$x$軸上を運動する質点の時刻 $t$ における速度 $v(t) = e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t)$ について、以下の問いに答える。 (i) $0 \le t \le 2\pi$ の範囲で $v(t)$ のグラフの概形を描く。 (ii) 時刻 $t$ における加速度 $a(t)$ を求める。 (iii) 時刻 $t$ における位置 $x(t)$ を求める。ただし、$t=0$ のとき $x=0$ とする。 (iv) 時刻が経つにつれて、質点の位置はどのようにふるまうかを答える。

## 【問1】

1. 問題の内容

$x$軸上を運動する質点の時刻 $t$ における速度 $v(t) = e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t)$ について、以下の問いに答える。

(i) $0 \le t \le 2\pi$ の範囲で $v(t)$ のグラフの概形を描く。

(ii) 時刻 $t$ における加速度 $a(t)$ を求める。

(iii) 時刻 $t$ における位置 $x(t)$ を求める。ただし、$t=0$ のとき $x=0$ とする。

(iv) 時刻が経つにつれて、質点の位置はどのようにふるまうかを答える。

2. 解き方の手順

(i) グラフの概形：

$v(t) = e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t)$ について、$0 \le t \le 2\pi$ で考える。

* $t=0$ のとき、$v(0) = e^0 \sin(0) = 0$

* $v(t)=0$ となる $t$ の値を求める。$e^{-\frac{t}{2}} > 0$ であるから、$\sin(2t) = 0$ となる $t$ を探す。

$2t = 0, \pi, 2\pi, 3\pi, 4\pi$

$t = 0, \frac{\pi}{2}, \pi, \frac{3\pi}{2}, 2\pi$

* $0 < t < \frac{\pi}{2}$ のとき $\sin(2t) > 0$, $e^{-\frac{t}{2}}>0$ なので $v(t) > 0$

* $\frac{\pi}{2} < t < \pi$ のとき $\sin(2t) < 0$, $e^{-\frac{t}{2}}>0$ なので $v(t) < 0$

* $\pi < t < \frac{3\pi}{2}$ のとき $\sin(2t) > 0$, $e^{-\frac{t}{2}}>0$ なので $v(t) > 0$

* $\frac{3\pi}{2} < t < 2\pi$ のとき $\sin(2t) < 0$, $e^{-\frac{t}{2}}>0$ なので $v(t) < 0$

* $e^{-\frac{t}{2}}$ は $t$ が増加するとともに減少する。

以上を考慮すると、$t$ が大きくなるにつれて振幅が小さくなる振動となる。

(ii) 加速度 $a(t)$ の計算：

加速度は速度の時間微分で求められる。

$a(t) = \frac{dv(t)}{dt} = \frac{d}{dt} \left( e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) \right)$

積の微分公式より、

$a(t) = -\frac{1}{2}e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) + e^{-\frac{t}{2}} (2 \cos(2t))$

$a(t) = e^{-\frac{t}{2}} \left( 2\cos(2t) - \frac{1}{2}\sin(2t) \right)$

(iii) 位置 $x(t)$ の計算：

位置は速度の積分で求められる。$x(0) = 0$ であることに注意する。

$x(t) = \int v(t) dt = \int e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) dt$

部分積分を2回行う。

$I = \int e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) dt$

$I = \int (-2e^{-\frac{t}{2}})' \sin(2t) dt = -2e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - \int -2e^{-\frac{t}{2}} 2\cos(2t) dt$

$I = -2e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) + 4 \int e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) dt$

$I = -2e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) + 4 \int (-2e^{-\frac{t}{2}})' \cos(2t) dt = -2e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) + 4(-2e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) - \int -2e^{-\frac{t}{2}} (-\sin(2t))2dt)$

$I = -2e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - 8 e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) - 16\int e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) dt$

$I = -2e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - 8 e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) - 16I$

$17I = -2e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - 8 e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t)$

$I = -\frac{2}{17}e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - \frac{8}{17} e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) + C$

$x(t) = -\frac{2}{17}e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - \frac{8}{17} e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) + C$

