質量$M$の物体が速度$V$で$x$軸上を運動中に爆発し、質量$\frac{2M}{3}$の物体Aと質量$\frac{M}{3}$の物体Bに分裂した。分裂後、物体Aは$x$軸から45°、物体Bは$x$軸から-30°の方向に進んだ。物体A, Bの速度の大きさをそれぞれ$v_A$, $v_B$とする。爆発の前後で何が成り立つか、運動量保存則を用いて$v_A$と$v_B$を求め、爆発による力学的エネルギーの増加を求める。

応用数学力学運動量保存則エネルギー保存ベクトル
2025/4/24

1. 問題の内容

質量MMの物体が速度VVxx軸上を運動中に爆発し、質量2M3\frac{2M}{3}の物体Aと質量M3\frac{M}{3}の物体Bに分裂した。分裂後、物体Aはxx軸から45°、物体Bはxx軸から-30°の方向に進んだ。物体A, Bの速度の大きさをそれぞれvAv_A, vBv_Bとする。爆発の前後で何が成り立つか、運動量保存則を用いてvAv_AvBv_Bを求め、爆発による力学的エネルギーの増加を求める。

2. 解き方の手順

(1) 爆発によって物体AとBが受ける力積は、互いに作用・反作用の関係にあるので、大きさは等しく、向きは反対である。
爆発の前後で運動量保存則が成り立つ。
xx成分について、
MV=2M3vAcos45+M3vBcos(30)M V = \frac{2M}{3} v_A \cos 45^{\circ} + \frac{M}{3} v_B \cos (-30^{\circ})
yy成分について、
0=2M3vAsin45+M3vBsin(30)0 = \frac{2M}{3} v_A \sin 45^{\circ} + \frac{M}{3} v_B \sin (-30^{\circ})
MV=2M3vA22+M3vB32M V = \frac{2M}{3} v_A \frac{\sqrt{2}}{2} + \frac{M}{3} v_B \frac{\sqrt{3}}{2}
0=2M3vA22M3vB120 = \frac{2M}{3} v_A \frac{\sqrt{2}}{2} - \frac{M}{3} v_B \frac{1}{2}
これらの式を整理すると、
V=23vA+36vBV = \frac{\sqrt{2}}{3} v_A + \frac{\sqrt{3}}{6} v_B
0=23vA16vB0 = \frac{\sqrt{2}}{3} v_A - \frac{1}{6} v_B
2つ目の式から、
vB=22vAv_B = 2 \sqrt{2} v_A
これを1つ目の式に代入すると、
V=23vA+36(22vA)=23vA+63vA=2+63vAV = \frac{\sqrt{2}}{3} v_A + \frac{\sqrt{3}}{6} (2 \sqrt{2} v_A) = \frac{\sqrt{2}}{3} v_A + \frac{\sqrt{6}}{3} v_A = \frac{\sqrt{2} + \sqrt{6}}{3} v_A
よって、
vA=3V2+6=3V(62)(6+2)(62)=3V(62)62=3V(62)4v_A = \frac{3V}{\sqrt{2} + \sqrt{6}} = \frac{3V (\sqrt{6} - \sqrt{2})}{(\sqrt{6} + \sqrt{2})(\sqrt{6} - \sqrt{2})} = \frac{3V (\sqrt{6} - \sqrt{2})}{6 - 2} = \frac{3V (\sqrt{6} - \sqrt{2})}{4}
vB=22vA=223V(62)4=32V(62)2=3V(232)2=3V(31)v_B = 2 \sqrt{2} v_A = 2 \sqrt{2} \frac{3V (\sqrt{6} - \sqrt{2})}{4} = \frac{3 \sqrt{2} V (\sqrt{6} - \sqrt{2})}{2} = \frac{3 V (2 \sqrt{3} - 2)}{2} = 3V (\sqrt{3} - 1)
(2) 爆発による力学的エネルギーの増加ΔE\Delta Eは、
ΔE=122M3vA2+12M3vB212MV2\Delta E = \frac{1}{2} \frac{2M}{3} v_A^2 + \frac{1}{2} \frac{M}{3} v_B^2 - \frac{1}{2} M V^2
=M3(3V(62)4)2+M6(3V(31))212MV2= \frac{M}{3} (\frac{3V(\sqrt{6} - \sqrt{2})}{4})^2 + \frac{M}{6} (3V(\sqrt{3} - 1))^2 - \frac{1}{2} M V^2
=M39V2(6212+2)16+M69V2(323+1)12MV2= \frac{M}{3} \frac{9 V^2 (6 - 2\sqrt{12} + 2)}{16} + \frac{M}{6} 9 V^2 (3 - 2\sqrt{3} + 1) - \frac{1}{2} M V^2
=3MV2(843)16+3MV2(423)212MV2= \frac{3 M V^2 (8 - 4\sqrt{3})}{16} + \frac{3 M V^2 (4 - 2\sqrt{3})}{2} - \frac{1}{2} M V^2
=34MV2(8434+4232)= \frac{3}{4} M V^2 (\frac{8 - 4\sqrt{3}}{4} + 4 - 2\sqrt{3} - 2)
=34MV2(23+223)= \frac{3}{4} M V^2 (2 - \sqrt{3} + 2 - 2\sqrt{3})
=34MV2(433)= \frac{3}{4} M V^2 (4 - 3\sqrt{3})
=MV2(12934)= M V^2 (\frac{12-9\sqrt{3}}{4})

3. 最終的な答え

(1)
ア: 等しい
イ: 反対
ウ: 運動量保存則
エ: MV=2M3vAcos45+M3vBcos(30)MV = \frac{2M}{3} v_A \cos 45^{\circ} + \frac{M}{3} v_B \cos (-30^{\circ})
オ: 0=2M3vAsin45+M3vBsin(30)0 = \frac{2M}{3} v_A \sin 45^{\circ} + \frac{M}{3} v_B \sin (-30^{\circ})
カ: vA=3V(62)4v_A = \frac{3V (\sqrt{6} - \sqrt{2})}{4}
キ: vB=3V(31)v_B = 3V (\sqrt{3} - 1)
(2)
ク: 34MV2(433)\frac{3}{4} M V^2 (4 - 3\sqrt{3})

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