与えられたマクロ経済モデルについて、以下の問いに答えます。 (1) IS曲線とLM曲線をそれぞれ求める。 (2) 均衡GDP($Y^*$)と均衡利子率($i^*$)を求める。 (3) 完全雇用GDPが280のとき、現在の均衡GDPの不足分を求める。 (4) 完全雇用GDPを達成するために必要な財政支出を求める。 (5) 利子率$i$が3に近づいたときのLM曲線の形状と、その状況を何と呼ぶかを説明する。

応用数学マクロ経済学IS曲線LM曲線均衡GDP均衡利子率財政支出流動性の罠
2025/7/21

1. 問題の内容

与えられたマクロ経済モデルについて、以下の問いに答えます。
(1) IS曲線とLM曲線をそれぞれ求める。
(2) 均衡GDP(YY^*)と均衡利子率(ii^*)を求める。
(3) 完全雇用GDPが280のとき、現在の均衡GDPの不足分を求める。
(4) 完全雇用GDPを達成するために必要な財政支出を求める。
(5) 利子率iiが3に近づいたときのLM曲線の形状と、その状況を何と呼ぶかを説明する。

2. 解き方の手順

1-1: IS曲線とLM曲線をそれぞれ求める。
IS曲線:財市場の均衡条件 Y=C+I+GY = C + I + G に、与えられた消費関数 C=0.8Y+20C = 0.8Y + 20、投資関数 I=404iI = 40 - 4i、政府支出 G=0G = 0 を代入します。
Y=(0.8Y+20)+(404i)+0Y = (0.8Y + 20) + (40 - 4i) + 0
Y=0.8Y+604iY = 0.8Y + 60 - 4i
0.2Y=604i0.2Y = 60 - 4i
Y=30020iY = 300 - 20i
これがIS曲線です。
LM曲線:貨幣市場の均衡条件 L=M/PL = M/P を使います。ここで、LLは名目貨幣需要、MMは名目貨幣供給、PPは物価水準です。与えられた名目貨幣需要関数 L=(12Y+160i3)PL = (\frac{1}{2}Y + \frac{160}{i-3})P、名目貨幣供給 M=180M = 180、物価水準 P=1P = 1 を代入します。
12Y+160i3=180\frac{1}{2}Y + \frac{160}{i-3} = 180
12Y=180160i3\frac{1}{2}Y = 180 - \frac{160}{i-3}
Y=360320i3Y = 360 - \frac{320}{i-3}
これがLM曲線です。
1-2: 均衡GDP(YY^*)と均衡利子率(ii^*)を求める。
IS曲線とLM曲線を連立させて解きます。
Y=30020iY = 300 - 20i (IS曲線)
Y=360320i3Y = 360 - \frac{320}{i-3} (LM曲線)
30020i=360320i3300 - 20i = 360 - \frac{320}{i-3}
6020i=320i3-60 - 20i = - \frac{320}{i-3}
60+20i=320i360 + 20i = \frac{320}{i-3}
(60+20i)(i3)=320(60 + 20i)(i-3) = 320
60i180+20i260i=32060i - 180 + 20i^2 - 60i = 320
20i2180=32020i^2 - 180 = 320
20i2=50020i^2 = 500
i2=25i^2 = 25
i=±5i = \pm 5
利子率は正である必要があるため、i=5i^* = 5 となります。
Y=30020(5)=300100=200Y^* = 300 - 20(5) = 300 - 100 = 200
したがって、均衡利子率 i=5i^* = 5 で、均衡GDP Y=200Y^* = 200 です。
1-3: 完全雇用GDPが280のとき、現在の均衡GDPの不足分を求める。
完全雇用GDPは280で、現在の均衡GDPは200なので、不足分は 280200=80280 - 200 = 80 です。
1-4: 完全雇用GDPを達成するために必要な財政支出を求める。
IS曲線の式 Y=C+I+GY = C + I + G において、政府支出GGが変化すると、GDP YY も変化します。消費関数C=0.8Y+20C=0.8Y+20、投資関数I=404iI=40-4iを代入します。また、利子率i=5i=5も代入します。目標GDPは280なので、Y=280Y=280を代入します。
280=0.8(280)+20+404(5)+G280 = 0.8(280) + 20 + 40 - 4(5) + G
280=224+20+4020+G280 = 224 + 20 + 40 - 20 + G
280=264+G280 = 264 + G
G=280264=16G = 280 - 264 = 16
現在の政府支出はG=0G=0なので、必要な財政支出は1616です。
1-5: 利子率iiが3に近づいたときのLM曲線の形状と、その状況を何と呼ぶかを説明する。
LM曲線は Y=360320i3Y = 360 - \frac{320}{i-3} で与えられます。利子率iiが3に近づくと、分母 i3i-3 が0に近づきます。したがって、320i3\frac{320}{i-3} の絶対値は無限大に近づきます。これは、iiが3に近づくと、YY も無限大に近づくか、負の無限大に近づくことを意味します。
このため、LM曲線はi=3i=3の付近で垂直に近くなります。
このような状況は、流動性の罠(Liquidity Trap)の一つの極端なケースとして解釈できることがあります。

3. 最終的な答え

1-1:
IS曲線: Y=30020iY = 300 - 20i
LM曲線: Y=360320i3Y = 360 - \frac{320}{i-3}
1-2:
均衡GDP: Y=200Y^* = 200
均衡利子率: i=5i^* = 5
1-3:
不足分: 80
1-4:
必要な財政支出: 16
1-5:
LM曲線はi=3i=3の付近で垂直に近くなる。このような状況は、流動性の罠に関連する。

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