$n$次実正方行列$A = [a_1 \cdots a_n]$に対して、以下の(1),(2)が同値であることを証明する。 (1) $c_1a_1 + \cdots + c_na_n = 0_n$を満たす実数$c_1, \dots, c_n$は$c_1 = \cdots = c_n = 0$のみである。 (2) $\det A \neq 0$である。

代数学線形代数行列線形独立行列式正則行列同値性
2025/6/26

1. 問題の内容

nn次実正方行列A=[a1an]A = [a_1 \cdots a_n]に対して、以下の(1),(2)が同値であることを証明する。
(1) c1a1++cnan=0nc_1a_1 + \cdots + c_na_n = 0_nを満たす実数c1,,cnc_1, \dots, c_nc1==cn=0c_1 = \cdots = c_n = 0のみである。
(2) detA0\det A \neq 0である。

2. 解き方の手順

(1) \Rightarrow (2) の証明:
(1)が成り立つと仮定する。つまり、c1a1++cnan=0nc_1a_1 + \cdots + c_na_n = 0_nを満たすのはc1==cn=0c_1 = \cdots = c_n = 0のみである。
もしdetA=0\det A = 0ならば、行列AAの列ベクトルは線形従属である。すなわち、少なくとも1つの列ベクトルは他の列ベクトルの線形結合で表される。
つまり、ai=jikjaja_i = \sum_{j \neq i} k_j a_j となるiiと係数kjk_jが存在する。
このとき、
k1a1++ki1ai1+(1)ai+ki+1ai+1++knan=0nk_1a_1 + \cdots + k_{i-1}a_{i-1} + (-1)a_i + k_{i+1}a_{i+1} + \cdots + k_na_n = 0_n
となり、c1=k1,,ci1=ki1,ci=1,ci+1=ki+1,,cn=knc_1 = k_1, \dots, c_{i-1} = k_{i-1}, c_i = -1, c_{i+1} = k_{i+1}, \dots, c_n = k_nとすれば、少なくとも一つのcic_iが0でないのに、c1a1++cnan=0nc_1a_1 + \cdots + c_na_n = 0_nを満たすことになり、(1)の仮定に矛盾する。
したがって、detA0\det A \neq 0である。
(2) \Rightarrow (1) の証明:
(2)が成り立つと仮定する。つまり、detA0\det A \neq 0である。このとき、行列AAは正則である。
c1a1++cnan=0nc_1a_1 + \cdots + c_na_n = 0_nを仮定する。
この式は、A(c1cn)=0nA\begin{pmatrix} c_1 \\ \vdots \\ c_n \end{pmatrix} = 0_nと書き換えられる。
AAは正則なので、両辺にA1A^{-1}を左からかけると、
A1A(c1cn)=A10nA^{-1}A\begin{pmatrix} c_1 \\ \vdots \\ c_n \end{pmatrix} = A^{-1}0_n
(c1cn)=0n\begin{pmatrix} c_1 \\ \vdots \\ c_n \end{pmatrix} = 0_n
したがって、c1==cn=0c_1 = \cdots = c_n = 0である。

3. 最終的な答え

(1)と(2)は同値である。

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