高さ $z$ の関数である空気の圧力 $p$ と密度 $\rho$ に関する問題です。 1) 微小領域に働く力のつり合いから、与えられた式 (4) を導出します。 2) 式 (4) を $\Delta z$ の1次まで近似し、$p'(z) + \rho(z)g = 0$ を導出します。 3) 空気が理想気体の状態方程式に従うとして、$p' + \frac{Mg}{RT}p = 0$ を示し、$z=0$ での気圧が $p_0$ である初期条件を満たす解を求めます。 4) 与えられた定数を用いて、$p(z) = \frac{1}{2}p_0$ となる高さ $z$ を求めます。

応用数学微分方程式物理圧力大気圧テイラー展開
2025/5/9

1. 問題の内容

高さ zz の関数である空気の圧力 pp と密度 ρ\rho に関する問題です。
1) 微小領域に働く力のつり合いから、与えられた式 (4) を導出します。
2) 式 (4) を Δz\Delta z の1次まで近似し、p(z)+ρ(z)g=0p'(z) + \rho(z)g = 0 を導出します。
3) 空気が理想気体の状態方程式に従うとして、p+MgRTp=0p' + \frac{Mg}{RT}p = 0 を示し、z=0z=0 での気圧が p0p_0 である初期条件を満たす解を求めます。
4) 与えられた定数を用いて、p(z)=12p0p(z) = \frac{1}{2}p_0 となる高さ zz を求めます。

2. 解き方の手順

1) 微小領域に働く力のつり合いを考えます。
高さ zz における圧力を p(z)p(z) とし、高さ z+Δzz+\Delta z における圧力を p(z+Δz)p(z+\Delta z) とします。
微小円柱の断面積を ΔS\Delta S とすると、上向きの力は p(z)ΔSp(z)\Delta S であり、下向きの力は p(z+Δz)ΔS+ρ(z)gΔzΔSp(z+\Delta z)\Delta S + \rho(z)g\Delta z \Delta S です。
力のつり合いより、
p(z)ΔS=p(z+Δz)ΔS+ρ(z)gΔzΔSp(z)\Delta S = p(z+\Delta z)\Delta S + \rho(z)g\Delta z \Delta S
両辺を ΔS\Delta S で割ると、
p(z)=p(z+Δz)+ρ(z)gΔzp(z) = p(z+\Delta z) + \rho(z)g\Delta z
したがって、
p(z+Δz)+ρ(z)gΔz=p(z)p(z+\Delta z) + \rho(z)g\Delta z = p(z)
2) 式 (4) は p(z+Δz)+ρ(z)gΔz=p(z)p(z+\Delta z) + \rho(z)g\Delta z = p(z) であり、Δz\Delta z が微小であるため、p(z+Δz)p(z+\Delta z) をテイラー展開の1次までで近似します。
p(z+Δz)p(z)+p(z)Δzp(z+\Delta z) \approx p(z) + p'(z)\Delta z
これを式 (4) に代入すると、
p(z)+p(z)Δz+ρ(z)gΔz=p(z)p(z) + p'(z)\Delta z + \rho(z)g\Delta z = p(z)
p(z)Δz+ρ(z)gΔz=0p'(z)\Delta z + \rho(z)g\Delta z = 0
両辺を Δz\Delta z で割ると、
p(z)+ρ(z)g=0p'(z) + \rho(z)g = 0
3) 理想気体の状態方程式は pV=nRTpV = nRT であり、密度 ρ=nMV\rho = \frac{nM}{V} となります。
したがって、p=ρRTMp = \frac{\rho RT}{M} となり、ρ=MpRT\rho = \frac{Mp}{RT} となります。
これより、p(z)+MgRTp(z)=0p'(z) + \frac{Mg}{RT}p(z) = 0 となります。
この微分方程式を解きます。
dpdz=MgRTp\frac{dp}{dz} = -\frac{Mg}{RT}p
dpp=MgRTdz\frac{dp}{p} = -\frac{Mg}{RT}dz
両辺を積分すると、
dpp=MgRTdz\int \frac{dp}{p} = \int -\frac{Mg}{RT}dz
lnp=MgRTz+C\ln p = -\frac{Mg}{RT}z + C
p(z)=eMgRTz+C=eCeMgRTzp(z) = e^{-\frac{Mg}{RT}z + C} = e^C e^{-\frac{Mg}{RT}z}
z=0z=0p(0)=p0p(0) = p_0 なので、p0=eCe0=eCp_0 = e^C e^0 = e^C となります。
したがって、p(z)=p0eMgRTzp(z) = p_0 e^{-\frac{Mg}{RT}z}
4) p(z)=12p0p(z) = \frac{1}{2}p_0 となる zz を求めます。
12p0=p0eMgRTz\frac{1}{2}p_0 = p_0 e^{-\frac{Mg}{RT}z}
12=eMgRTz\frac{1}{2} = e^{-\frac{Mg}{RT}z}
ln12=MgRTz\ln \frac{1}{2} = -\frac{Mg}{RT}z
ln2=MgRTz-\ln 2 = -\frac{Mg}{RT}z
z=RTMgln2z = \frac{RT}{Mg} \ln 2
M=29×103M = 29 \times 10^{-3} kg/mol, T=290T = 290 K, R=8.3R = 8.3 J/mol K, g=9.8g = 9.8 m/s2^2, ln2=0.69\ln 2 = 0.69 を代入すると、
z=8.3×29029×103×9.8×0.69=8.3×290×0.6929×103×9.8=8.3×10×0.69103×9.857.270.00985843.87z = \frac{8.3 \times 290}{29 \times 10^{-3} \times 9.8} \times 0.69 = \frac{8.3 \times 290 \times 0.69}{29 \times 10^{-3} \times 9.8} = \frac{8.3 \times 10 \times 0.69}{10^{-3} \times 9.8} \approx \frac{57.27}{0.0098} \approx 5843.87

3. 最終的な答え

1) p(z+Δz)+ρ(z)gΔz=p(z)p(z+\Delta z) + \rho(z)g\Delta z = p(z)
2) p(z)+ρ(z)g=0p'(z) + \rho(z)g = 0
3) p(z)=p0eMgRTzp(z) = p_0 e^{-\frac{Mg}{RT}z}
4) z=5843.87z = 5843.87 m (約5844 m)

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