(1) 正の実数 $a > 0$ に対して、底が $a$ である実数上の指数関数 $f(x) = a^x$ の定義を述べる。講義で扱った定義と異なる場合は、それが講義で扱ったものと同値であることを証明する。 (2) (1)の定義の条件を満たす関数 $f(x) = a^x$ が一意であることを示すために、以下の手順で証明する。 a) 自然数 $n$ に対して $a^{nx} = \underbrace{a^x a^x \cdots a^x}_{n \text{回の積}}$ が成り立つこと。 b) 実数 $x$ に対して $a^x \neq 0$ であること。 c) 実数 $x$ に対して $a^x \geq 0$ であること。 d) 自然数 $n$ に対して $a^{\frac{x}{n}} = \sqrt[n]{a^x}$ であること。 e) $a^0 = 1$ であること。 f) 実数 $x$ に対して $a^{-x} = \frac{1}{a^x}$ であること。

解析学指数関数定義証明極限
2025/5/14

1. 問題の内容

(1) 正の実数 a>0a > 0 に対して、底が aa である実数上の指数関数 f(x)=axf(x) = a^x の定義を述べる。講義で扱った定義と異なる場合は、それが講義で扱ったものと同値であることを証明する。
(2) (1)の定義の条件を満たす関数 f(x)=axf(x) = a^x が一意であることを示すために、以下の手順で証明する。
a) 自然数 nn に対して anx=axaxaxn回の積a^{nx} = \underbrace{a^x a^x \cdots a^x}_{n \text{回の積}} が成り立つこと。
b) 実数 xx に対して ax0a^x \neq 0 であること。
c) 実数 xx に対して ax0a^x \geq 0 であること。
d) 自然数 nn に対して axn=axna^{\frac{x}{n}} = \sqrt[n]{a^x} であること。
e) a0=1a^0 = 1 であること。
f) 実数 xx に対して ax=1axa^{-x} = \frac{1}{a^x} であること。

2. 解き方の手順

(1) 指数関数の定義
高校数学における標準的な定義を用いる。
a>0a > 0 とする。
* nn を自然数とするとき、an=aaana^n = \underbrace{a \cdot a \cdots a}_{n\text{個}}
* a0=1a^0 = 1
* nn を自然数とするとき、an=1ana^{-n} = \frac{1}{a^n}
* m,nm,n を自然数とするとき、anm=anma^{\frac{n}{m}} = \sqrt[m]{a^n}
* xx を無理数とするとき、ax=limrxara^x = \lim_{r \to x} a^rrrxxに近づく有理数)
(2) (1)の定義の条件を満たす関数 f(x)=axf(x) = a^x が一意であることの証明
a) 自然数 nn に対して anx=axaxaxn回の積a^{nx} = \underbrace{a^x a^x \cdots a^x}_{n \text{回の積}} が成り立つこと。
これは、anx=(ax)n=axaxaxn回の積a^{nx} = (a^x)^n = \underbrace{a^x a^x \cdots a^x}_{n \text{回の積}} より明らか。
b) 実数 xx に対して ax0a^x \neq 0 であること。
a>0a > 0 なので、ax=0a^x = 0 となる xx は存在しない。
c) 実数 xx に対して ax0a^x \geq 0 であること。
a>0a > 0 なので、axa^x は常に正。したがって、ax0a^x \geq 0 である。
d) 自然数 nn に対して axn=axna^{\frac{x}{n}} = \sqrt[n]{a^x} であること。
指数の定義より明らか。
e) a0=1a^0 = 1 であること。
定義より明らか。
f) 実数 xx に対して ax=1axa^{-x} = \frac{1}{a^x} であること。
定義より明らか。

3. 最終的な答え

(1)
nn を自然数とするとき、an=aaana^n = \underbrace{a \cdot a \cdots a}_{n\text{個}}
a0=1a^0 = 1
nn を自然数とするとき、an=1ana^{-n} = \frac{1}{a^n}
m,nm,n を自然数とするとき、anm=anma^{\frac{n}{m}} = \sqrt[m]{a^n}
xx を無理数とするとき、ax=limrxara^x = \lim_{r \to x} a^rrrxxに近づく有理数)
(2)
a) anx=axaxaxn回の積a^{nx} = \underbrace{a^x a^x \cdots a^x}_{n \text{回の積}}
b) ax0a^x \neq 0
c) ax>0a^x > 0
d) axn=axna^{\frac{x}{n}} = \sqrt[n]{a^x}
e) a0=1a^0 = 1
f) ax=1axa^{-x} = \frac{1}{a^x}

「解析学」の関連問題

与えられた微分方程式 $\frac{dy}{dx} + (\cos x) y = \cos x$ を、(1)定数変化法、(2)変数分離形と見た場合、(3)完全微分形と見た場合の3通りの方法で解く。

微分方程式定数変化法変数分離形完全微分形
2025/5/14

以下の2つの関数について、漸近線、x軸との交点、y軸との交点を求めます。 1. $y = \frac{3}{x-2} + 2$

関数漸近線x軸との交点y軸との交点分数関数
2025/5/14

次の関数を微分せよ。 ① $y = -x^3 - 7x^2 + 2x + 4$ ② $y = 2x^4 - 3x^2 + 1$ ③ $y = (x^3 - 2x)(3x^4 + 1)$ ④ $y = ...

微分導関数多項式分数関数
2025/5/14

与えられた関数 $f(x)$ を、導関数の定義に従って微分する問題です。 (1) $f(x) = x^2$ (2) $f(x) = \sqrt{x}$

微分導関数極限関数の微分
2025/5/14

次の極限を求めます。 (1) $\lim_{x \to 0} \frac{e^x - 1}{x}$ (2) $\lim_{x \to 0} \frac{3x^2}{\cos x - 1}$

極限微分ロピタルの定理マクローリン展開
2025/5/14

以下の4つの極限を求める問題です。 (1) $\lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{x}$ (2) $\lim_{x \to 0} \frac{x^2}{1-\cos x}$ (...

極限三角関数
2025/5/14

次の5つの極限を求める問題です。 (1) $\lim_{x \to -\infty} 2^x$ (2) $\lim_{x \to \infty} 3^{-x}$ (3) $\lim_{x \to \i...

極限関数の極限指数関数対数関数
2025/5/14

$\cos \frac{\pi}{8}$ の値を求めます。

三角関数半角の公式cos値の計算
2025/5/14

与えられた2つの極限を求める問題です。 (1) $\lim_{x \to +0} \frac{x^2 + x}{|x|}$ (2) $\lim_{x \to 1-0} [x]$ (ただし、 $[x]...

極限関数の極限ガウス記号
2025/5/14

与えられた5つの極限を計算します。 (1) $\lim_{x \to 2} \frac{2x^2 - 5x + 2}{x^2 - 4}$ (2) $\lim_{x \to 2} \frac{\sqrt...

極限関数の極限有理化因数分解
2025/5/13