アルミニウムは他の金属の酸化物を還元するのに用いられる。次の酸化物CuO(s), ZnO(s), CaO(s)のうち、アルミニウムによって還元されないものはどれかを選ぶ問題。酸化物Al2O3(s), CuO(s), ZnO(s), CaO(s)の標準生成ギブズエネルギーはそれぞれ-376.8, -30.4, -76.05, -144.4 kcal/molである。金属単体の標準生成ギブズエネルギーは0とする。

応用数学熱力学ギブズエネルギー化学反応酸化還元反応
2025/5/9

1. 問題の内容

アルミニウムは他の金属の酸化物を還元するのに用いられる。次の酸化物CuO(s), ZnO(s), CaO(s)のうち、アルミニウムによって還元されないものはどれかを選ぶ問題。酸化物Al2O3(s), CuO(s), ZnO(s), CaO(s)の標準生成ギブズエネルギーはそれぞれ-376.8, -30.4, -76.05, -144.4 kcal/molである。金属単体の標準生成ギブズエネルギーは0とする。

2. 解き方の手順

アルミニウムによる酸化物の還元反応は、一般的に以下の形で表せる。
2Al(s)+xMO(s)Al2Ox(s)+xM(s)2Al(s) + xMO(s) \rightarrow Al_2O_x(s) + xM(s)
ここで、MOMOは金属酸化物、MMは金属を表す。この反応のギブズエネルギー変化(ΔG\Delta G)が負であれば、反応は自発的に起こり、アルミニウムは金属酸化物を還元できる。ΔG\Delta Gは生成物のギブズエネルギーの和から反応物のギブズエネルギーの和を引いたものであり、金属単体のギブズエネルギーは0であることに注意すると、
ΔG=G(Al2O3)xG(MO)\Delta G = G(Al_2O_3) - xG(MO)
となる。
各酸化物についてΔG\Delta Gを計算する。
* CuOの場合、x=2/1x=2/1となる。 Al2O3Al_2O_3を生成すると考えると,Al2OxAl_2O_xにおいてx=3とならないため、この考え方では計算できない。 問題文にあるテルミット反応を参照すると、酸化数からx=3x=3となる。 つまり、Al2O3Al_2O_3を生成する反応
2Al(s)+3CuO(s)Al2O3(s)+3Cu(s)2Al(s) + 3CuO(s) \rightarrow Al_2O_3(s) + 3Cu(s)
におけるギブズエネルギー変化を計算すると、
ΔG=G(Al2O3)3G(CuO)=376.83(30.4)=376.8+91.2=285.6\Delta G = G(Al_2O_3) - 3G(CuO) = -376.8 - 3(-30.4) = -376.8 + 91.2 = -285.6 kcal/mol
* ZnOの場合、x=3/1x=3/1となる。
2Al(s)+3ZnO(s)Al2O3(s)+3Zn(s)2Al(s) + 3ZnO(s) \rightarrow Al_2O_3(s) + 3Zn(s)
におけるギブズエネルギー変化を計算すると、
ΔG=G(Al2O3)3G(ZnO)=376.83(76.05)=376.8+228.15=148.65\Delta G = G(Al_2O_3) - 3G(ZnO) = -376.8 - 3(-76.05) = -376.8 + 228.15 = -148.65 kcal/mol
* CaOの場合、x=3/1x=3/1となる。
2Al(s)+3CaO(s)Al2O3(s)+3Ca(s)2Al(s) + 3CaO(s) \rightarrow Al_2O_3(s) + 3Ca(s)
におけるギブズエネルギー変化を計算すると、
ΔG=G(Al2O3)3G(CaO)=376.83(144.4)=376.8+433.2=56.4\Delta G = G(Al_2O_3) - 3G(CaO) = -376.8 - 3(-144.4) = -376.8 + 433.2 = 56.4 kcal/mol
ΔG\Delta Gが負であるCuOとZnOはアルミニウムによって還元されるが、ΔG\Delta Gが正であるCaOはアルミニウムによって還元されない。

3. 最終的な答え

CaO(s)

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