(1) 対角行列どうしを掛け合わせると、結果も対角行列になることを示す。
A=(aij), B=(bij) とします。ただし、 i=j のとき、aij=0 かつ bij=0 が成り立ちます。 C=AB とすると、C=(cij) であり、 cij=∑k=1naikbkj で計算されます。 i=j のとき、cij=∑k=1naikbkj=aiibij+∑k=iaikbkj=0+0=0 となります。 なぜなら、i=j のとき、bkj は k=j の時だけ0でなく、aik は i=k の時だけ0でないからです。したがって、C は対角行列です。 (2) 上三角行列どうしを掛け合わせると上三角行列になり、下三角行列どうしを掛け合わせると下三角行列になることを示す。
A=(aij), B=(bij) とします。ただし、i>j のとき、aij=0 かつ bij=0 が成り立ちます。 C=AB とすると、C=(cij) であり、cij=∑k=1naikbkj で計算されます。 i>j のとき、cij=∑k=1naikbkj を考えます。aik=0 ならば i≤k であり、bkj=0 ならば k≤j です。したがって、i≤k≤j となります。 しかし、i>j なので、i≤k≤j と i>j を同時に満たす k は存在しません。よって、aikbkj=0 となり、cij=∑k=1naikbkj=0 となります。 したがって、i>j のとき、cij=0 となるので、C は上三角行列です。 下三角行列の場合も同様に証明できます。
A=(aij), B=(bij) とします。ただし、i<j のとき、aij=0 かつ bij=0 が成り立ちます。 C=AB とすると、C=(cij) であり、cij=∑k=1naikbkj で計算されます。 i<j のとき、cij=∑k=1naikbkj を考えます。aik=0 ならば i≥k であり、bkj=0 ならば k≥j です。したがって、i≥k≥j となります。 しかし、i<j なので、i≥k≥j と i<j を同時に満たす k は存在しません。よって、aikbkj=0 となり、cij=∑k=1naikbkj=0 となります。 したがって、i<j のとき、cij=0 となるので、C は下三角行列です。 (3) B を p×q 行列とするとき、BTB と BBT が共に非負定値行列になることを示す。 BTB が非負定値行列であることを示すには、任意のベクトル x に対して、xT(BTB)x≥0 が成り立つことを示せば良いです。 xT(BTB)x=(Bx)T(Bx)=∣∣Bx∣∣2≥0 となります。 なぜなら、ベクトルのノルムの2乗は常に非負だからです。
BBT が非負定値行列であることを示すには、任意のベクトル y に対して、yT(BBT)y≥0 が成り立つことを示せば良いです。 yT(BBT)y=(BTy)T(BTy)=∣∣BTy∣∣2≥0 となります。 なぜなら、ベクトルのノルムの2乗は常に非負だからです。