(1) 電子の運動量を $p=mv$、プランク定数を $h$ としたとき、電子の波長 $\lambda$ との関係式(ド・ブロイの関係式)を求めよ。 (2) 電圧 $V$ で加速された電子の運動エネルギーと、電圧 $V$ によってされる仕事の関係式(エネルギー保存則)を示せ。電気素量を $q$ とする。 (3) 波長0.010 nmの電子線を得るためには、電子を何Vで加速しなければならないか求めよ。電子の質量 $m = 9.11 \times 10^{-31} \, \text{kg}$、プランク定数 $h = 6.625 \times 10^{-34} \, \text{J s}$、電気素量 $q = 1.602 \times 10^{-19} \, \text{C}$ とする。 (4) 波長0.154 nm の電子線を得るためには電子を何Vで加速する必要があるか求めよ。

応用数学物理ド・ブロイの関係式エネルギー保存則電磁気学波長運動エネルギー電子
2025/5/15

1. 問題の内容

(1) 電子の運動量を p=mvp=mv、プランク定数を hh としたとき、電子の波長 λ\lambda との関係式(ド・ブロイの関係式)を求めよ。
(2) 電圧 VV で加速された電子の運動エネルギーと、電圧 VV によってされる仕事の関係式(エネルギー保存則)を示せ。電気素量を qq とする。
(3) 波長0.010 nmの電子線を得るためには、電子を何Vで加速しなければならないか求めよ。電子の質量 m=9.11×1031kgm = 9.11 \times 10^{-31} \, \text{kg}、プランク定数 h=6.625×1034J sh = 6.625 \times 10^{-34} \, \text{J s}、電気素量 q=1.602×1019Cq = 1.602 \times 10^{-19} \, \text{C} とする。
(4) 波長0.154 nm の電子線を得るためには電子を何Vで加速する必要があるか求めよ。

2. 解き方の手順

(1) ド・ブロイの関係式は、波長 λ\lambda が運動量 pp に反比例し、プランク定数 hh を比例定数とする関係です。つまり、
λ=hp\lambda = \frac{h}{p}
p=mvp = mv であるので、
λ=hmv\lambda = \frac{h}{mv}
(2) 電圧 VV で加速された電子が得る運動エネルギー KK は、電子が電場から受ける仕事 qVqV に等しくなります(エネルギー保存則)。したがって、
K=qVK = qV
(3) 電子の運動エネルギー KKK=12mv2K = \frac{1}{2}mv^2 で与えられます。
(2)より K=qVK = qV なので、
12mv2=qV\frac{1}{2}mv^2 = qV
v=2qVmv = \sqrt{\frac{2qV}{m}}
(1)より λ=hmv\lambda = \frac{h}{mv} なので、
λ=hm2qVm=h2mqV\lambda = \frac{h}{m \sqrt{\frac{2qV}{m}}} = \frac{h}{\sqrt{2mqV}}
V=h22mqλ2V = \frac{h^2}{2mq\lambda^2}
λ=0.010nm=1.0×1011m\lambda = 0.010 \, \text{nm} = 1.0 \times 10^{-11} \, \text{m} を代入すると、
V=(6.625×1034)22×9.11×1031×1.602×1019×(1.0×1011)215091VV = \frac{(6.625 \times 10^{-34})^2}{2 \times 9.11 \times 10^{-31} \times 1.602 \times 10^{-19} \times (1.0 \times 10^{-11})^2} \approx 15091 \, \text{V}
(4) λ=0.154nm=1.54×1010m\lambda = 0.154 \, \text{nm} = 1.54 \times 10^{-10} \, \text{m} を代入すると、
V=h22mqλ2V = \frac{h^2}{2mq\lambda^2}
V=(6.625×1034)22×9.11×1031×1.602×1019×(1.54×1010)263.3VV = \frac{(6.625 \times 10^{-34})^2}{2 \times 9.11 \times 10^{-31} \times 1.602 \times 10^{-19} \times (1.54 \times 10^{-10})^2} \approx 63.3 \, \text{V}

3. 最終的な答え

(1) λ=hmv\lambda = \frac{h}{mv}
(2) K=qVK = qV
(3) 15091V15091 \, \text{V}
(4) 63.3V63.3 \, \text{V}

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