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1. 問題の内容
与えられた行列に関して、以下の問題を解きます。
1. 行列 $A = \begin{pmatrix} 2 & -3 & 3 \\ 1 & -2 & 3 \\ 1 & -1 & 2 \end{pmatrix}$ の固有値と固有ベクトルを求めます。
2. 行列 $A = \begin{pmatrix} 6 & 2 & -2 \\ 2 & 3 & -1 \\ 2 & 2 & 0 \end{pmatrix}$ が対角化可能かどうかを判断し、可能であれば対角化します。
3. 行列 $A = \begin{pmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 4 \end{pmatrix}$ を対角化し、それを利用して $A^n$ を求めます。
4. 実対称行列 $A = \begin{pmatrix} 2 & 1 & 1 \\ 1 & 2 & 1 \\ 1 & 1 & 2 \end{pmatrix}$ を直交行列によって対角化します。
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2. 解き方の手順
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1. 固有値と固有ベクトルの計算
1. **固有方程式を立てる:** 行列 $A$ の固有値を $\lambda$ とすると、固有方程式は $\text{det}(A - \lambda I) = 0$ で与えられます。ここで $I$ は単位行列です。
2. **固有方程式を解く:** 上記の行列式を計算し、$\lambda$ について解きます。
したがって、固有値は です。
3. **固有ベクトルを求める:** 各固有値に対して、$(A - \lambda I)v = 0$ を満たす固有ベクトル $v$ を求めます。
* :
解は .
* :
解は .
* :
解は or .
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2. 行列の対角化可能性の判定と対角化
1. **対角化可能性の判定:** 行列 $A$ が対角化可能であるための必要十分条件は、線形独立な固有ベクトルが $n$ 個存在することです($n$ は行列のサイズ)。
* **ヒント:** 固有ベクトルが3つあれば対角化可能。
2. **対角化:** 対角化可能な場合、固有ベクトルを並べて行列 $P$ を作り、$A$ を対角化する行列とします。$P^{-1}AP = D$ (対角行列)となります。
特性方程式は、
固有値は、 です。固有値が異なるので、対角化可能です。
固有ベクトルを求めます。
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:
:
したがって、,
が成立。
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3. 対角化を利用した $A^n$ の計算
1. **対角化の利用:** $A = PDP^{-1}$ と表せる場合、$A^n = PD^nP^{-1}$ となります。
は対角成分を 乗するだけで計算できます。
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4. 実対称行列の直交行列による対角化
1. **固有値と固有ベクトルを求める:** 上記 1 と同様の手順で固有値と固有ベクトルを求めます。
2. **直交行列を作る:** 固有ベクトルを正規化し、互いに直交な固有ベクトルを選びます。これらを列ベクトルとして並べた行列 $P$ が直交行列となります。$P^T A P = D$ (対角行列)が成立します。
グラムシュミットの正規直交化を行う
正規化を行う。
したがって、
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3. 最終的な答え
各問題の答えは以下の通りです。
1. 固有値: $\lambda_1 = 0, \lambda_2 = 4, \lambda_3 = -1$
固有ベクトル:
2. 対角化可能。
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