ある分子の基底状態と第一励起状態の縮退度がそれぞれ1と3である。これらのエネルギー準位間の差は $365 \text{ cm}^{-1}$ に相当する。$25^\circ\text{C}$ では、第一励起状態にある分子数は基底状態にある分子数の何%か。

応用数学ボルツマン分布熱力学指数関数物理化学
2025/6/18

1. 問題の内容

ある分子の基底状態と第一励起状態の縮退度がそれぞれ1と3である。これらのエネルギー準位間の差は 365 cm1365 \text{ cm}^{-1} に相当する。25C25^\circ\text{C} では、第一励起状態にある分子数は基底状態にある分子数の何%か。

2. 解き方の手順

この問題は、ボルツマン分布を使って解きます。ボルツマン分布は、ある温度 TT におけるエネルギー状態 EiE_i にある分子の数 NiN_i が、次の式で与えられることを示しています。
Nigiexp(EikT)N_i \propto g_i \exp\left(-\frac{E_i}{kT}\right)
ここで、gig_i は状態 ii の縮退度、kk はボルツマン定数、TT は絶対温度です。
基底状態を状態0、第一励起状態を状態1とします。すると、それぞれの状態にある分子数の比は、次のようになります。
N1N0=g1exp(E1kT)g0exp(E0kT)=g1g0exp(E1E0kT)=g1g0exp(ΔEkT)\frac{N_1}{N_0} = \frac{g_1 \exp\left(-\frac{E_1}{kT}\right)}{g_0 \exp\left(-\frac{E_0}{kT}\right)} = \frac{g_1}{g_0} \exp\left(-\frac{E_1 - E_0}{kT}\right) = \frac{g_1}{g_0} \exp\left(-\frac{\Delta E}{kT}\right)
ここで、g0=1g_0 = 1, g1=3g_1 = 3 であり、ΔE=E1E0\Delta E = E_1 - E_0 はエネルギー準位間の差です。
与えられたエネルギー準位の差は 365 cm1365 \text{ cm}^{-1} ですが、これをジュール単位に変換する必要があります。
ΔE=365 cm1=36500 m1\Delta E = 365 \text{ cm}^{-1} = 36500 \text{ m}^{-1}.
E=hcν~E = h c \tilde{\nu}
ここで、hh はプランク定数 (6.626×1034 J s6.626 \times 10^{-34} \text{ J s})、cc は光速 (2.998×108 m/s2.998 \times 10^8 \text{ m/s})、ν~\tilde{\nu}は波数です。
ΔE=(6.626×1034 J s)×(2.998×108 m/s)×(36500 m1)=7.2685×1023 J\Delta E = (6.626 \times 10^{-34} \text{ J s}) \times (2.998 \times 10^8 \text{ m/s}) \times (36500 \text{ m}^{-1}) = 7.2685 \times 10^{-23} \text{ J}
温度は 25C=298.15 K25^\circ\text{C} = 298.15 \text{ K} です。ボルツマン定数 k=1.381×1023 J/Kk = 1.381 \times 10^{-23} \text{ J/K} を用いると、
ΔEkT=7.2685×1023 J(1.381×1023 J/K)×(298.15 K)=7.26851.381×298.15=1.7628\frac{\Delta E}{kT} = \frac{7.2685 \times 10^{-23} \text{ J}}{(1.381 \times 10^{-23} \text{ J/K}) \times (298.15 \text{ K})} = \frac{7.2685}{1.381 \times 298.15} = 1.7628
よって、
N1N0=31exp(1.7628)=3×0.17209=0.51627\frac{N_1}{N_0} = \frac{3}{1} \exp(-1.7628) = 3 \times 0.17209 = 0.51627
第一励起状態にある分子数は基底状態にある分子数の 0.51627×100%=51.627%0.51627 \times 100\% = 51.627\% です。

3. 最終的な答え

5

1. 63%

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