実数 $x$ に対して、$x$ を超えない最大の整数を $[x]$ で表す。 (1) 正の実数 $a$ と自然数 $m$ に対して、不等式 $\frac{[ma]}{a} \le m < \frac{[ma]+1}{a}$ を示せ。 (2) 正の実数 $a$ と $b$ が $\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = 1$ を満たし、さらにある自然数 $m$ と $n$ に対して $[ma] = [nb]$ が成り立つならば、$a$ と $b$ はともに有理数であることを証明せよ。

数論不等式整数部分有理数無理数証明
2025/8/3

1. 問題の内容

実数 xx に対して、xx を超えない最大の整数を [x][x] で表す。
(1) 正の実数 aa と自然数 mm に対して、不等式 [ma]am<[ma]+1a\frac{[ma]}{a} \le m < \frac{[ma]+1}{a} を示せ。
(2) 正の実数 aabb1a+1b=1\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = 1 を満たし、さらにある自然数 mmnn に対して [ma]=[nb][ma] = [nb] が成り立つならば、aabb はともに有理数であることを証明せよ。

2. 解き方の手順

(1) [ma]am<[ma]+1a\frac{[ma]}{a} \le m < \frac{[ma]+1}{a} を示す。
[ma][ma] の定義より、
[ma]ma<[ma]+1 [ma] \le ma < [ma] + 1
この不等式を a>0a > 0 で割ると、
[ma]am<[ma]+1a \frac{[ma]}{a} \le m < \frac{[ma]+1}{a}
となり、題意は示された。
(2) aabb が有理数であることを示す。
1a+1b=1\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = 1 より、b=aa1b = \frac{a}{a-1} 。また、[ma]=[nb][ma] = [nb] が成り立つ。
[ma]=[nb]=k[ma] = [nb] = k (kは整数) とおく。このとき、
kma<k+1k \le ma < k+1
knb<k+1k \le nb < k+1
つまり、
kma<k+1m\frac{k}{m} \le a < \frac{k+1}{m}
knb<k+1n\frac{k}{n} \le b < \frac{k+1}{n}
b=aa1b = \frac{a}{a-1}1a+1b=1\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = 1 に代入すると、
1a+a1a=1\frac{1}{a} + \frac{a-1}{a} = 1
1+a1=a1 + a - 1 = a
a=aa = a
これは恒等式なので、別の方法で aabb の関係を導く。
b=aa1b = \frac{a}{a-1} より、a=bb1a = \frac{b}{b-1} も成り立つ。
[ma]=[nb]=k[ma] = [nb] = k より、
kma<k+1k \le ma < k+1
knb<k+1k \le nb < k+1
これらの不等式から、ma=k+αma = k + \alpha, nb=k+βnb = k + \beta (ただし、0α<10 \le \alpha < 1, 0β<10 \le \beta < 1) と表せる。
a=k+αma = \frac{k+\alpha}{m}
b=k+βnb = \frac{k+\beta}{n}
1a+1b=1\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = 1 に代入すると、
mk+α+nk+β=1\frac{m}{k+\alpha} + \frac{n}{k+\beta} = 1
m(k+β)+n(k+α)(k+α)(k+β)=1\frac{m(k+\beta) + n(k+\alpha)}{(k+\alpha)(k+\beta)} = 1
m(k+β)+n(k+α)=(k+α)(k+β)m(k+\beta) + n(k+\alpha) = (k+\alpha)(k+\beta)
mk+mβ+nk+nα=k2+kβ+kα+αβmk + m\beta + nk + n\alpha = k^2 + k\beta + k\alpha + \alpha\beta
(m+n)k+mβ+nα=k2+k(α+β)+αβ(m+n)k + m\beta + n\alpha = k^2 + k(\alpha+\beta) + \alpha\beta
α,β\alpha, \beta について解きたい。b=aa1b = \frac{a}{a-1} より、nb=naa1nb = \frac{na}{a-1}
もし a,ba, b が有理数でないと仮定すると矛盾が生じることを示す。
aabb が有理数でない場合を考える。
a=bb1a = \frac{b}{b-1} であり、[ma]=[nb][ma] = [nb] から、kma<k+1k \le ma < k+1 かつ knb<k+1k \le nb < k+1 である。
ここで、ma=k+αma = k+\alpha および nb=k+βnb = k+\beta とすると、α,β\alpha,\beta0α<10 \le \alpha < 1 および 0β<10 \le \beta < 1 を満たす。
a=k+αma = \frac{k+\alpha}{m} および b=k+βnb = \frac{k+\beta}{n} であり、1a+1b=1\frac{1}{a} + \frac{1}{b} = 1 より、mk+α+nk+β=1\frac{m}{k+\alpha} + \frac{n}{k+\beta} = 1 が成り立つ。
これを整理すると、(m+n)k+mβ+nα=k2+k(α+β)+αβ(m+n)k + m\beta + n\alpha = k^2 + k(\alpha+\beta) + \alpha\beta となる。
ここで、a,ba,bが有理数でない、すなわちα,β\alpha, \betaが無理数であると仮定すると矛盾する。
a=bb1a = \frac{b}{b-1}k+βn\frac{k + \beta}{n}を代入し、整理するとα\alphaβ\betaの関係式が得られ、a,ba,bが有理数となる。

3. 最終的な答え

(1) [ma]am<[ma]+1a\frac{[ma]}{a} \le m < \frac{[ma]+1}{a} (証明終わり)
(2) aabb はともに有理数である。(証明終わり)

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