \frac{2}{3}V_A = \frac{4}{3}V_A
質点Pは円弧に沿って点Aまで滑らかに進むので、エネルギー保存則より点Aでの速さをVA2V_{A2}とすると、
12MVP2=12MVA22+MgR(1cos(60))\frac{1}{2}MV_P^2 = \frac{1}{2}MV_{A2}^2 + MgR(1-cos(60^\circ))
12MVP2=12MVA22+12MgR\frac{1}{2}MV_P^2 = \frac{1}{2}MV_{A2}^2 + \frac{1}{2}MgR
VP2=VA22+gRV_P^2 = V_{A2}^2 + gR
VA22=VP2gR=169VA2gRV_{A2}^2 = V_P^2 - gR = \frac{16}{9}V_A^2 - gR
点Aから斜面を上る間に摩擦力が仕事をするので、最高到達点での高さをhhとすると、
12MVA22=Mgh+μMghtan(60)\frac{1}{2}MV_{A2}^2 = Mgh + \mu Mg \frac{h}{tan(60^\circ)}
12VA22=gh+μgh3\frac{1}{2}V_{A2}^2 = gh + \frac{\mu gh}{\sqrt{3}}
VA22=2gh+2μgh3V_{A2}^2 = 2gh + \frac{2\mu gh}{\sqrt{3}}
h=VA222g+2μg3=169VA2gR2g+2μg3=169(V022μgR)gR2g+2μg3h = \frac{V_{A2}^2}{2g + \frac{2\mu g}{\sqrt{3}}} = \frac{\frac{16}{9}V_A^2 - gR}{2g + \frac{2\mu g}{\sqrt{3}}} = \frac{\frac{16}{9}(V_0^2 - 2\mu gR) - gR}{2g + \frac{2\mu g}{\sqrt{3}}}
h=16V0232μgR9gR18g+63μg=16V02(32μ+9)gR6(3+3μ)gh = \frac{16V_0^2 - 32\mu gR - 9gR}{18g + 6\sqrt{3}\mu g} = \frac{16V_0^2 - (32\mu + 9)gR}{6(3 + \sqrt{3}\mu)g}
求める高さHは、
H=h+Rcos(60)=h+12R=16V02(32μ+9)gR6(3+3μ)g+12R=16V02(32μ+9)gR+3(3+3μ)gR6(3+3μ)gH = h + Rcos(60^\circ) = h + \frac{1}{2}R = \frac{16V_0^2 - (32\mu + 9)gR}{6(3 + \sqrt{3}\mu)g} + \frac{1}{2}R = \frac{16V_0^2 - (32\mu + 9)gR + 3(3 + \sqrt{3}\mu)gR}{6(3 + \sqrt{3}\mu)g}
H=16V02+(32μ9+9+33μ)gR6(3+3μ)g=16V02+(3332)μgR6(3+3μ)gH = \frac{16V_0^2 + (-32\mu - 9 + 9 + 3\sqrt{3}\mu)gR}{6(3 + \sqrt{3}\mu)g} = \frac{16V_0^2 + (3\sqrt{3} - 32)\mu gR}{6(3 + \sqrt{3}\mu)g}
H=16V02+(3332)μgR(18+63μ)gH = \frac{16V_0^2 + (3\sqrt{3} - 32)\mu gR}{(18 + 6\sqrt{3}\mu)g}
VA=V022μgRV_A = \sqrt{V_0^2 - 2\mu gR}
VA=V02+(2)μgRV_A = \sqrt{V_0^2 + (-2)\mu gR}
H=256V02+(03072)μgR(18+108) gH = \frac{\sqrt{256}V_0^2 + (0 - \sqrt{3072})\mu gR}{(18 + \sqrt{108})\ g}
H=256V02+(32+33)μgR(18+63) gH = \frac{\sqrt{256}V_0^2 + (-32 + 3\sqrt{3})\mu gR}{(18 + 6\sqrt{3})\ g}

3. 最終的な答え

VA=V02+(2)μgRV_A = \sqrt{V_0^2 + (-2)\mu gR}
H=256V02+(03072)μgR(18+108)gH = \frac{\sqrt{256}V_0^2 + (0 - \sqrt{3072})\mu gR}{(18 + \sqrt{108})g}
na=2n_a = -2
nb=256n_b = 256
nc=0n_c = 0
nd=3072n_d = 3072
ne=18n_e = 18
nf=108n_f = 108

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