ある物質Aの分解反応について、反応速度式、半減期と初濃度の関係、反応速度定数と絶対温度の関係が与えられている。これらの情報をもとに、反応次数、半減期、活性化エネルギー、および特定の条件下での残存時間を求める。

応用数学反応速度式半減期活性化エネルギーアレニウスの式微分方程式
2025/7/27

1. 問題の内容

ある物質Aの分解反応について、反応速度式、半減期と初濃度の関係、反応速度定数と絶対温度の関係が与えられている。これらの情報をもとに、反応次数、半減期、活性化エネルギー、および特定の条件下での残存時間を求める。

2. 解き方の手順

(1) Aの分解反応の反応次数を求める。
図1から、半減期 t1/2t_{1/2} と初濃度 A0A_0 の関係がわかる。グラフは直線であり、t1/2t_{1/2}A0A_0 に比例していると考えられる。
t1/2A0t_{1/2} \propto A_0
反応速度式は v=k[A]av = k[A]^a と表される。
半減期の式は反応次数によって異なる。
0次反応: t1/2=[A]02kt_{1/2} = \frac{[A]_0}{2k}
1次反応: t1/2=ln2kt_{1/2} = \frac{\ln 2}{k}
2次反応: t1/2=1k[A]0t_{1/2} = \frac{1}{k[A]_0}
t1/2t_{1/2}A0A_0 に比例するのは0次反応の場合である。
したがって、反応次数は0である。
(2) Aの87℃における半減期を求める。
図1より、87℃における半減期 t1/2t_{1/2} と初濃度 A0A_0 の関係を表すグラフがある。
ln(t1/2)ln(t_{1/2}) vs ln(A0)ln(A_0) のグラフから傾きを求める。直線上の2点を読み取る。
例えば、(0, 0.2)と(4, 1.4)を読むと、
傾き = 1.40.240=1.24=0.3\frac{1.4 - 0.2}{4 - 0} = \frac{1.2}{4} = 0.3
したがって、ln(t1/2)=ln(t1/2)A0=1+0.3ln(A0)ln(t_{1/2}) = ln(t_{1/2})_{A_0=1} + 0.3 ln(A_0)となる。
A0=1A_0=1 のとき、ln(t1/2)=0.2ln(t_{1/2})=0.2 なので、t1/2=e0.21.22t_{1/2} = e^{0.2} \approx 1.22 時間である。
A0=100A_0=100 mg/mLのときのt1/2t_{1/2}を求める。
図1のグラフはlnA0ln A_0 に対する lnt1/2ln t_{1/2} のグラフであるから、
A0A_0 が1から100に変化すると、lnA0ln A_0ln(100)=ln(102)=2ln(10)=2×2.3=4.6ln(100) = ln(10^2) = 2 ln(10) = 2 \times 2.3 = 4.6だけ変化する。
したがって、lnt1/2ln t_{1/2}0.3×4.6=1.380.3 \times 4.6 = 1.38 だけ変化する。
lnt1/2=0.2+1.38=1.58ln t_{1/2} = 0.2 + 1.38 = 1.58
t1/2=e1.584.86t_{1/2} = e^{1.58} \approx 4.86 時間
残存濃度と時間との関係を表すグラフを書く。
0次反応なので、 [A]=[A]0kt[A] = [A]_0 - kt
半減期 t1/2=[A]02kt_{1/2} = \frac{[A]_0}{2k} より、 k=[A]02t1/2k = \frac{[A]_0}{2t_{1/2}}
k=1002×4.8610.29 mg/mL hrk = \frac{100}{2 \times 4.86} \approx 10.29 \text{ mg/mL hr}
[A]=10010.29t[A] = 100 - 10.29t
[A]=0[A]=0 になるのは、t=10010.299.72t = \frac{100}{10.29} \approx 9.72 時間
縦軸に残存濃度[A]、横軸に時間tをとる。
[A]はtの一次関数なので、(0, 100)と(9.72, 0)を結ぶ直線を描く。
(3) Aの分解反応の活性化エネルギーを求める。
図2より、 lnk=2610000×(1/T)ln k = 26 - 10000 \times (1/T)
アレニウスの式は k=AeEa/RTk = A e^{-E_a/RT} なので、lnk=lnAEaRTln k = ln A - \frac{E_a}{RT}
lnk=2610000Tln k = 26 - \frac{10000}{T}
EaR=10000\frac{E_a}{R} = 10000
Ea=10000×R=10000×8.3=83000 J/mol=83 kJ/molE_a = 10000 \times R = 10000 \times 8.3 = 83000 \text{ J/mol} = 83 \text{ kJ/mol}
(4) 7℃で90%残存する時間を求める。
T=7C=273+7=280 KT = 7^\circ C = 273 + 7 = 280 \text{ K}
lnk=2610000280=2635.71=9.71ln k = 26 - \frac{10000}{280} = 26 - 35.71 = -9.71
k=e9.716.01×105 hr1k = e^{-9.71} \approx 6.01 \times 10^{-5} \text{ hr}^{-1}
0次反応なので、[A]=[A]0kt[A] = [A]_0 - kt
0.9[A]0=[A]0kt0.9[A]_0 = [A]_0 - kt
0.1[A]0=kt0.1[A]_0 = kt
t=0.1[A]0k=0.1[A]06.01×105=1663.9[A]0t = \frac{0.1[A]_0}{k} = \frac{0.1[A]_0}{6.01 \times 10^{-5}} = 1663.9 [A]_0
初濃度[A]0[A]_0が指定されていないので、時間も決められない。
[A]0=100 mg/mL[A]_0 = 100 \text{ mg/mL}と仮定すると、t=166390 hrt = 166390 \text{ hr}
別の解き方:
Aの分解反応速度はv=k[A]0=kv = k[A]^0 = kであるから、速度はAの濃度に依存しない。
7℃で90%残存する場合、[A]t=0.9[A]0[A]_t = 0.9[A]_0
[A]t=[A]0kt[A]_t = [A]_0 - ktより、0.9[A]0=[A]0kt0.9[A]_0 = [A]_0 - kt
0.1[A]0=kt0.1[A]_0 = kt
t=0.1[A]0kt = \frac{0.1[A]_0}{k}
ここで、問題にはAの初濃度が与えられていないので、[A]0[A]_0を特定できない。したがって、時間tを求めることができない。
もしも初濃度[A]0=1[A]_0=1と仮定した場合:
T=280KT=280 Kのときのkはk=e2610000280=e2635.71=e9.716.00×105k=e^{26-\frac{10000}{280}} = e^{26-35.71}=e^{-9.71} \approx 6.00 \times 10^{-5}
t=0.16.00×105=1666.7 hourst=\frac{0.1}{6.00 \times 10^{-5}}=1666.7 \text{ hours}

3. 最終的な答え

(1) 0次
(2) 4.86 時間。残存濃度と時間のグラフは、(0, 100)と(9.72, 0)を結ぶ直線。
(3) 83 kJ/mol
(4) 初濃度が不明なので、具体的な値は求められない。初濃度を[A]0[A]_0とすると、t=0.1[A]0kt = \frac{0.1[A]_0}{k}。もし[A]0=1[A]_0=1であれば、t1666.7 hourst \approx 1666.7 \text{ hours}

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