## 問題の解答

確率論・統計学期待値分散標本平均確率信頼区間仮説検定
2025/5/18
## 問題の解答
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1. 問題の内容

(1) 1つの面に1、2つの面に2、3つの面に3が書かれているサイコロを2回投げ、1回目の出目を十の位、2回目の出目を一の位とする2桁の数XXについて、期待値E(X)E(X)と分散V(X)V(X)を求める。
(2) 母平均120、母標準偏差40の母集団から、大きさ100の無作為標本を抽出する。このとき、標本平均Xˉ\bar{X}が124より大きい値をとる確率を求める。
(3) ある試験を受けた高校生から100人を任意に選び、平均点が59.4点であった。母標準偏差を13.0点として、母平均を信頼度95%で推定する。
(4) ある硬貨を576回投げたところ、表が266回出た。この硬貨の表と裏の出方に偏りがあると判断してよいかを有意水準5%で検定する。
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2. 解き方の手順

**(1) 期待値と分散**
* サイコロの各目の出る確率は以下の通り。
* 1が出る確率: P(1)=16P(1) = \frac{1}{6}
* 2が出る確率: P(2)=26=13P(2) = \frac{2}{6} = \frac{1}{3}
* 3が出る確率: P(3)=36=12P(3) = \frac{3}{6} = \frac{1}{2}
* 1回目の出目の期待値 E(X1)E(X_1) を計算する。
E(X1)=116+213+312=16+46+96=146=73E(X_1) = 1 \cdot \frac{1}{6} + 2 \cdot \frac{1}{3} + 3 \cdot \frac{1}{2} = \frac{1}{6} + \frac{4}{6} + \frac{9}{6} = \frac{14}{6} = \frac{7}{3}
* 2回目の出目の期待値 E(X2)E(X_2) も同様に計算する。
E(X2)=E(X1)=73E(X_2) = E(X_1) = \frac{7}{3}
* XX は2桁の数なので、X=10X1+X2X = 10X_1 + X_2 と表される。
* XX の期待値 E(X)E(X) は、E(X)=10E(X1)+E(X2)=1073+73=703+73=773E(X) = 10E(X_1) + E(X_2) = 10 \cdot \frac{7}{3} + \frac{7}{3} = \frac{70}{3} + \frac{7}{3} = \frac{77}{3}
* 1回目の出目の二乗の期待値 E(X12)E(X_1^2) を計算する。
E(X12)=1216+2213+3212=16+43+92=16+86+276=366=6E(X_1^2) = 1^2 \cdot \frac{1}{6} + 2^2 \cdot \frac{1}{3} + 3^2 \cdot \frac{1}{2} = \frac{1}{6} + \frac{4}{3} + \frac{9}{2} = \frac{1}{6} + \frac{8}{6} + \frac{27}{6} = \frac{36}{6} = 6
* 1回目の出目の分散 V(X1)V(X_1) を計算する。
V(X1)=E(X12)[E(X1)]2=6(73)2=6499=549499=59V(X_1) = E(X_1^2) - [E(X_1)]^2 = 6 - (\frac{7}{3})^2 = 6 - \frac{49}{9} = \frac{54}{9} - \frac{49}{9} = \frac{5}{9}
* 2回目の出目の分散 V(X2)V(X_2) も同様に計算する。
V(X2)=V(X1)=59V(X_2) = V(X_1) = \frac{5}{9}
* XX の分散 V(X)V(X) は、V(X)=102V(X1)+V(X2)=10059+59=5009+59=5059V(X) = 10^2 V(X_1) + V(X_2) = 100 \cdot \frac{5}{9} + \frac{5}{9} = \frac{500}{9} + \frac{5}{9} = \frac{505}{9}
**(2) 標本平均の確率**
* 母平均 μ=120\mu = 120, 母標準偏差 σ=40\sigma = 40, 標本サイズ n=100n = 100
* 標本平均 Xˉ\bar{X} の期待値 E(Xˉ)=μ=120E(\bar{X}) = \mu = 120
* 標本平均 Xˉ\bar{X} の標準偏差 σXˉ=σn=40100=4010=4\sigma_{\bar{X}} = \frac{\sigma}{\sqrt{n}} = \frac{40}{\sqrt{100}} = \frac{40}{10} = 4
