$n$ 次正方行列 $A, B$ に対して、積 $AB$ が正則行列であるための必要十分条件が、$A$ かつ $B$ が正則行列であることであることを証明する。
2025/5/21
1. 問題の内容
次正方行列 に対して、積 が正則行列であるための必要十分条件が、 かつ が正則行列であることであることを証明する。
2. 解き方の手順
必要十分条件を示すためには、十分条件と必要条件の両方を示す必要がある。
(1) 十分条件: と がともに正則行列であるとき、 が正則行列であることを示す。
と が正則行列であるので、それぞれ逆行列 と が存在する。
このとき、行列 は の逆行列となる。なぜなら、
および
ここで、 は単位行列である。
したがって、 は逆行列 を持つので、 は正則行列である。
(2) 必要条件: が正則行列であるとき、 と がともに正則行列であることを示す。
が正則行列であると仮定する。このとき、 の逆行列 が存在する。
ここで、 または が正則でないと仮定すると、 または となる。
行列式の性質より、 である。したがって、 となり、 は正則でない。これは仮定に矛盾する。
したがって、 と はともに正則行列でなければならない。
あるいは、ランクの性質を使う。
が正則なので 。
であるから、 かつ でなければならない。
よって、 と はともに正則である。
3. 最終的な答え
次正方行列 に対して、積 が正則行列であるための必要十分条件は、 かつ が正則行列である。