3次正方行列 $A = \begin{pmatrix} a_1 & b_1 & c_1 \\ a_2 & b_2 & c_2 \\ a_3 & b_3 & c_3 \end{pmatrix}$ に対して、ある数を対応させる関数 $D(A)$ について、以下の問いに答える。 (1) $D$ が列に関する多重線形性を持つことを定式化する。 (2) 多重線形性を持つと仮定したとき、$D(A)$ を展開式で書き表す。ここで、$a = a_1e_1 + a_2e_2 + a_3e_3$ などと表せることを利用する。 (3) 列に関する退化性と交代性を定式化する。 (4) 退化性を仮定すると、(2)で求めた展開式はどのようになるか。 (5) さらに交代性を仮定すると、(4)で求めた展開式はどのようになるか。
2025/6/27
はい、承知いたしました。以下に問題の解答を示します。
1. 問題の内容
3次正方行列 に対して、ある数を対応させる関数 について、以下の問いに答える。
(1) が列に関する多重線形性を持つことを定式化する。
(2) 多重線形性を持つと仮定したとき、 を展開式で書き表す。ここで、 などと表せることを利用する。
(3) 列に関する退化性と交代性を定式化する。
(4) 退化性を仮定すると、(2)で求めた展開式はどのようになるか。
(5) さらに交代性を仮定すると、(4)で求めた展開式はどのようになるか。
2. 解き方の手順
(1) 多重線形性の定式化
が列に関して多重線形性を持つとは、任意の列ベクトルについて、線形性を持つことを意味します。すなわち、以下の式が成立します。
これらの式は、 がそれぞれ列ベクトルであることを意味しています。
(2) 多重線形性を持つ場合の展開式
, , とすると、
多重線形性より、
(3) 退化性と交代性の定式化
退化性:ある2つの列ベクトルが等しいとき、 となる。例えば、。
交代性:2つの列を交換すると、 の符号が変わる。例えば、。
(4) 退化性を仮定した場合の展開式
退化性を仮定すると、 において、 または または ならば、。
したがって、(2)の展開式は、
(5) 交代性を仮定した場合の展開式
交代性を仮定すると、 が成り立つ。
ここで、 と規格化すると、
3. 最終的な答え
(1) 、、
(2)
(3) (退化性)、 (交代性)
(4)
(5)