写像 $f: X \to Y$、および $X$ の部分集合 $A, B$ と、$Y$ の部分集合 $C, D$ について、以下の命題が正しければ証明し、正しくない場合は反例を挙げます。 (1) $f$ が全射ならば、$f(A) \subset f(B) \implies A \subset B$. (2) $f$ が単射ならば、$f(A) \subset f(B) \implies A \subset B$. (3) $f$ が全射ならば、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \implies C \subset D$. (4) $f$ が単射ならば、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \implies C \subset D$.

代数学写像集合単射全射逆写像命題
2025/5/13

1. 問題の内容

写像 f:XYf: X \to Y、および XX の部分集合 A,BA, B と、YY の部分集合 C,DC, D について、以下の命題が正しければ証明し、正しくない場合は反例を挙げます。
(1) ff が全射ならば、f(A)f(B)    ABf(A) \subset f(B) \implies A \subset B.
(2) ff が単射ならば、f(A)f(B)    ABf(A) \subset f(B) \implies A \subset B.
(3) ff が全射ならば、f1(C)f1(D)    CDf^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \implies C \subset D.
(4) ff が単射ならば、f1(C)f1(D)    CDf^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \implies C \subset D.

2. 解き方の手順

(1) 反例を挙げます。
X={1,2}X = \{1, 2\}, Y={3}Y = \{3\}, A={1}A = \{1\}, B={2}B = \{2\} とし、f(1)=f(2)=3f(1) = f(2) = 3 と定義します。
このとき、ff は全射です。
f(A)={3}f(A) = \{3\}, f(B)={3}f(B) = \{3\} より f(A)f(B)f(A) \subset f(B) が成り立ちますが、A⊄BA \not\subset B です。
したがって、命題は正しくありません。
(2) 証明します。
ff が単射であり、f(A)f(B)f(A) \subset f(B) とします。
xAx \in A を任意にとると、f(x)f(A)f(x) \in f(A) です。
f(A)f(B)f(A) \subset f(B) より、f(x)f(B)f(x) \in f(B) です。
したがって、f(x)=f(b)f(x) = f(b) となる bBb \in B が存在します。
ff は単射なので、x=bx = b です。
bBb \in B より、xBx \in B です。
よって、ABA \subset B が成り立ちます。
(3) 反例を挙げます。
X={1}X = \{1\}, Y={2,3}Y = \{2, 3\}, C={2}C = \{2\}, D={3}D = \{3\} とし、f(1)=2f(1) = 2 と定義します。
このとき、ff は全射ではありません。なぜなら、3Y3 \in Y に対して、f(x)=3f(x) = 3 となる xXx \in X が存在しないからです。しかし、この問題では全射の場合について考えているので、全射の反例にはなりません。
X={1,2},Y={3},C={3},D=X = \{1,2\}, Y=\{3\}, C = \{3\}, D = \emptyset とし、f(1)=3,f(2)=3f(1)=3, f(2)=3と定義します。
ff は全射です。
f1(C)={1,2},f1(D)=f^{-1}(C) = \{1,2\}, f^{-1}(D) = \emptysetとなり、f1(C)f1(D)f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)は成り立ちません。
しかし、仮定であるf1(C)f1(D)f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)を満たさないので、反例にはなりません。
では、f:XYf: X \to Y が全射、f1(C)f1(D)f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) を仮定して、CDC \subset D を示します。
yCy \in C を任意にとります。
ff は全射なので、f(x)=yf(x) = y となる xXx \in X が存在します。
このとき、yCy \in C より xf1(C)x \in f^{-1}(C) です。
f1(C)f1(D)f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) より xf1(D)x \in f^{-1}(D) です。
したがって、f(x)Df(x) \in D、つまり yDy \in D です。
よって、CDC \subset D が成り立ちます。
(4) 反例を挙げます。
X={1}X = \{1\}, Y={2,3}Y = \{2, 3\}, C={2}C = \{2\}, D={3}D = \{3\} とし、f(1)=2f(1) = 2 と定義します。
ff は単射です。
f1(C)={1}f^{-1}(C) = \{1\}, f1(D)=f^{-1}(D) = \emptyset より、f1(C)⊄f1(D)f^{-1}(C) \not\subset f^{-1}(D) です。
この例は、f1(C)f1(D)f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) を満たさないので反例とはなりません。
f1(C)f1(D)f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) を仮定して、CDC \subset D を示します。
ff が単射で、f1(C)f1(D)f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) と仮定します。
yCy \in C を任意にとると、f1({y})f^{-1}(\{y\}) が存在するかどうかで場合分けします。
もし、f1({y})=f^{-1}(\{y\}) = \emptyset なら、yf(X)y \notin f(X) となり、ff が全射ではないことになりますが、ff が単射であることとは矛盾しません。
f1(y)f^{-1}(y) が存在すると仮定します。x=f1(y)x = f^{-1}(y) とすると、f(x)=yf(x)=yです。yCy \in Cなので、xf1(C)x \in f^{-1}(C)。したがって、xf1(D)x \in f^{-1}(D)なので、y=f(x)Dy = f(x) \in Dです。よって、CDC \subset Dが成立します。
もしf1(C)=f^{-1}(C) = \emptyset なら、C=C = \emptysetなので、CDC \subset Dは常に成立します。

3. 最終的な答え

(1) 正しくない。反例: X={1,2}X = \{1, 2\}, Y={3}Y = \{3\}, A={1}A = \{1\}, B={2}B = \{2\}, f(1)=f(2)=3f(1) = f(2) = 3.
(2) 正しい。
(3) 正しい。
(4) 正しい。

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