問題は、力学系における位相平面(x-v平面)に関する以下の3つの問いに答えるものです。 (a) 単振動の位相平面における軌跡を求め、図示すること。 (b) 減衰振動について、$\gamma > \omega_0$ および $\gamma < \omega_0$ の場合の位相平面における軌跡を考察し、図示すること。 (c) 力学系で位相平面を考える利点を、運動方程式や位相空間の流れ、決定論的観点から説明すること。 ここで、$\gamma$ は減衰係数、$\omega_0$ は固有振動数です。

応用数学力学系位相平面単振動減衰振動運動方程式微分方程式
2025/5/22
はい、承知いたしました。与えられた問題を解きます。

1. 問題の内容

問題は、力学系における位相平面(x-v平面)に関する以下の3つの問いに答えるものです。
(a) 単振動の位相平面における軌跡を求め、図示すること。
(b) 減衰振動について、γ>ω0\gamma > \omega_0 および γ<ω0\gamma < \omega_0 の場合の位相平面における軌跡を考察し、図示すること。
(c) 力学系で位相平面を考える利点を、運動方程式や位相空間の流れ、決定論的観点から説明すること。
ここで、γ\gamma は減衰係数、ω0\omega_0 は固有振動数です。

2. 解き方の手順

(a) 単振動の場合:
単振動の運動方程式は、
mx¨=kxm \ddot{x} = -kx
と表されます。ここで、mm は質量、kk はばね定数です。ω0=k/m\omega_0 = \sqrt{k/m} とおくと、運動方程式は
x¨+ω02x=0\ddot{x} + \omega_0^2 x = 0
と書けます。v=x˙v = \dot{x} とおくと、v˙=x¨\dot{v} = \ddot{x} なので、運動方程式は
v˙=ω02x\dot{v} = -\omega_0^2 x
となります。したがって、位相空間における軌跡は
dvdx=v˙x˙=ω02xv\frac{dv}{dx} = \frac{\dot{v}}{\dot{x}} = \frac{-\omega_0^2 x}{v}
より、vdv=ω02xdxv dv = -\omega_0^2 x dx となり、積分すると
vdv=ω02xdx\int v dv = \int -\omega_0^2 x dx
12v2=12ω02x2+C\frac{1}{2} v^2 = -\frac{1}{2} \omega_0^2 x^2 + C
v2+ω02x2=2Cv^2 + \omega_0^2 x^2 = 2C
となります。2C=A2ω022C = A^2 \omega_0^2 とおくと、
v2A2ω02+x2A2=1\frac{v^2}{A^2 \omega_0^2} + \frac{x^2}{A^2} = 1
これは楕円の式であり、位相平面上での軌跡は楕円になります。
(b) 減衰振動の場合:
減衰振動の運動方程式は
mx¨=kxγx˙m \ddot{x} = -kx - \gamma \dot{x}
と表されます。γ\gamma は減衰係数です。ω0=k/m\omega_0 = \sqrt{k/m}Γ=γ/m\Gamma = \gamma/m とおくと、運動方程式は
x¨+Γx˙+ω02x=0\ddot{x} + \Gamma \dot{x} + \omega_0^2 x = 0
と書けます。v=x˙v = \dot{x} とおくと、v˙=x¨\dot{v} = \ddot{x} なので、運動方程式は
v˙=Γvω02x\dot{v} = -\Gamma v - \omega_0^2 x
となります。
γ>ω0\gamma > \omega_0 (過減衰) の場合、解は x(t)=C1eλ1t+C2eλ2tx(t) = C_1 e^{\lambda_1 t} + C_2 e^{\lambda_2 t} の形になります。ここで、λ1,λ2\lambda_1, \lambda_2 は実数であり、λ1<0,λ2<0\lambda_1 < 0, \lambda_2 < 0 です。この場合、位相平面上では原点に近づく軌跡になります。
γ<ω0\gamma < \omega_0 (減衰振動) の場合、解は x(t)=eΓt/2(C1cos(ωt)+C2sin(ωt))x(t) = e^{-\Gamma t/2} (C_1 \cos(\omega t) + C_2 \sin(\omega t)) の形になります。ここで、ω=ω02(Γ/2)2\omega = \sqrt{\omega_0^2 - (\Gamma/2)^2} です。この場合、位相平面上では原点に向かって渦を巻くような軌跡になります。
(c) 位相平面の利点:
位相平面を用いると、運動方程式を解かずに系の振る舞いを視覚的に理解することができます。
位相空間における軌跡の流れを見ることで、系の安定性や周期性などを判断できます。
決定論的観点からは、初期条件が与えられれば位相空間上の軌跡は一意に定まるため、系の時間発展を完全に予測することができます。

3. 最終的な答え

(a) 単振動の位相平面における軌跡は、楕円になります。
(b) 減衰振動において、γ>ω0\gamma > \omega_0 の場合、位相平面上では原点に近づく軌跡になります。γ<ω0\gamma < \omega_0 の場合、位相平面上では原点に向かって渦を巻くような軌跡になります。
(c) 位相平面を用いる利点は、系の振る舞いの視覚的な理解、系の安定性や周期性の判断、決定論的な時間発展の予測です。

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