* Xˉ\bar{X} は近似的に正規分布に従うので、標準化する。
Z=XˉE(Xˉ)σXˉ=Xˉ1204Z = \frac{\bar{X} - E(\bar{X})}{\sigma_{\bar{X}}} = \frac{\bar{X} - 120}{4}
* Xˉ>124\bar{X} > 124 となる確率を求める。
P(Xˉ>124)=P(Z>1241204)=P(Z>44)=P(Z>1)P(\bar{X} > 124) = P(Z > \frac{124 - 120}{4}) = P(Z > \frac{4}{4}) = P(Z > 1)
* 標準正規分布表より、P(Z>1)=1P(Z1)=10.8413=0.1587P(Z > 1) = 1 - P(Z \le 1) = 1 - 0.8413 = 0.1587
**(3) 母平均の信頼区間**
* 標本平均 xˉ=59.4\bar{x} = 59.4, 母標準偏差 σ=13.0\sigma = 13.0, 標本サイズ n=100n = 100, 信頼度 1α=0.951 - \alpha = 0.95, 有意水準 α=0.05\alpha = 0.05
* 信頼係数 zα/2=z0.025=1.96z_{\alpha/2} = z_{0.025} = 1.96 (標準正規分布表より)
* 母平均の信頼区間は、
xˉzα/2σnμxˉ+zα/2σn\bar{x} - z_{\alpha/2} \frac{\sigma}{\sqrt{n}} \le \mu \le \bar{x} + z_{\alpha/2} \frac{\sigma}{\sqrt{n}}
* 59.41.9613.0100μ59.4+1.9613.010059.4 - 1.96 \cdot \frac{13.0}{\sqrt{100}} \le \mu \le 59.4 + 1.96 \cdot \frac{13.0}{\sqrt{100}}
* 59.41.961.3μ59.4+1.961.359.4 - 1.96 \cdot 1.3 \le \mu \le 59.4 + 1.96 \cdot 1.3
* 59.42.548μ59.4+2.54859.4 - 2.548 \le \mu \le 59.4 + 2.548
* 56.852μ61.94856.852 \le \mu \le 61.948
**(4) 仮説検定**
* 帰無仮説 H0H_0: 硬貨は偏りがない (表が出る確率は0.5)
* 対立仮説 H1H_1: 硬貨は偏りがある (表が出る確率は0.5ではない)
* 有意水準 α=0.05\alpha = 0.05
* 標本サイズ n=576n = 576, 表が出た回数 x=266x = 266
* 標本比率 p^=xn=2665760.4618\hat{p} = \frac{x}{n} = \frac{266}{576} \approx 0.4618
* 帰無仮説の下での母比率 p0=0.5p_0 = 0.5
* 検定統計量 Z=p^p0p0(1p0)n=0.46180.50.5(10.5)576=0.03820.25576=0.03820.524=0.03820.020831.834Z = \frac{\hat{p} - p_0}{\sqrt{\frac{p_0(1-p_0)}{n}}} = \frac{0.4618 - 0.5}{\sqrt{\frac{0.5(1-0.5)}{576}}} = \frac{-0.0382}{\sqrt{\frac{0.25}{576}}} = \frac{-0.0382}{\frac{0.5}{24}} = \frac{-0.0382}{0.02083} \approx -1.834
* 両側検定を行う。有意水準5%の場合、棄却域は Z<1.96Z < -1.96 または Z>1.96Z > 1.96
* 検定統計量 Z=1.834Z = -1.834 は棄却域に含まれないので、帰無仮説は棄却されない。
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3. 最終的な答え

**(1)**
* 期待値: E(X)=77325.67E(X) = \frac{77}{3} \approx 25.67
* 分散: V(X)=505956.11V(X) = \frac{505}{9} \approx 56.11
**(2)**
P(Xˉ>124)=0.1587P(\bar{X} > 124) = 0.1587
**(3)**
母平均の95%信頼区間: 56.852μ61.94856.852 \le \mu \le 61.948
**(4)**
有意水準5%で、硬貨の表と裏の出方に偏りがあるとは判断できない。

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