この問題は、行列に関する定理の証明の一部です。 (1) 行列の2つの行を入れ替えると、行列式が-1倍になることを証明しています。 具体的には、置換 $\sigma$ を用いて行列式を表し、2つの行を入れ替える操作を置換 $\tau$ で表現し、$\sigma$ と $\tau$ の符号の関係を用いて、行列式の符号が反転することを示しています。

代数学行列行列式線形代数置換互換証明
2025/5/19

1. 問題の内容

この問題は、行列に関する定理の証明の一部です。
(1) 行列の2つの行を入れ替えると、行列式が-1倍になることを証明しています。
具体的には、置換 σ\sigma を用いて行列式を表し、2つの行を入れ替える操作を置換 τ\tau で表現し、σ\sigmaτ\tau の符号の関係を用いて、行列式の符号が反転することを示しています。

2. 解き方の手順

画像に示された証明を詳細に説明します。
(1) nn 文字の置換 σ\sigma に対して、置換 τ=σ(i j)\tau = \sigma (i\ j) を定義します。ここで (i j)(i\ j)iijj を入れ替える互換を表します。このとき、τ(i)=σ(j)\tau(i) = \sigma(j), τ(j)=σ(i)\tau(j) = \sigma(i), τ(k)=σ(k)\tau(k) = \sigma(k) (ki,jk \neq i, j) となります。
(2) σ\sigmaSnS_n 全体を動くと、τ\tauSnS_n 全体を動きます。
(3) sgn(τ)=sgn(σ(i j))=sgn(σ)\text{sgn}(\tau) = \text{sgn}(\sigma(i\ j)) = - \text{sgn}(\sigma) が成立します。互換をかけると置換の符号が変わる性質を利用しています。
(4) 行列式の定義を用いて、左辺の行列式を置換 σ\sigma を用いて展開します。
左辺=σsgn(σ)a1σ(1)aiσ(i)ajσ(j)anσ(n)\text{左辺} = \sum_{\sigma} \text{sgn}(\sigma) a_{1\sigma(1)} \cdots a_{i\sigma(i)} \cdots a_{j\sigma(j)} \cdots a_{n\sigma(n)}
(5) σ\sigmaτ\tau に置き換えます。sgn(σ)=sgn(τ)\text{sgn}(\sigma) = - \text{sgn}(\tau) なので、
左辺=σsgn(σ)a1σ(1)aiσ(i)ajσ(j)anσ(n)=τsgn(τ)a1τ(1)aiτ(j)ajτ(i)anτ(n)\text{左辺} = \sum_{\sigma} \text{sgn}(\sigma) a_{1\sigma(1)} \cdots a_{i\sigma(i)} \cdots a_{j\sigma(j)} \cdots a_{n\sigma(n)} = \sum_{\tau} - \text{sgn}(\tau) a_{1\tau(1)} \cdots a_{i\tau(j)} \cdots a_{j\tau(i)} \cdots a_{n\tau(n)}
(6) 行列の ii 行と jj 行が入れ替わった行列式を考えると、それは
τsgn(τ)a1τ(1)ajτ(j)aiτ(i)anτ(n)- \sum_{\tau} \text{sgn}(\tau) a_{1\tau(1)} \cdots a_{j\tau(j)} \cdots a_{i\tau(i)} \cdots a_{n\tau(n)}
に等しくなります。これは元の行列式の 1-1 倍に等しいので、右辺となります。
したがって、2つの行を入れ替えると行列式は-1倍になることが証明されました。

3. 最終的な答え

行列の2つの行を入れ替えると、行列式は-1倍になる。

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