競争市場において、企業の総費用 $TC$、限界費用 $MC$、市場の需要曲線が与えられている。 $TC = 5 + q + \frac{1}{2}q^2$ $MC = 1 + q$ $P = 10 - Q$ ここで、$q$ は個々の企業の生産量、$Q$ は市場全体の生産量、$P$ は価格である。 現時点で5社の企業が参入している。以下の3つの問題を解く。 (1) この市場における短期の均衡価格を求める。 (2) 各社の利潤を求める。 (3) 参入と退出が自由な長期均衡において、市場に何社の企業が参入しているか答える。

1. 問題の内容

競争市場において、企業の総費用 $TC$、限界費用 $MC$、市場の需要曲線が与えられている。

$TC = 5 + q + \frac{1}{2}q^2$

$MC = 1 + q$

$P = 10 - Q$

ここで、$q$ は個々の企業の生産量、$Q$ は市場全体の生産量、$P$ は価格である。

現時点で5社の企業が参入している。以下の3つの問題を解く。

(1) この市場における短期の均衡価格を求める。

(2) 各社の利潤を求める。

(3) 参入と退出が自由な長期均衡において、市場に何社の企業が参入しているか答える。

2. 解き方の手順

(1) 短期の均衡価格を求める。

完全競争市場なので、$P = MC$ が成立する。

総供給量 $Q$ は、各企業の生産量の合計なので、$Q = 5q$ となる。

需要曲線は $P = 10 - Q$ なので、$P = 10 - 5q$。

$P = MC$ より、$10 - 5q = 1 + q$。

これを解くと、$6q = 9$ となり、$q = \frac{3}{2} = 1.5$。

したがって、$P = 10 - 5 \times \frac{3}{2} = 10 - \frac{15}{2} = \frac{20 - 15}{2} = \frac{5}{2} = 2.5$。

(2) 各社の利潤を求める。

利潤 $\pi$ は、$\pi = PQ - TC$ で求められる。

$P = 2.5$、$q = 1.5$ より、

$\pi = 2.5 \times 1.5 - (5 + 1.5 + \frac{1}{2}(1.5)^2) = 3.75 - (5 + 1.5 + 1.125) = 3.75 - 7.625 = -3.875$

(3) 長期均衡において、市場に何社の企業が参入しているか答える。

長期均衡では、企業の利潤はゼロになる。つまり、$P = AC$。

平均費用 $AC$ は、$AC = \frac{TC}{q} = \frac{5}{q} + 1 + \frac{1}{2}q$。

利潤がゼロなので、$P = MC = AC$ が成立する。

$MC = AC$ より、$1 + q = \frac{5}{q} + 1 + \frac{1}{2}q$。

これを解くと、$\frac{1}{2}q = \frac{5}{q}$ となり、$q^2 = 10$。

$q = \sqrt{10}$

$P = 1 + q = 1 + \sqrt{10}$

$P = 10 - Q$ より、$1 + \sqrt{10} = 10 - Q$。

$Q = 9 - \sqrt{10}$

企業の数を $n$ とすると、$Q = nq$。

$9 - \sqrt{10} = n \sqrt{10}$

$n = \frac{9 - \sqrt{10}}{\sqrt{10}} = \frac{9}{\sqrt{10}} - 1 \approx \frac{9}{3.16} - 1 \approx 2.85 - 1 = 1.85$

3. 最終的な答え

(1) 短期の均衡価格: 2.5

(2) 各社の利潤: -3.875

(3) 長期均衡における企業の数: $\frac{9}{\sqrt{10}} - 1$ (約 1.85)