複素関数 $f(z) = \frac{|z|^2}{z}$ が、$z \neq 0$ の範囲で微分可能かどうかを、コーシー・リーマンの微分方程式を用いて判定する問題です。

解析学複素関数微分可能性コーシー・リーマンの微分方程式
2025/5/5

1. 問題の内容

複素関数 f(z)=z2zf(z) = \frac{|z|^2}{z} が、z0z \neq 0 の範囲で微分可能かどうかを、コーシー・リーマンの微分方程式を用いて判定する問題です。

2. 解き方の手順

まず、z=x+iyz = x + iy と表すと、 z2=x2+y2|z|^2 = x^2 + y^2 なので、
f(z)=x2+y2x+iyf(z) = \frac{x^2 + y^2}{x + iy}
となります。実部と虚部に分けるために、xiyx - iy を分母分子にかけます。
f(z)=(x2+y2)(xiy)(x+iy)(xiy)=(x2+y2)(xiy)x2+y2=xiyf(z) = \frac{(x^2 + y^2)(x - iy)}{(x + iy)(x - iy)} = \frac{(x^2 + y^2)(x - iy)}{x^2 + y^2} = x - iy
したがって、f(z)=u(x,y)+iv(x,y)f(z) = u(x, y) + iv(x, y) とすると、 u(x,y)=xu(x, y) = x , v(x,y)=yv(x, y) = -y となります。
次に、コーシー・リーマンの微分方程式を確認します。
ux=vy\frac{\partial u}{\partial x} = \frac{\partial v}{\partial y}
uy=vx\frac{\partial u}{\partial y} = -\frac{\partial v}{\partial x}
偏微分を計算します。
ux=xx=1\frac{\partial u}{\partial x} = \frac{\partial x}{\partial x} = 1
uy=xy=0\frac{\partial u}{\partial y} = \frac{\partial x}{\partial y} = 0
vx=(y)x=0\frac{\partial v}{\partial x} = \frac{\partial (-y)}{\partial x} = 0
vy=(y)y=1\frac{\partial v}{\partial y} = \frac{\partial (-y)}{\partial y} = -1
これらの偏微分をコーシー・リーマンの微分方程式に代入します。
1=11 = -1
0=00 = -0
コーシー・リーマンの関係式の一つ1=11=-1が成立しないので、f(z)f(z) は微分可能ではありません。ただし、z=0z=0ではコーシー・リーマンの関係式は成立しませんが、原点では微分可能になる可能性があります。ただし、z0z \neq 0 では微分可能ではありません。

3. 最終的な答え

f(z)=z2zf(z) = \frac{|z|^2}{z} は、z0z \neq 0 において微分可能ではない。

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