与えられた行列 $A = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 1 \\ 3 & 5 & 1 \\ 0 & 1 & 2 \end{bmatrix}$ に対して、以下の問題を解きます。 (1) 連立1次方程式 $Ax = 0$ を解きます。ただし、$x = \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix}$ です。 (2) $AB = 0$ となる正方行列 $B$ をすべて求めます。 (3) $AC = CA = 0$ となる正方行列 $C$ をすべて求めます。 (4) 実数を成分に持つ正方行列 $A$ に対して、次の2条件が同値であることを証明します。 (i) $A$ は零因子である。 (ii) $A$ は正則でない。
2025/4/30
1. 問題の内容
与えられた行列 に対して、以下の問題を解きます。
(1) 連立1次方程式 を解きます。ただし、 です。
(2) となる正方行列 をすべて求めます。
(3) となる正方行列 をすべて求めます。
(4) 実数を成分に持つ正方行列 に対して、次の2条件が同値であることを証明します。
(i) は零因子である。
(ii) は正則でない。
2. 解き方の手順
(1) を解く。
まず、与えられた行列 とベクトル を用いて連立一次方程式を書き下します。
これは以下の連立方程式と同値です。
3番目の式から が得られます。これを1番目と2番目の式に代入します。
したがって、 となります。
(2) となる正方行列 を求める。
とおきます。
より、 の各列ベクトル に対して、 が成り立ちます。
したがって、各列ベクトルは (1) で求めた の解の形をしている必要があります。
(ただし、 は任意のスカラー)
したがって、 (ただし、 は任意のスカラー)
(3) となる正方行列 を求める。
であり、 が正方行列なので、 は 行列です。
とおきます。
と を同時に満たす を求めるのは難しいので、 の固有値を調べてみます。
したがって、 です。
の固有値はすべて異なるので、 は対角化可能です。
(ただし、 は対角行列で、 は正則行列)
より、
とおくと、
から、 (ただし、 は任意のスカラー)
最終的に、 は行列 の核空間と像空間に関わる行列となりますが、正確な形を求めるのはかなり大変です。
(4) (i) は零因子である (ii) は正則でない。
(i) (ii): が零因子であると仮定すると、 となる が存在します。もし が正則だと仮定すると、 が存在します。 の両辺に左から をかけると、 となり、 という仮定に矛盾します。したがって、 は正則ではありません。
(ii) (i): が正則でないと仮定すると、 です。このとき、 は非自明な解を持ちます(すなわち、 なる解を持ちます)。したがって、 となる が存在します。 を列ベクトルとする行列 を考えると、 となり、 です。したがって、 は零因子です。
3. 最終的な答え
(1) (ただし、 は任意のスカラー)
(2) (ただし、 は任意のスカラー)
(3) (ただし、 は任意のスカラー、 は を対角化する行列、 と は計算困難)
(4) 証明は上記参照