$n$ を整数、$p$ を 2 以上の整数で素数とするとき、3次方程式 $x^3 + nx^2 + n^2 x = p$ が正の整数 $x = \alpha$ を解に持つ。 (1) $\alpha = 1$ であることを示す。 (2) 上の3次方程式が $k + \sqrt{2}i$ ($k$ は実数、$i$ は虚数単位) を解に持つとき、$p$ の値を求める。

1. 問題の内容

$n$ を整数、$p$ を 2 以上の整数で素数とするとき、3次方程式 $x^3 + nx^2 + n^2 x = p$ が正の整数 $x = \alpha$ を解に持つ。

(1) $\alpha = 1$ であることを示す。

(2) 上の3次方程式が $k + \sqrt{2}i$ ($k$ は実数、$i$ は虚数単位) を解に持つとき、$p$ の値を求める。

2. 解き方の手順

(1) $\alpha$ が方程式 $x^3 + nx^2 + n^2 x = p$ の解であるから、

$\alpha^3 + n\alpha^2 + n^2 \alpha = p$ が成り立つ。$\alpha$ は正の整数、$p$ は素数であるから、$\alpha$ は $p$ の約数である。

もし $\alpha > 1$ であると仮定すると、$\alpha \ge 2$ である。

このとき、$\alpha^3 + n\alpha^2 + n^2 \alpha = \alpha(\alpha^2 + n\alpha + n^2) = p$ であるから、$\alpha$ は $p$ の約数である。$p$ は素数なので、その約数は 1 と $p$ 自身しかない。したがって、$\alpha = p$ または $\alpha = 1$ である。

$\alpha = p$ と仮定すると、$p^3 + np^2 + n^2 p = p$ となる。これを $p$ で割ると、$p^2 + np + n^2 = 1$。

$p \ge 2$ より、$p^2 \ge 4$ であるから、$p^2 + np + n^2 = 1$ は成り立たない。したがって、$\alpha = p$ は不適である。

よって、$\alpha = 1$ である。

(2) $\alpha = 1$ より、$1^3 + n(1)^2 + n^2(1) = p$、すなわち $1 + n + n^2 = p$。

3次方程式 $x^3 + nx^2 + n^2 x = p$ が $k + \sqrt{2}i$ を解に持つとき、係数がすべて実数であるから、$k - \sqrt{2}i$ も解に持つ。

解と係数の関係より、3つの解の和は $-n$ であるから、$1 + (k + \sqrt{2}i) + (k - \sqrt{2}i) = -n$。

よって、$1 + 2k = -n$。

$k = -\frac{n+1}{2}$。

また、$k + \sqrt{2}i$ と $k - \sqrt{2}i$ を解に持つ2次方程式は

$(x - (k + \sqrt{2}i))(x - (k - \sqrt{2}i)) = (x - k)^2 + 2 = x^2 - 2kx + k^2 + 2$。

したがって、$x^3 + nx^2 + n^2 x - p = (x - 1)(x^2 - 2kx + k^2 + 2)$ が成り立つ。

これを展開すると、$x^3 - 2kx^2 + (k^2 + 2)x - x^2 + 2kx - (k^2 + 2) = x^3 + (-2k-1)x^2 + (k^2 + 2 + 2k)x - (k^2 + 2)$。

したがって、

$n = -2k - 1$

$n^2 = k^2 + 2 + 2k$

$p = k^2 + 2$

$k = -\frac{n+1}{2}$ を $p = k^2 + 2$ に代入すると、$p = \left(-\frac{n+1}{2}\right)^2 + 2 = \frac{n^2 + 2n + 1}{4} + 2 = \frac{n^2 + 2n + 9}{4}$。

$1 + n + n^2 = p$ でもあるから、$1 + n + n^2 = \frac{n^2 + 2n + 9}{4}$。

$4(1 + n + n^2) = n^2 + 2n + 9$ より、$4 + 4n + 4n^2 = n^2 + 2n + 9$。

$3n^2 + 2n - 5 = 0$

$(3n + 5)(n - 1) = 0$

$n = 1$ または $n = -\frac{5}{3}$。$n$ は整数なので、$n = 1$。

$p = 1 + n + n^2 = 1 + 1 + 1 = 3$。

$n = 1$ のとき、$k = -\frac{1+1}{2} = -1$。

$x^3 + x^2 + x = 3$ の解は $1, -1 \pm \sqrt{2}i$ である。

3. 最終的な答え

(1) $\alpha = 1$

(2) $p = 3$