与えられた行列が直交行列となるように、$a, b, c$の値を定める問題です。直交行列とは、転置行列が逆行列と一致する行列のことです。つまり、$A^T A = I$ (ここで$A^T$は$A$の転置行列、$I$は単位行列)が成り立つ行列です。 (1) の行列 $A = \begin{bmatrix} a & -b & -c \\ a & b & -c \\ a & 0 & 2c \end{bmatrix}$ (2) の行列 $A = \begin{bmatrix} a & 2a & a \\ b & 0 & -b \\ c & -c & c \end{bmatrix}$

代数学行列線形代数直交行列ベクトルの内積
2025/5/2

1. 問題の内容

与えられた行列が直交行列となるように、a,b,ca, b, cの値を定める問題です。直交行列とは、転置行列が逆行列と一致する行列のことです。つまり、ATA=IA^T A = I (ここでATA^TAAの転置行列、IIは単位行列)が成り立つ行列です。
(1) の行列
A=[abcabca02c]A = \begin{bmatrix} a & -b & -c \\ a & b & -c \\ a & 0 & 2c \end{bmatrix}
(2) の行列
A=[a2aab0bccc]A = \begin{bmatrix} a & 2a & a \\ b & 0 & -b \\ c & -c & c \end{bmatrix}

2. 解き方の手順

(1) の行列について:
行列AAの列ベクトルをそれぞれv1,v2,v3\vec{v_1}, \vec{v_2}, \vec{v_3}とすると、直交行列であるためには、以下の条件を満たす必要があります。
* vivi=1\vec{v_i} \cdot \vec{v_i} = 1 (各列ベクトルのノルムが1)
* vivj=0\vec{v_i} \cdot \vec{v_j} = 0 (異なる列ベクトル同士の内積が0)
各列ベクトルのノルムの条件より
a2+a2+a2=13a2=1a=±13a^2 + a^2 + a^2 = 1 \Rightarrow 3a^2 = 1 \Rightarrow a = \pm \frac{1}{\sqrt{3}}
(b)2+b2+02=12b2=1b=±12(-b)^2 + b^2 + 0^2 = 1 \Rightarrow 2b^2 = 1 \Rightarrow b = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}
(c)2+(c)2+(2c)2=16c2=1c=±16(-c)^2 + (-c)^2 + (2c)^2 = 1 \Rightarrow 6c^2 = 1 \Rightarrow c = \pm \frac{1}{\sqrt{6}}
異なる列ベクトルの内積の条件より
v1v2=a(b)+a(b)+a(0)=0\vec{v_1} \cdot \vec{v_2} = a(-b) + a(b) + a(0) = 0 (これは常に成り立つ)
v1v3=a(c)+a(c)+a(2c)=0\vec{v_1} \cdot \vec{v_3} = a(-c) + a(-c) + a(2c) = 0 (これは常に成り立つ)
v2v3=(b)(c)+b(c)+0(2c)=0\vec{v_2} \cdot \vec{v_3} = (-b)(-c) + b(-c) + 0(2c) = 0 (これは常に成り立つ)
したがって、a=±13,b=±12,c=±16a = \pm \frac{1}{\sqrt{3}}, b = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}, c = \pm \frac{1}{\sqrt{6}}が解となります。
(2) の行列について:
行列AAの列ベクトルをそれぞれv1,v2,v3\vec{v_1}, \vec{v_2}, \vec{v_3}とすると、直交行列であるためには、以下の条件を満たす必要があります。
* vivi=1\vec{v_i} \cdot \vec{v_i} = 1 (各列ベクトルのノルムが1)
* vivj=0\vec{v_i} \cdot \vec{v_j} = 0 (異なる列ベクトル同士の内積が0)
各列ベクトルのノルムの条件より
a2+b2+c2=1a^2 + b^2 + c^2 = 1
(2a)2+02+(c)2=14a2+c2=1(2a)^2 + 0^2 + (-c)^2 = 1 \Rightarrow 4a^2 + c^2 = 1
a2+(b)2+c2=1a2+b2+c2=1a^2 + (-b)^2 + c^2 = 1 \Rightarrow a^2 + b^2 + c^2 = 1
異なる列ベクトルの内積の条件より
v1v2=a(2a)+b(0)+c(c)=02a2c2=0c2=2a2\vec{v_1} \cdot \vec{v_2} = a(2a) + b(0) + c(-c) = 0 \Rightarrow 2a^2 - c^2 = 0 \Rightarrow c^2 = 2a^2
v1v3=a(a)+b(b)+c(c)=0a2b2+c2=0\vec{v_1} \cdot \vec{v_3} = a(a) + b(-b) + c(c) = 0 \Rightarrow a^2 - b^2 + c^2 = 0
v2v3=2a(a)+0(b)+(c)(c)=02a2c2=0c2=2a2\vec{v_2} \cdot \vec{v_3} = 2a(a) + 0(-b) + (-c)(c) = 0 \Rightarrow 2a^2 - c^2 = 0 \Rightarrow c^2 = 2a^2
c2=2a2c^2 = 2a^24a2+c2=14a^2 + c^2 = 1に代入すると、4a2+2a2=16a2=1a2=16a=±164a^2 + 2a^2 = 1 \Rightarrow 6a^2 = 1 \Rightarrow a^2 = \frac{1}{6} \Rightarrow a = \pm \frac{1}{\sqrt{6}}
c2=2a2=13c=±13c^2 = 2a^2 = \frac{1}{3} \Rightarrow c = \pm \frac{1}{\sqrt{3}}
a2b2+c2=0b2=a2+c2=16+13=12b=±12a^2 - b^2 + c^2 = 0 \Rightarrow b^2 = a^2 + c^2 = \frac{1}{6} + \frac{1}{3} = \frac{1}{2} \Rightarrow b = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}
したがって、a=±16,b=±12,c=±13a = \pm \frac{1}{\sqrt{6}}, b = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}, c = \pm \frac{1}{\sqrt{3}}が解となります。

