問題は以下の3つの項目から構成されています。 (1) 対角行列どうしを掛け合わせると、結果も対角行列になることを示す。 (2) 上三角行列どうしを掛け合わせると上三角行列になり、下三角行列どうしを掛け合わせると下三角行列になることを示す。 (3) $B$ を $p \times q$ 行列とするとき、$B^T B$ と $BB^T$ が共に非負定値行列になることを示す。

代数学行列対角行列上三角行列下三角行列非負定値行列行列の積
2025/7/14

1. 問題の内容

問題は以下の3つの項目から構成されています。
(1) 対角行列どうしを掛け合わせると、結果も対角行列になることを示す。
(2) 上三角行列どうしを掛け合わせると上三角行列になり、下三角行列どうしを掛け合わせると下三角行列になることを示す。
(3) BBp×qp \times q 行列とするとき、BTBB^T BBBTBB^T が共に非負定値行列になることを示す。

2. 解き方の手順

(1) 対角行列どうしを掛け合わせると、結果も対角行列になることを示す。
対角行列 AABB を考えます。
A=(aij)A = (a_{ij}), B=(bij)B = (b_{ij}) とします。ただし、
iji \neq j のとき、aij=0a_{ij} = 0 かつ bij=0b_{ij} = 0 が成り立ちます。
C=ABC = AB とすると、C=(cij)C = (c_{ij}) であり、
cij=k=1naikbkjc_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} で計算されます。
iji \neq j のとき、cij=k=1naikbkj=aiibij+kiaikbkj=0+0=0c_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} = a_{ii}b_{ij} + \sum_{k \neq i} a_{ik}b_{kj} = 0 + 0 = 0 となります。
なぜなら、iji \neq j のとき、bkjb_{kj}kjk \neq j の時だけ0でなく、aika_{ik}i=ki = k の時だけ0でないからです。したがって、CC は対角行列です。
(2) 上三角行列どうしを掛け合わせると上三角行列になり、下三角行列どうしを掛け合わせると下三角行列になることを示す。
上三角行列 AABB を考えます。
A=(aij)A = (a_{ij}), B=(bij)B = (b_{ij}) とします。ただし、i>ji > j のとき、aij=0a_{ij} = 0 かつ bij=0b_{ij} = 0 が成り立ちます。
C=ABC = AB とすると、C=(cij)C = (c_{ij}) であり、cij=k=1naikbkjc_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} で計算されます。
i>ji > j のとき、cij=k=1naikbkjc_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} を考えます。aik0a_{ik} \neq 0 ならば iki \leq k であり、bkj0b_{kj} \neq 0 ならば kjk \leq j です。したがって、ikji \leq k \leq j となります。
しかし、i>ji > j なので、ikji \leq k \leq ji>ji > j を同時に満たす kk は存在しません。よって、aikbkj=0a_{ik}b_{kj} = 0 となり、cij=k=1naikbkj=0c_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} = 0 となります。
したがって、i>ji > j のとき、cij=0c_{ij} = 0 となるので、CC は上三角行列です。
下三角行列の場合も同様に証明できます。
下三角行列 AABB を考えます。
A=(aij)A = (a_{ij}), B=(bij)B = (b_{ij}) とします。ただし、i<ji < j のとき、aij=0a_{ij} = 0 かつ bij=0b_{ij} = 0 が成り立ちます。
C=ABC = AB とすると、C=(cij)C = (c_{ij}) であり、cij=k=1naikbkjc_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} で計算されます。
i<ji < j のとき、cij=k=1naikbkjc_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} を考えます。aik0a_{ik} \neq 0 ならば iki \geq k であり、bkj0b_{kj} \neq 0 ならば kjk \geq j です。したがって、ikji \geq k \geq j となります。
しかし、i<ji < j なので、ikji \geq k \geq ji<ji < j を同時に満たす kk は存在しません。よって、aikbkj=0a_{ik}b_{kj} = 0 となり、cij=k=1naikbkj=0c_{ij} = \sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj} = 0 となります。
したがって、i<ji < j のとき、cij=0c_{ij} = 0 となるので、CC は下三角行列です。
(3) BBp×qp \times q 行列とするとき、BTBB^T BBBTBB^T が共に非負定値行列になることを示す。
BTBB^T B が非負定値行列であることを示すには、任意のベクトル xx に対して、xT(BTB)x0x^T (B^T B) x \geq 0 が成り立つことを示せば良いです。
xT(BTB)x=(Bx)T(Bx)=Bx20x^T (B^T B) x = (Bx)^T (Bx) = ||Bx||^2 \geq 0 となります。
なぜなら、ベクトルのノルムの2乗は常に非負だからです。
BBTBB^T が非負定値行列であることを示すには、任意のベクトル yy に対して、yT(BBT)y0y^T (BB^T) y \geq 0 が成り立つことを示せば良いです。
yT(BBT)y=(BTy)T(BTy)=BTy20y^T (BB^T) y = (B^T y)^T (B^T y) = ||B^T y||^2 \geq 0 となります。
なぜなら、ベクトルのノルムの2乗は常に非負だからです。

3. 最終的な答え

(1) 対角行列どうしを掛けると対角行列になる。
(2) 上三角行列どうしを掛けると上三角行列になり、下三角行列どうしを掛けると下三角行列になる。
(3) BTBB^T BBBTBB^T はともに非負定値行列となる。

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