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1. 問題の内容
問題は大きく分けて4つあります。
1. 2つの行列$A, B$が与えられたとき、$AB-BA$, $(A+B)(A-B)$, ${}^tAA + {}^tBB$を計算する。
2. 4つの行列$A, B, C, D$が与えられたとき、行列の積が定義できる組を全て挙げ、その積を計算する。
3. 連立一次方程式が与えられたとき、係数行列$A$の階数$rank(A)$を求め、$A$が正則行列かどうかを判定し、連立方程式が解を持つように定数$a$の値を求め、そのときの解を全て求める。
4. 行列$A$が与えられたとき、対称行列の定義、交代行列の定義を書き、$A$を対称行列$B$と交代行列$C$の和で表す。
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2. 解き方の手順
各問題ごとに手順を説明します。
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1. 行列の計算
(1) を計算します。まず、とを計算し、その差を計算します。
,
,
(2) を計算します。まず、とを計算し、その積を計算します。
,
(3) を計算します。まず、とを計算し、とを計算し、その和を計算します。
,
,
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2. 行列の積の定義
行列の積が定義できるのは、とのとき、の場合のみです。
与えられた行列は以下の通りです。
, , ,
それぞれのサイズは、, , , です。
したがって積が定義できるのは、
* :
* :
* :
* :
* : は定義できない
* :
となります。これらの積を計算します。
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3. 連立一次方程式
(1) 係数行列Aは
を求める。行列式を計算すると、
したがって、。
小行列式を計算すると、例えば
したがって、。
(2) なので、は正則行列ではない。
(3) 拡大係数行列は
行基本変形を行う。
解を持つためには、でなければならない。したがって、。
(4) のとき、連立方程式は
とおくと
したがって、解は
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4. 対称行列と交代行列
(1) 行列が対称行列であるとは、を満たすことである。つまり、が全てのについて成り立つ。
(2) 行列が交代行列であるとは、を満たすことである。つまり、が全てのについて成り立つ。特に、対角成分は全て0である。
(3) 行列を対称行列と交代行列の和で表す。
, とすると、となる。
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3. 最終的な答え
1. (1) $\begin{pmatrix} -28 & 1 & -4 \\ 15 & 10 & 11 \\ 3 & -3 & 23 \end{pmatrix}$
(2)
(3)
2. $AC = \begin{pmatrix} 4 & 23 \\ -21 & -12 \end{pmatrix}$, $AD = \begin{pmatrix} 12 & 14 & -1 \\ 5 & -2 & -31 \end{pmatrix}$, $CA = \begin{pmatrix} 3 & 4 & 13 \\ 6 & 3 & 9 \\ -37 & -1 & -4 \end{pmatrix}$, $DC = \begin{pmatrix} -2 & 1 \\ 3 & -2 \\ 14 & 16 \end{pmatrix}$, $BD = \begin{pmatrix} 17 & 14 & -11 \end{pmatrix}$
3. (1) $rank(A) = 2$
(2) 正則行列ではない
(3)
(4)
4. (1) ${}^tB = B$
(2)
(3) ,