3. 最終的な答え

(1)
a=±13,b=±12,c=±16a = \pm \frac{1}{\sqrt{3}}, b = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}, c = \pm \frac{1}{\sqrt{6}}
(2)
a=±16,b=±12,c=±13a = \pm \frac{1}{\sqrt{6}}, b = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}, c = \pm \frac{1}{\sqrt{3}}

「代数学」の関連問題

一次不等式 $2x - 3 < 7$ を解き、$x$の範囲を求めます。

一次不等式不等式
2025/5/3

次の不等式のうち、$x=4$ が解であるものを選ぶ問題です。選択肢は以下の3つです。 (1) $2x+1 < 5$ (2) $1-x < -2$ (3) $-3x+5 \ge 0$

不等式一次不等式代入
2025/5/3

数列 $a_n$ が与えられています。$a_n = -6 \cdot 2^{n-1} + 9 \cdot 3^{n-1}$。この数列の一般項を求める問題です。

数列一般項指数法則
2025/5/3

与えられた数式 $xy + 2y + x + 2$ を因数分解する問題です。

因数分解多項式
2025/5/3

$k$ を定数として、3次方程式 $x^3 - \frac{3}{2}x^2 - 6x - k = 0$ について、以下の問いに答えます。 (1) この方程式が異なる3つの実数解を持つような $k$ ...

三次方程式解の配置微分増減解と係数の関係
2025/5/3

与えられた漸化式 $ \frac{a_n}{3^n} = -2(\frac{2}{3})^{n-1} + 3 $ に対して、$a_n$ を求める問題です。

漸化式数列式の変形
2025/5/3

与えられた式 $(11^3 + 3 \times 11^2 + 14^3 - 3 \times 14^2) \div (20^2 - 6^2)$ を計算せよ。

式の計算因数分解展開分数
2025/5/3

与えられた2つの行列が直交行列であることを示す問題です。行列が直交行列であるとは、その行列の転置行列が逆行列と等しい、つまり $A^T A = A A^T = I$ (Iは単位行列) が成り立つことを...

線形代数行列直交行列行列の計算転置行列
2025/5/2

50円の贈答用の箱に、1個180円のシュークリームと1個130円のプリンを合わせて20個入れ、全体の金額を3200円以上3300円未満にしたい。シュークリームの個数を何個にすればよいか。

不等式文章問題一次不等式
2025/5/2

問題は、与えられた $a$ と $b$ の値に対して、以下の2つの不等式が成り立つことを確認することです。 * $-2a > -b$ * $\frac{a}{-3} > \frac{b}{-3...

不等式数式の計算大小比較
2025/5/2