質量 $m$ の小球を、鉛直上向きに初速度 $v_0$ で投げ上げた。小球には速度に比例する空気抵抗（比例定数 $k$）が働く。重力加速度の大きさを $g$ として、以下の問いに答える。 (a) 速度 $v$ を用いて小球の運動方程式を書き、初期条件を満たす $v$ を時刻 $t$ の関数として求めよ。 (b) $v$-$t$ グラフを描き、最高点に到達した瞬間の時刻を求め、グラフに記入せよ。 (c) 時刻 $t$ における小球の位置 $y$ を求めよ。 (d) 初速の大きさを $v_0 = 2mg/k$ とする。このとき、最高点を通過した後、小球の速さが終端速度の大きさの半分になった瞬間の位置をなるべく簡潔化した式で求めよ。ただし、$y$ 軸は鉛直下向きを正とする。

1. 問題の内容

質量 $m$ の小球を、鉛直上向きに初速度 $v_0$ で投げ上げた。小球には速度に比例する空気抵抗（比例定数 $k$）が働く。重力加速度の大きさを $g$ として、以下の問いに答える。

(a) 速度 $v$ を用いて小球の運動方程式を書き、初期条件を満たす $v$ を時刻 $t$ の関数として求めよ。

(b) $v$-$t$ グラフを描き、最高点に到達した瞬間の時刻を求め、グラフに記入せよ。

(c) 時刻 $t$ における小球の位置 $y$ を求めよ。

(d) 初速の大きさを $v_0 = 2mg/k$ とする。このとき、最高点を通過した後、小球の速さが終端速度の大きさの半分になった瞬間の位置をなるべく簡潔化した式で求めよ。ただし、$y$ 軸は鉛直下向きを正とする。

2. 解き方の手順

(a) 運動方程式を立てる。鉛直下向きを正とするので、重力は正、空気抵抗は速度と逆向きになる。したがって、運動方程式は以下のようになる。

$m\frac{dv}{dt} = mg - kv$

この微分方程式を解く。

まず、変数を分離する。

$\frac{dv}{mg - kv} = \frac{dt}{m}$

両辺を積分する。

$\int \frac{dv}{mg - kv} = \int \frac{dt}{m}$

$-\frac{1}{k} \ln|mg - kv| = \frac{t}{m} + C$

$\ln|mg - kv| = -\frac{kt}{m} + C'$

$mg - kv = Ae^{-\frac{kt}{m}}$ ($A = e^{C'}$)

$kv = mg - Ae^{-\frac{kt}{m}}$

$v = \frac{mg}{k} - \frac{A}{k}e^{-\frac{kt}{m}}$

初期条件 $t=0$ のとき $v = -v_0$ を代入する。

$-v_0 = \frac{mg}{k} - \frac{A}{k}$

$\frac{A}{k} = \frac{mg}{k} + v_0$

したがって、

$v(t) = \frac{mg}{k} - (\frac{mg}{k} + v_0)e^{-\frac{kt}{m}}$

(b) $v$-$t$ グラフを描く。

$t \to \infty$ のとき、$v \to \frac{mg}{k}$ (終端速度)

最高点に到達する時刻 $t_p$ は、$v(t_p) = 0$ となる時刻なので、

$0 = \frac{mg}{k} - (\frac{mg}{k} + v_0)e^{-\frac{kt_p}{m}}$

$(\frac{mg}{k} + v_0)e^{-\frac{kt_p}{m}} = \frac{mg}{k}$

$e^{-\frac{kt_p}{m}} = \frac{mg}{mg + kv_0}$

$-\frac{kt_p}{m} = \ln(\frac{mg}{mg + kv_0})$

$t_p = -\frac{m}{k} \ln(\frac{mg}{mg + kv_0}) = \frac{m}{k} \ln(\frac{mg + kv_0}{mg})$

$t_p = \frac{m}{k} \ln(1 + \frac{kv_0}{mg})$

(c) 位置 $y$ を求める。$v = \frac{dy}{dt}$ なので、

$y(t) = \int v(t) dt = \int [\frac{mg}{k} - (\frac{mg}{k} + v_0)e^{-\frac{kt}{m}}] dt$

$y(t) = \frac{mg}{k}t + \frac{m}{k}(\frac{mg}{k} + v_0)e^{-\frac{kt}{m}} + C$

初期条件 $t=0$ のとき $y=0$ を代入する。

$0 = 0 + \frac{m}{k}(\frac{mg}{k} + v_0) + C$

$C = -\frac{m}{k}(\frac{mg}{k} + v_0)$

$y(t) = \frac{mg}{k}t + \frac{m}{k}(\frac{mg}{k} + v_0)e^{-\frac{kt}{m}} -\frac{m}{k}(\frac{mg}{k} + v_0)$

$y(t) = \frac{mg}{k}t + \frac{m}{k}(\frac{mg}{k} + v_0)(e^{-\frac{kt}{m}} - 1)$

(d) $v_0 = \frac{2mg}{k}$ のとき、最高点を通過した後、小球の速さが終端速度の大きさ $\frac{mg}{k}$ の半分になった瞬間の位置を求める。終端速度の半分は $\frac{mg}{2k}$。

最高点通過後の速度は、$v(t) = \frac{mg}{k} (1 - e^{-kt/m})$

$t=0$ を最高点通過時とする。$v=\frac{dy}{dt} = g-\frac{k}{m}v$.

最高点通過後、速さが $\frac{mg}{2k}$ となる時刻を $t'$ とする。このとき、$v=\frac{mg}{2k}$.

$\frac{mg}{2k} = \frac{mg}{k} (1 - e^{-kt'/m})$

$\frac{1}{2} = 1 - e^{-kt'/m}$

$e^{-kt'/m} = \frac{1}{2}$

$-\frac{kt'}{m} = \ln{\frac{1}{2}} = - \ln 2$

$t' = \frac{m}{k}\ln 2$

$y(t) = \frac{mg}{k}t + \frac{m}{k} (\frac{mg}{k})(e^{-kt/m} - 1)$

$y(t') = \frac{mg}{k}(\frac{m}{k} \ln 2) + \frac{m^2g}{k^2}(e^{-\ln 2} - 1)$

$y(t') = \frac{m^2g}{k^2}\ln 2 + \frac{m^2g}{k^2}(\frac{1}{2} - 1) = \frac{m^2g}{k^2}(\ln 2 - \frac{1}{2})$

3. 最終的な答え

(a) $v(t) = \frac{mg}{k} - (\frac{mg}{k} + v_0)e^{-\frac{kt}{m}}$

(b) $t_p = \frac{m}{k} \ln(1 + \frac{kv_0}{mg})$ (グラフは省略)

(c) $y(t) = \frac{mg}{k}t + \frac{m}{k}(\frac{mg}{k} + v_0)(e^{-\frac{kt}{m}} - 1)$

(d) $y = \frac{m^2g}{k^2}(\ln 2 - \frac{1}{2})$