高さによって断面積が変化する容器に、一定の速度 $a$ で液体を注ぎ込む。時刻 $t$ における液体の体積を $V$、液面の面積を $S$、液面の高さを $h$ とする。 (1) $S = \frac{dV}{dh}$ であることを、$\Delta V$, $\Delta h$ および、導関数 $\frac{dV}{dh}$ の定義を用いて説明する。 (2) $S$ と $\frac{dh}{dt}$ の関係を表す等式を導出する。 (3) 液面の上昇速度について、上記の観察からわかることを、日常経験を踏まえて述べる。

解析学微分体積液面導関数積分
2025/7/7

1. 問題の内容

高さによって断面積が変化する容器に、一定の速度 aa で液体を注ぎ込む。時刻 tt における液体の体積を VV、液面の面積を SS、液面の高さを hh とする。
(1) S=dVdhS = \frac{dV}{dh} であることを、ΔV\Delta V, Δh\Delta h および、導関数 dVdh\frac{dV}{dh} の定義を用いて説明する。
(2) SSdhdt\frac{dh}{dt} の関係を表す等式を導出する。
(3) 液面の上昇速度について、上記の観察からわかることを、日常経験を踏まえて述べる。

2. 解き方の手順

(1) S=dVdhS = \frac{dV}{dh} の証明:
液面の高さが Δh\Delta h だけ増加したとき、体積の変化を ΔV\Delta V とする。このとき、体積変化はおよそ底面積 SS と高さ Δh\Delta h の積で近似できる。
ΔVSΔh\Delta V \approx S \Delta h
両辺を Δh\Delta h で割ると、
ΔVΔhS\frac{\Delta V}{\Delta h} \approx S
Δh\Delta h を限りなく0に近づける極限をとると、
limΔh0ΔVΔh=dVdh\lim_{\Delta h \to 0} \frac{\Delta V}{\Delta h} = \frac{dV}{dh}
したがって、
S=dVdhS = \frac{dV}{dh}
(2) SSdhdt\frac{dh}{dt} の関係式:
単位時間あたりに注入される液体の体積は aa であるから、
dVdt=a\frac{dV}{dt} = a
(1)より、S=dVdhS = \frac{dV}{dh} なので、dV=SdhdV = S dh。これを時間 tt で微分すると、
dVdt=Sdhdt\frac{dV}{dt} = S \frac{dh}{dt}
dVdt=a\frac{dV}{dt} = aを代入すると、
a=Sdhdta = S \frac{dh}{dt}
したがって、SSdhdt\frac{dh}{dt} の関係は、
S=adhdtS = \frac{a}{\frac{dh}{dt}}
または、
dhdt=aS\frac{dh}{dt} = \frac{a}{S}
(3) 液面の上昇速度について:
(2) の結果より、dhdt=aS\frac{dh}{dt} = \frac{a}{S} である。
液面の面積 SS が大きいほど、液面の上昇速度 dhdt\frac{dh}{dt} は小さくなる。逆に、液面の面積 SS が小さいほど、液面の上昇速度 dhdt\frac{dh}{dt} は大きくなる。
日常経験では、例えば、口が広い容器に水を注ぐと、水の高さはゆっくりと上昇する。一方、口が狭い容器に同じ量の水を注ぐと、水の高さは速く上昇する。

3. 最終的な答え

(1) S=dVdhS = \frac{dV}{dh}
(2) dhdt=aS\frac{dh}{dt} = \frac{a}{S}
(3) 液面の面積が大きいほど、液面の上昇速度は小さくなる。液面の面積が小さいほど、液面の上昇速度は大きくなる。

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