水平面と斜面がなめらかにつながった面を考える。水平面上にばねが設置されており、質量 $m$ の小物体を初速度 $v_0$ でばねに向けて滑らせる。小物体はばねを押し縮めた後、斜面を上る。以下の問いに答えよ。 (1) 小物体がばねを $x$ だけ押し縮めたときの速度 $v_1$ を求めよ。 (2) ばねの縮みの最大値 $x_{max}$ を求めよ。 (3) 押し返されてばねから離れ、水平面上を滑っているときの小物体の速度 $v_2$ を求めよ。 (4) 斜面を高さ $z$ まで上がったときの小物体の速度 $v_3$ を求めよ。 (5) 小物体の上がる高さの最大値 $z_{max}$ を求めよ。 (6) $t = 0$ に水平部分を滑り始めてから、斜面を下っている時までの小物体の加速度のSに沿った方向の成分と時間 $t$ の関係を表すグラフとして最も適切なものを選べ。

応用数学力学エネルギー保存運動ばね速度加速度
2025/5/23

1. 問題の内容

水平面と斜面がなめらかにつながった面を考える。水平面上にばねが設置されており、質量 mm の小物体を初速度 v0v_0 でばねに向けて滑らせる。小物体はばねを押し縮めた後、斜面を上る。以下の問いに答えよ。
(1) 小物体がばねを xx だけ押し縮めたときの速度 v1v_1 を求めよ。
(2) ばねの縮みの最大値 xmaxx_{max} を求めよ。
(3) 押し返されてばねから離れ、水平面上を滑っているときの小物体の速度 v2v_2 を求めよ。
(4) 斜面を高さ zz まで上がったときの小物体の速度 v3v_3 を求めよ。
(5) 小物体の上がる高さの最大値 zmaxz_{max} を求めよ。
(6) t=0t = 0 に水平部分を滑り始めてから、斜面を下っている時までの小物体の加速度のSに沿った方向の成分と時間 tt の関係を表すグラフとして最も適切なものを選べ。

2. 解き方の手順

(1) 水平面上では摩擦がないため、力学的エネルギーが保存される。
小物体がばねを xx だけ押し縮めたときの速度 v1v_1 は、力学的エネルギー保存則より、
12mv02=12mv12+12kx2\frac{1}{2}mv_0^2 = \frac{1}{2}mv_1^2 + \frac{1}{2}kx^2
mv02=mv12+kx2mv_0^2 = mv_1^2 + kx^2
mv12=mv02kx2mv_1^2 = mv_0^2 - kx^2
v12=v02kmx2v_1^2 = v_0^2 - \frac{k}{m}x^2
v1=v02kmx2v_1 = \sqrt{v_0^2 - \frac{k}{m}x^2}
(2) ばねの縮みが最大となるのは、小物体の速度が0になるときである。力学的エネルギー保存則より、
12mv02=12kxmax2\frac{1}{2}mv_0^2 = \frac{1}{2}kx_{max}^2
mv02=kxmax2mv_0^2 = kx_{max}^2
xmax2=mkv02x_{max}^2 = \frac{m}{k}v_0^2
xmax=v0mkx_{max} = v_0\sqrt{\frac{m}{k}}
(3) ばねが自然長に戻ったとき、小物体の位置エネルギーは変化していないので、力学的エネルギーは保存される。したがって、水平面上を滑っているときの小物体の速度 v2v_2 は、初速度と同じである。
v2=v0v_2 = v_0
(4) 斜面を高さ zz まで上がったときの速度 v3v_3 を求める。斜面では重力による位置エネルギーが変化するため、力学的エネルギー保存則より、
12mv22=12mv32+mgz\frac{1}{2}mv_2^2 = \frac{1}{2}mv_3^2 + mgz
12mv02=12mv32+mgz\frac{1}{2}mv_0^2 = \frac{1}{2}mv_3^2 + mgz
mv02=mv32+2mgzmv_0^2 = mv_3^2 + 2mgz
mv32=mv022mgzmv_3^2 = mv_0^2 - 2mgz
v32=v022gzv_3^2 = v_0^2 - 2gz
v3=v022gzv_3 = \sqrt{v_0^2 - 2gz}
(5) 小物体が上がる高さの最大値 zmaxz_{max} を求める。最高点では速度が0になるので、v3=0v_3 = 0 として (4) の式に代入すると、
0=v022gzmax0 = v_0^2 - 2gz_{max}
2gzmax=v022gz_{max} = v_0^2
zmax=v022gz_{max} = \frac{v_0^2}{2g}
(6) まず、水平面上では加速度は0である。ばねを押し縮めている間は、ばねの弾性力による加速度が発生し、ばねの縮みが最大になるまで加速度は大きくなる。ばねが縮んでいる間、加速度は負の値を持つ。ばねから離れた後は、斜面を下るので、一定の正の加速度となる。したがって、最も適切なグラフは②である。

3. 最終的な答え

(1) v1=v02kmx2v_1 = \sqrt{v_0^2 - \frac{k}{m}x^2}
(2) xmax=v0mkx_{max} = v_0\sqrt{\frac{m}{k}}
(3) v2=v0v_2 = v_0
(4) v3=v022gzv_3 = \sqrt{v_0^2 - 2gz}
(5) zmax=v022gz_{max} = \frac{v_0^2}{2g}
(6) ②

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