1次元の無限に深いポテンシャル井戸に閉じ込められた電子を考える。井戸の幅は$L$であり、壁は$x=0$と$x=L$にある。電子の波動関数$\phi(x)$は、微分方程式 $\frac{d^2\phi}{dx^2} = -k^2\phi$ に従う。ここで、$k$は正の定数。境界条件は$\phi(0) = \phi(L) = 0$である。 (a) $\phi(x)$の一般解を三角関数を用いて表す。 (b) 境界条件$\phi(0) = 0$を利用して、一般解に含まれる2つの任意定数のうちの片方を決定する。 (c) さらに境界条件$\phi(L) = 0$を利用して、残りの任意定数の値を決定できるか検討する。ただし、任意の$x$で$\phi(x) = 0$となる解は電子が存在しないことを意味するため、採用できない。

応用数学量子力学シュレーディンガー方程式微分方程式境界条件固有値問題
2025/7/26

1. 問題の内容

1次元の無限に深いポテンシャル井戸に閉じ込められた電子を考える。井戸の幅はLLであり、壁はx=0x=0x=Lx=Lにある。電子の波動関数ϕ(x)\phi(x)は、微分方程式 d2ϕdx2=k2ϕ\frac{d^2\phi}{dx^2} = -k^2\phi に従う。ここで、kkは正の定数。境界条件はϕ(0)=ϕ(L)=0\phi(0) = \phi(L) = 0である。
(a) ϕ(x)\phi(x)の一般解を三角関数を用いて表す。
(b) 境界条件ϕ(0)=0\phi(0) = 0を利用して、一般解に含まれる2つの任意定数のうちの片方を決定する。
(c) さらに境界条件ϕ(L)=0\phi(L) = 0を利用して、残りの任意定数の値を決定できるか検討する。ただし、任意のxxϕ(x)=0\phi(x) = 0となる解は電子が存在しないことを意味するため、採用できない。

2. 解き方の手順

(a) 微分方程式 d2ϕdx2=k2ϕ\frac{d^2\phi}{dx^2} = -k^2\phi の一般解を求める。この微分方程式の解は、三角関数の線形結合で表される。したがって、一般解は次のように書ける。
ϕ(x)=Acos(kx)+Bsin(kx)\phi(x) = A\cos(kx) + B\sin(kx)
ここで、AABBは任意定数である。
(b) 境界条件 ϕ(0)=0\phi(0) = 0 を利用する。
x=0x=0 を代入すると、
ϕ(0)=Acos(0)+Bsin(0)=A(1)+B(0)=A=0\phi(0) = A\cos(0) + B\sin(0) = A(1) + B(0) = A = 0
したがって、A=0A=0である。これにより、一般解は次のように簡略化される。
ϕ(x)=Bsin(kx)\phi(x) = B\sin(kx)
(c) 境界条件 ϕ(L)=0\phi(L) = 0 を利用する。
x=Lx=L を代入すると、
ϕ(L)=Bsin(kL)=0\phi(L) = B\sin(kL) = 0
B=0B=0とすると、ϕ(x)=0\phi(x)=0 となり、これは自明な解で、電子が存在しないことを意味するため、問題文の条件から除外される。したがって、B0B \neq 0でなければならない。
よって、sin(kL)=0\sin(kL) = 0を満たす必要がある。
これは、kL=nπkL = n\pi (ここで、nnは整数)のときに成り立つ。
したがって、k=nπLk = \frac{n\pi}{L} である。
kk は正の定数なので、n>0n>0 である。
ϕ(x)=Bsin(nπLx)\phi(x) = B\sin\left(\frac{n\pi}{L}x\right)
ここで、BBは規格化条件によって決まる定数。 nn は正の整数である。

3. 最終的な答え

(a) ϕ(x)=Acos(kx)+Bsin(kx)\phi(x) = A\cos(kx) + B\sin(kx)
(b) A=0A = 0, ϕ(x)=Bsin(kx)\phi(x) = B\sin(kx)
(c) k=nπLk = \frac{n\pi}{L} (n は正の整数), ϕ(x)=Bsin(nπLx)\phi(x) = B\sin\left(\frac{n\pi}{L}x\right)
ここで、BBは任意定数。

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