$n$ 次正方行列 $A$ が以下の2つの条件を満たすとき、$A$ の行列式が 0 でないことを証明する問題です。 (1) $A$ の各行には、0 以外の成分がちょうど1つ存在する。 (2) $A$ の各列には、0 以外の成分がちょうど1つ存在する。
2025/6/27
1. 問題の内容
次正方行列 が以下の2つの条件を満たすとき、 の行列式が 0 でないことを証明する問題です。
(1) の各行には、0 以外の成分がちょうど1つ存在する。
(2) の各列には、0 以外の成分がちょうど1つ存在する。
2. 解き方の手順
の行列式が 0 でないことを示すために、行列式が 0 であると仮定して矛盾を導きます。
の行列式が 0 であると仮定します。これは、 が正則でないことを意味します。
が正則でないならば、 の列ベクトルは線形従属です。したがって、ゼロでないベクトル が存在して、 が成り立ちます。
を成分で書くと、
となります。ここで、 は行列 の 成分です。
条件(1)から、各行には0でない成分がちょうど1つ存在します。それをと書くことにします。(はに依存した列の番号)。
条件(2)から、各列には0でない成分がちょうど1つ存在します。
の各行でとなるので、でなければです。しかし、なので、が成り立ちます。
ここで、集合を考えます。条件(2)から各列には0でない成分がちょうど1つ存在するので、この集合の要素はすべて異なります。つまり、はからまでの数を並び替えたものになっています。
したがって、全てのに対してならば、となります。これは、がゼロベクトルであるという仮定に矛盾します。
したがって、を満たすゼロでないベクトル が存在するという仮定が間違っていたことになります。つまり、 は正則であり、 の行列式は 0 ではありません。
3. 最終的な答え
の行列式は 0 でない。