位置 $x(t)$ が $x(t) = x_0 (1 - e^{-t/\tau})$ (ただし $t \ge 0$) で与えられる物体の運動について考える。 (a) 速度 $v(t)$ を求め、$x(t)$ および $v(t)$ のグラフを示す。 (b) 運動開始直後の $x(t)$ および $v(t)$ を近似的に求め、それぞれのグラフ上に示す。また、これに基づき、この物体の運動を定性的に説明する。 (c) $\tau$ は時定数(あるいは減衰時間、緩和時間)と呼ばれる。これはどのような時間を指すのか、元の式および近似式の両面でその意味(定義)を考察し、説明する。

応用数学微分指数関数運動近似時定数物理
2025/4/23

1. 問題の内容

位置 x(t)x(t)x(t)=x0(1et/τ)x(t) = x_0 (1 - e^{-t/\tau}) (ただし t0t \ge 0) で与えられる物体の運動について考える。
(a) 速度 v(t)v(t) を求め、x(t)x(t) および v(t)v(t) のグラフを示す。
(b) 運動開始直後の x(t)x(t) および v(t)v(t) を近似的に求め、それぞれのグラフ上に示す。また、これに基づき、この物体の運動を定性的に説明する。
(c) τ\tau は時定数(あるいは減衰時間、緩和時間)と呼ばれる。これはどのような時間を指すのか、元の式および近似式の両面でその意味(定義)を考察し、説明する。

2. 解き方の手順

(a) 速度 v(t)v(t) は、位置 x(t)x(t) の時間微分として求められる。
v(t)=dx(t)dt=ddt[x0(1et/τ)]=x0ddt(1et/τ)=x0(0(1τ)et/τ)=x0τet/τv(t) = \frac{dx(t)}{dt} = \frac{d}{dt} [x_0 (1 - e^{-t/\tau})] = x_0 \frac{d}{dt} (1 - e^{-t/\tau}) = x_0 (0 - (-\frac{1}{\tau})e^{-t/\tau}) = \frac{x_0}{\tau} e^{-t/\tau}
x(t)x(t)t=0t=000 から始まり、tt が大きくなるにつれて x0x_0 に漸近する。
v(t)v(t)t=0t=0x0τ\frac{x_0}{\tau} から始まり、tt が大きくなるにつれて 00 に漸近する。
(b) 運動開始直後、つまり t0t \approx 0 のとき、et/τ1tτe^{-t/\tau} \approx 1 - \frac{t}{\tau} と近似できる。
したがって、x(t)x0(1(1tτ))=x0tτx(t) \approx x_0 (1 - (1 - \frac{t}{\tau})) = x_0 \frac{t}{\tau}
また、v(t)x0τ(1tτ)v(t) \approx \frac{x_0}{\tau} (1 - \frac{t}{\tau})
x(t)x(t)tt に比例して増加し、v(t)v(t)x0τ\frac{x_0}{\tau} から線形的に減少する。
(c) 時定数 τ\tau は、指数関数が e10.368e^{-1} \approx 0.368 倍に減衰する時間である。
元の式 x(t)=x0(1et/τ)x(t) = x_0 (1 - e^{-t/\tau}) では、t=τt = \tau のとき x(τ)=x0(1e1)0.632x0x(\tau) = x_0 (1 - e^{-1}) \approx 0.632 x_0 となり、位置が最終値 x0x_0 の約63.2% に達する時間を示している。
近似式 x(t)x0tτx(t) \approx x_0 \frac{t}{\tau} を使うと、v(t)v(t)t=0t=0 において x0τ\frac{x_0}{\tau} であり、時間 τ\tau が経過すると速度は v(t)x0τ(1tτ)v(t) \approx \frac{x_0}{\tau}(1 - \frac{t}{\tau}) より v(t)x0τ(11)=0v(t) \approx \frac{x_0}{\tau}(1-1)=0 になるため、 τ\tau は速度が減衰する特性時間を示している。

3. 最終的な答え

(a) v(t)=x0τet/τv(t) = \frac{x_0}{\tau} e^{-t/\tau}
(b) x(t)x0tτx(t) \approx x_0 \frac{t}{\tau}, v(t)x0τ(1tτ)v(t) \approx \frac{x_0}{\tau} (1 - \frac{t}{\tau})
(c) 時定数 τ\tau は、位置が最終値の約 63.2% に達する時間、あるいは速度が減衰する特性時間を示す。

「応用数学」の関連問題

長さ1.5m、断面積30mm²の鋼線に、引張荷重1500Nを加えたときの伸びの長さと引張応力を求めなさい。ただし、鋼材のヤング率Eは206GPaとする。

力学材料力学引張応力ヤング率ひずみ
2025/5/19

ヤング率が190GPaの軟鋼丸棒に20MPaの引張応力が生じているときの縦ひずみを求める。

ヤング率弾性応力ひずみ材料力学
2025/5/19

長さ$l=1000 \text{ mm}$の片持ち梁が等分布荷重$w=2 \text{ N/mm}$を受けている。自由端Aから400mmの点Cにおけるせん断力$F_C$を求める。

力学構造力学せん断力片持ち梁等分布荷重
2025/5/19

片持ち梁に3つの荷重 $W_1 = 15N$, $W_2 = 10N$, $W_3 = 8N$ が作用している。これらの荷重によるせん断力図(SFD)を描く問題である。梁の全長は $l = 1.2m$...

構造力学せん断力図力学材料力学
2025/5/19

50 kNの圧縮荷重を鋳鉄製の正方形の柱で受けたい。鋳鉄の圧縮強さが800 MPa、安全率が5であるとき、正方形の一辺の長さを求める。

応力圧縮荷重安全率断面積不等式
2025/5/19

練習8は、練習7で扱ったワイヤロープを使って、500kNの物体をつり下げるために、ワイヤロープが何本必要かを求める問題です。練習7から、ワイヤロープの許容最大荷重が79kNであることが分かっています。

計算割り算不等号エンジニアリング
2025/5/19

断面積が $720 mm^2$ で、破断荷重が $474 kN$ のワイヤロープがある。安全率を6として、このロープの破断強さと、かけられる許容最大荷重を求める。

力学材料力学応力荷重安全率
2025/5/19

実数 $x$, $y$ が次の4つの条件を満たしながら動くとき、$x+y$ の最大値と、最大値を与える $x$, $y$ の値を求めよ。 $3x+4y \le 20$, $3x+2y \le 12$,...

線形計画法不等式最大値領域
2025/5/19

実数 $x, y$ が4つの条件 $3x + 4y \le 20$, $3x + 2y \le 12$, $x \ge 0$, $y \ge 0$ をすべて満たしながら動くとき、$x + y$ の最大...

線形計画法不等式最大値グラフ
2025/5/19

軟鋼の丸棒に35kNの引張荷重を安全な状態で加える場合、軟鋼の引張強さが420MPa、安全率を5とするとき、丸棒の直径を求める問題です。

応力引張荷重断面積安全率材料力学
2025/5/19