$x(0) = 0$ より、

$0 = -\frac{2}{17}e^{0} \sin(0) - \frac{8}{17} e^{0} \cos(0) + C$

$0 = 0 - \frac{8}{17} + C$

$C = \frac{8}{17}$

よって、

$x(t) = -\frac{2}{17}e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - \frac{8}{17} e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) + \frac{8}{17}$

(iv) $t \to \infty$ のときの質点の位置：

$t \to \infty$ のとき、$e^{-\frac{t}{2}} \to 0$ なので、

$\lim_{t \to \infty} x(t) = \lim_{t \to \infty} \left( -\frac{2}{17}e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - \frac{8}{17} e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) + \frac{8}{17} \right) = \frac{8}{17}$

質点の位置は $\frac{8}{17}$ に近づく。

3. 最終的な答え

(i) グラフの概形：振幅が減衰する振動

(ii) 加速度：$a(t) = e^{-\frac{t}{2}} \left( 2\cos(2t) - \frac{1}{2}\sin(2t) \right)$

(iii) 位置：$x(t) = -\frac{2}{17}e^{-\frac{t}{2}} \sin(2t) - \frac{8}{17} e^{-\frac{t}{2}} \cos(2t) + \frac{8}{17}$

(iv) 質点の位置：$\frac{8}{17}$ に近づく

## 【問2】

1. 問題の内容

質量 $m$ の物体が、重力と空気抵抗を受けて落下する運動について、以下の問いに答える。重力加速度の大きさを $g$ とし、鉛直上向きを $y$ 軸の正の向きとする。空気抵抗は速度 $v$ に比例する粘性抵抗 (大きさ $bv$, $b>0$) とする。

(i) 物体が満たす運動方程式を立てる。

(ii) $t=0$ で $v=v_0$ を満たす運動方程式の解が $v(t) = (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} + \frac{mg}{b}$ であることを確かめる。

(iii) 十分時間が経過したとき、速度は一定の速度に漸近することを示し、それ（終端速度）を求める。

2. 解き方の手順

(i) 運動方程式：

運動方程式は、物体の質量 $m$ と加速度 $a$ の積が、物体に作用する力の和に等しいというものである。

この場合、物体に作用する力は、鉛直下向きの重力 $mg$ と、鉛直上向きの空気抵抗 $bv$ である。

鉛直上向きを正としているので、重力は負の方向に働く。

よって、運動方程式は

$ma = -mg + bv$

$m \frac{dv}{dt} = -mg + bv$

(ii) 解の確認：

与えられた解 $v(t) = (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} + \frac{mg}{b}$ を運動方程式に代入して確認する。

まず、速度を時間微分して加速度を求める。

$\frac{dv}{dt} = (v_0 - \frac{mg}{b}) (-\frac{b}{m}) e^{-\frac{b}{m}t}$

$\frac{dv}{dt} = -\frac{b}{m} (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t}$

運動方程式に代入する。

$m \frac{dv}{dt} = -mg + bv$

$m \left( -\frac{b}{m} (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} \right) = -mg + b \left( (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} + \frac{mg}{b} \right)$

$-b (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} = -mg + b (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} + mg$

$-b (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} = b (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t}$

$t=0$の時$v=v_0$を確認する。

$v(0) = (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}0} + \frac{mg}{b} = (v_0 - \frac{mg}{b}) + \frac{mg}{b} = v_0$

(iii) 終端速度：

十分時間が経過したとき、$t \to \infty$ とすると、$e^{-\frac{b}{m}t} \to 0$ となる。

したがって、

$\lim_{t \to \infty} v(t) = \lim_{t \to \infty} \left( (v_0 - \frac{mg}{b}) e^{-\frac{b}{m}t} + \frac{mg}{b} \right) = \frac{mg}{b}$

よって、速度は $\frac{mg}{b}$ に漸近する。これが終端速度である。

3. 最終的な答え

(i) 運動方程式：$m \frac{dv}{dt} = -mg + bv$

(ii) 解の確認：省略（上記参照）

(iii) 終端速度：$\frac{mg}{b}$