(1) 内積空間$V$において、零ベクトルでないベクトル$u_1, u_2, ..., u_r$が互いに直交するならば、1次独立であることを示す。 (2) (1)の逆が成り立つかどうかを判断し、成り立つ場合は証明し、成り立たない場合は反例を挙げる。 (3) $\mathbb{R}^3$のベクトルで、$\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \\ -2 \end{pmatrix}$と$\begin{pmatrix} -1 \\ 2 \\ 1 \end{pmatrix}$のそれぞれと直交し、ノルムが1のものを求める。

代数学線形代数内積空間直交1次独立ベクトルノルム
2025/5/18

1. 問題の内容

(1) 内積空間VVにおいて、零ベクトルでないベクトルu1,u2,...,uru_1, u_2, ..., u_rが互いに直交するならば、1次独立であることを示す。
(2) (1)の逆が成り立つかどうかを判断し、成り立つ場合は証明し、成り立たない場合は反例を挙げる。
(3) R3\mathbb{R}^3のベクトルで、(112)\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \\ -2 \end{pmatrix}(121)\begin{pmatrix} -1 \\ 2 \\ 1 \end{pmatrix}のそれぞれと直交し、ノルムが1のものを求める。

2. 解き方の手順

(1)
ベクトルu1,u2,...,uru_1, u_2, ..., u_rが互いに直交するならば、
c1u1+c2u2+...+crur=0c_1u_1 + c_2u_2 + ... + c_ru_r = 0という線形結合を考える。
この式の両辺とuiu_iの内積を取る(ただし、1ir1 \le i \le r)。
c1u1+c2u2+...+crur,ui=0,ui\langle c_1u_1 + c_2u_2 + ... + c_ru_r, u_i \rangle = \langle 0, u_i \rangle
内積の線形性より、
c1u1,ui+c2u2,ui+...+crur,ui=0c_1\langle u_1, u_i \rangle + c_2\langle u_2, u_i \rangle + ... + c_r\langle u_r, u_i \rangle = 0
u1,u2,...,uru_1, u_2, ..., u_rは互いに直交するため、uj,ui=0\langle u_j, u_i \rangle = 0 (if iji \neq j)。
したがって、ciui,ui=0c_i\langle u_i, u_i \rangle = 0
uiu_iは零ベクトルではないので、ui,ui0\langle u_i, u_i \rangle \neq 0
よって、ci=0c_i = 0
これは、i=1,2,...,ri=1, 2, ..., rの全てについて成り立つので、c1=c2=...=cr=0c_1 = c_2 = ... = c_r = 0
したがって、u1,u2,...,uru_1, u_2, ..., u_rは1次独立である。
(2)
(1)の逆は「1次独立な零ベクトルでないベクトルu1,u2,...,uru_1, u_2, ..., u_rは互いに直交する」である。
これは一般には成り立たない。
反例:R2\mathbb{R}^2において、u1=(10)u_1 = \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}u2=(11)u_2 = \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}を考える。
u1u_1u2u_2は1次独立だが、u1,u2=10\langle u_1, u_2 \rangle = 1 \neq 0なので、直交しない。
(3)
求めるベクトルを(xyz)\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}とする。
直交条件より、
xy2z=0x - y - 2z = 0
x+2y+z=0-x + 2y + z = 0
これを解くと、
x=3z,y=zx = 3z, y = z
よって、求めるベクトルは(3zzz)\begin{pmatrix} 3z \\ z \\ z \end{pmatrix}の形になる。
ノルムが1という条件より、
(3z)2+z2+z2=1(3z)^2 + z^2 + z^2 = 1
9z2+z2+z2=19z^2 + z^2 + z^2 = 1
11z2=111z^2 = 1
z=±111z = \pm \frac{1}{\sqrt{11}}
したがって、求めるベクトルは(311111111)\begin{pmatrix} \frac{3}{\sqrt{11}} \\ \frac{1}{\sqrt{11}} \\ \frac{1}{\sqrt{11}} \end{pmatrix}または(311111111)\begin{pmatrix} -\frac{3}{\sqrt{11}} \\ -\frac{1}{\sqrt{11}} \\ -\frac{1}{\sqrt{11}} \end{pmatrix}

3. 最終的な答え

(1) 略述
(2) 成り立たない。反例:u1=(10)u_1 = \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}, u2=(11)u_2 = \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}
(3) (311111111)\begin{pmatrix} \frac{3}{\sqrt{11}} \\ \frac{1}{\sqrt{11}} \\ \frac{1}{\sqrt{11}} \end{pmatrix}, (311111111)\begin{pmatrix} -\frac{3}{\sqrt{11}} \\ -\frac{1}{\sqrt{11}} \\ -\frac{1}{\sqrt{11}} \end{pmatrix}

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