ベクトル場 $\mathbf{A} = 2x\mathbf{i} + y\mathbf{j} + 2z\mathbf{k}$ に対して、面積分 $\iint_S \mathbf{A} \cdot d\mathbf{S}$ を求めます。ただし、$S$ は平面 $x+y+z=1$ で、$x \ge 0$, $y \ge 0$, $z \ge 0$ を満たす領域であり、$d\mathbf{S}$ の方向は平面の法線方向(外向き)とします。

応用数学ベクトル解析面積分ガウスの発散定理
2025/7/25

1. 問題の内容

ベクトル場 A=2xi+yj+2zk\mathbf{A} = 2x\mathbf{i} + y\mathbf{j} + 2z\mathbf{k} に対して、面積分 SAdS\iint_S \mathbf{A} \cdot d\mathbf{S} を求めます。ただし、SS は平面 x+y+z=1x+y+z=1 で、x0x \ge 0, y0y \ge 0, z0z \ge 0 を満たす領域であり、dSd\mathbf{S} の方向は平面の法線方向(外向き)とします。

2. 解き方の手順

平面 SSx+y+z=1x+y+z=1 であり、z=1xyz = 1-x-y と表せます。このとき、位置ベクトル r(x,y)=xi+yj+(1xy)k\mathbf{r}(x, y) = x\mathbf{i} + y\mathbf{j} + (1-x-y)\mathbf{k} とパラメータ表示できます。
法線ベクトル dSd\mathbf{S} は、
rx×rydxdy\frac{\partial \mathbf{r}}{\partial x} \times \frac{\partial \mathbf{r}}{\partial y} \, dx \, dy
で与えられます。計算すると、
rx=ik,ry=jk\frac{\partial \mathbf{r}}{\partial x} = \mathbf{i} - \mathbf{k}, \quad \frac{\partial \mathbf{r}}{\partial y} = \mathbf{j} - \mathbf{k}
より、
rx×ry=(ik)×(jk)=i×ji×kk×j+k×k=k+j+i+0=i+j+k\frac{\partial \mathbf{r}}{\partial x} \times \frac{\partial \mathbf{r}}{\partial y} = (\mathbf{i} - \mathbf{k}) \times (\mathbf{j} - \mathbf{k}) = \mathbf{i} \times \mathbf{j} - \mathbf{i} \times \mathbf{k} - \mathbf{k} \times \mathbf{j} + \mathbf{k} \times \mathbf{k} = \mathbf{k} + \mathbf{j} + \mathbf{i} + \mathbf{0} = \mathbf{i} + \mathbf{j} + \mathbf{k}
したがって、dS=(i+j+k)dxdyd\mathbf{S} = (\mathbf{i} + \mathbf{j} + \mathbf{k}) \, dx \, dy となります。これは外向きの法線ベクトルです。
次に、AdS\mathbf{A} \cdot d\mathbf{S} を計算します。
AdS=(2xi+yj+2zk)(i+j+k)dxdy=(2x+y+2z)dxdy\mathbf{A} \cdot d\mathbf{S} = (2x\mathbf{i} + y\mathbf{j} + 2z\mathbf{k}) \cdot (\mathbf{i} + \mathbf{j} + \mathbf{k}) \, dx \, dy = (2x + y + 2z) \, dx \, dy
z=1xyz = 1-x-y を代入すると、
2x+y+2(1xy)=2x+y+22x2y=2y2x + y + 2(1-x-y) = 2x + y + 2 - 2x - 2y = 2 - y
したがって、
SAdS=D(2y)dxdy\iint_S \mathbf{A} \cdot d\mathbf{S} = \iint_D (2-y) \, dx \, dy
ここで、DDxyxy 平面上の三角形領域で、x0x \ge 0, y0y \ge 0, x+y1x+y \le 1 で定義されます。積分の範囲は 0x1y0 \le x \le 1-y, 0y10 \le y \le 1 となります。
D(2y)dxdy=0101y(2y)dxdy=01(2y)(1y)dy=01(23y+y2)dy\iint_D (2-y) \, dx \, dy = \int_0^1 \int_0^{1-y} (2-y) \, dx \, dy = \int_0^1 (2-y)(1-y) \, dy = \int_0^1 (2 - 3y + y^2) \, dy
=[2y32y2+13y3]01=232+13=129+26=56= \left[ 2y - \frac{3}{2}y^2 + \frac{1}{3}y^3 \right]_0^1 = 2 - \frac{3}{2} + \frac{1}{3} = \frac{12 - 9 + 2}{6} = \frac{5}{6}

3. 最終的な答え

56\frac{5}{6}

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