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1. 問題の内容
1. 与えられた行列 $A$ と $B$ について、$AB-BA$、$(A+B)(A-B)$、${}^tAA + {}^tBB$ を計算します。
2. 与えられた行列 $A, B, C, D$ のうち、積が定義できる組み合わせを見つけ、その積を計算します。
3. 連立方程式 $\begin{cases} x + 3z = 1 \\ 2x + 3y + 4z = 3 \\ x + 3y + z = a \end{cases}$ について、係数行列 $A$ の階数 $\text{rank}(A)$ を求め、正則行列かどうかを判定し、解を持つような定数 $a$ の値を求め、その時の解を求めます。
4. 与えられた行列 $A = \begin{pmatrix} 1 & 7 & -3 \\ 5 & 0 & 1 \\ -4 & 1 & 8 \end{pmatrix}$ について、対称行列と交代行列の定義を書き、行列 $A$ を対称行列 $B$ と交代行列 $C$ の和で表します。
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2. 解き方の手順
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1. 行列 $A$ と $B$ について
(1)
まず、 と を計算します。
したがって、
(2)
まず、 と を計算します。
したがって、
(3)
まず、 と を計算します。
したがって、
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2. 行列の積が定義できる組み合わせ
積が定義できる組み合わせは以下の通りです。
*
*
*
*
*
*
*
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: これは計算できません。Bは で、Cは なので、積は定義できません。
: これは計算できません。Cは で、Bは なので、積は定義できません。
: これは計算できません。Dは で、Bは なので、積は定義できません。
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3. 連立方程式
(1) 係数行列 の階数 を求める。
行列式を計算します。
したがって、 です。
次に、 の小行列式を計算します。
したがって、
(2) は正則行列か。
より、 は正則行列ではありません。
(3) この連立方程式が解を持つように定数 の値を求める。
拡大係数行列を作ります。
行基本変形を行います。
(, )
()
解を持つためには、 である必要があるので、
(4) 上の (3) で求めた定数 のとき、連立方程式の解を全て求める。
のとき、
とすると、
したがって、解は
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4. 行列 $A$ について
(1) 行列 が対称行列であることの定義を書きなさい。
対称行列 とは、 を満たす行列のことです。つまり、 の 成分と 成分が等しい行列のことです。
(2) 行列 が交代行列であることの定義を書きなさい。
交代行列 とは、 を満たす行列のことです。つまり、 の 成分と 成分が互いに 倍の関係にあり、対角成分がすべて である行列のことです。
(3) 行列 を対称行列 と交代行列 の和で表しなさい。
となるように、 と を求めます。
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3. 最終的な答え
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1. (1) $AB - BA = \begin{pmatrix} -28 & 4 & -2 \\ 16 & -2 & 4 \\ -3 & 6 & 30 \end{pmatrix}$
(2)
(3)
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2. $AC = \begin{pmatrix} 8 & 23 \\ -21 & 2 \end{pmatrix}$
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3. (1) $\text{rank}(A) = 2$
(2) は正則行列ではない。
(3)
(4)
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4. (1) 対称行列 $B$ とは、${}^tB = B$ を満たす行列のことです。
(2) 交代行列 とは、 を満たす行列のことです。
(3)