ある投資家の効用関数が与えられています。 $u(x) = \begin{cases} -x^2 + 20x & (x \le 10) \\ x + 90 & (x > 10) \end{cases}$ 2つの投資行動 $a_1$ と $a_2$ があります。 $a_1 = \begin{cases} 10 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 1/2 \\ 1 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 1/2 \end{cases}$ $a_2 = \begin{cases} 20 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 1/3 \\ 0 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 2/3 \end{cases}$ (1) この投資家は $a_1$ と $a_2$ のどちらを選択するか。 (2) 行動 $a_1$, $a_2$ の確実同値、リスク・プレミアムをそれぞれ求めよ。 (3) この投資家が行動 $a_2$ を選好するためには、20万円を受け取る確率は少なくともどれほどでなければならないか。

応用数学効用関数期待効用確実同値リスク・プレミアム意思決定
2025/5/25

1. 問題の内容

ある投資家の効用関数が与えられています。
$u(x) = \begin{cases}
-x^2 + 20x & (x \le 10) \\
x + 90 & (x > 10)
\end{cases}$
2つの投資行動 a1a_1a2a_2 があります。
$a_1 = \begin{cases}
10 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 1/2 \\
1 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 1/2
\end{cases}$
$a_2 = \begin{cases}
20 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 1/3 \\
0 \text{万円受け取る} & \text{確率 } 2/3
\end{cases}$
(1) この投資家は a1a_1a2a_2 のどちらを選択するか。
(2) 行動 a1a_1, a2a_2 の確実同値、リスク・プレミアムをそれぞれ求めよ。
(3) この投資家が行動 a2a_2 を選好するためには、20万円を受け取る確率は少なくともどれほどでなければならないか。

2. 解き方の手順

(1) a1a_1a2a_2 の期待効用を計算します。
a1a_1 の期待効用 E[u(a1)]E[u(a_1)]
E[u(a1)]=12u(10)+12u(1)=12(102+20×10)+12(12+20×1)=12(100)+12(19)=50+9.5=59.5E[u(a_1)] = \frac{1}{2}u(10) + \frac{1}{2}u(1) = \frac{1}{2}(-10^2 + 20 \times 10) + \frac{1}{2}(-1^2 + 20 \times 1) = \frac{1}{2}(100) + \frac{1}{2}(19) = 50 + 9.5 = 59.5
a2a_2 の期待効用 E[u(a2)]E[u(a_2)]
E[u(a2)]=13u(20)+23u(0)=13(20+90)+23(0)=13(110)=110336.67E[u(a_2)] = \frac{1}{3}u(20) + \frac{2}{3}u(0) = \frac{1}{3}(20 + 90) + \frac{2}{3}(0) = \frac{1}{3}(110) = \frac{110}{3} \approx 36.67
E[u(a1)]>E[u(a2)]E[u(a_1)] > E[u(a_2)] なので、a1a_1 を選択します。
(2) 確実同値とは、その金額を確実に得られる場合の効用が、元の行動の期待効用と等しくなる金額のことです。
a1a_1 の確実同値を CE1CE_1 とすると、
u(CE1)=E[u(a1)]=59.5u(CE_1) = E[u(a_1)] = 59.5
CE110CE_1 \le 10 のとき、 CE12+20CE1=59.5-CE_1^2 + 20CE_1 = 59.5
CE1220CE1+59.5=0CE_1^2 - 20CE_1 + 59.5 = 0
CE1=20±2024×59.52=20±4002382=20±1622=20±922=10±922CE_1 = \frac{20 \pm \sqrt{20^2 - 4 \times 59.5}}{2} = \frac{20 \pm \sqrt{400 - 238}}{2} = \frac{20 \pm \sqrt{162}}{2} = \frac{20 \pm 9\sqrt{2}}{2} = 10 \pm \frac{9\sqrt{2}}{2}
10922109×1.4142106.363=3.63710 - \frac{9\sqrt{2}}{2} \approx 10 - \frac{9 \times 1.414}{2} \approx 10 - 6.363 = 3.637
10+92216.363>1010 + \frac{9\sqrt{2}}{2} \approx 16.363 > 10 なので不適
CE1=3.637CE_1 = 3.637
a2a_2 の確実同値を CE2CE_2 とすると、
u(CE2)=E[u(a2)]=1103u(CE_2) = E[u(a_2)] = \frac{110}{3}
CE210CE_2 \le 10 のとき、 CE22+20CE2=1103-CE_2^2 + 20CE_2 = \frac{110}{3}
CE2220CE2+1103=0CE_2^2 - 20CE_2 + \frac{110}{3} = 0
CE2=20±4004×11032=20±40044032=20±120044032=20±7603220±253.33220±15.9162CE_2 = \frac{20 \pm \sqrt{400 - 4 \times \frac{110}{3}}}{2} = \frac{20 \pm \sqrt{400 - \frac{440}{3}}}{2} = \frac{20 \pm \sqrt{\frac{1200-440}{3}}}{2} = \frac{20 \pm \sqrt{\frac{760}{3}}}{2} \approx \frac{20 \pm \sqrt{253.33}}{2} \approx \frac{20 \pm 15.916}{2}
CE21.942CE_2 \approx 1.942 または 17.958>1017.958 > 10
CE21.942CE_2 \approx 1.942
a1a_1 のリスク・プレミアム RP1RP_1 は、 RP1=E[a1]CE1RP_1 = E[a_1] - CE_1
E[a1]=12×10+12×1=5.5E[a_1] = \frac{1}{2} \times 10 + \frac{1}{2} \times 1 = 5.5
RP1=5.53.637=1.863RP_1 = 5.5 - 3.637 = 1.863
a2a_2 のリスク・プレミアム RP2RP_2 は、 RP2=E[a2]CE2RP_2 = E[a_2] - CE_2
E[a2]=13×20+23×0=2036.67E[a_2] = \frac{1}{3} \times 20 + \frac{2}{3} \times 0 = \frac{20}{3} \approx 6.67
RP2=6.671.942=4.728RP_2 = 6.67 - 1.942 = 4.728
(3) 20万円を受け取る確率を pp とすると、行動 a2a_2 の期待効用は E[u(a2)]=pu(20)+(1p)u(0)E[u(a_2)] = pu(20) + (1-p)u(0)
投資家が行動 a2a_2 を選好するためには、 E[u(a2)]>E[u(a1)]E[u(a_2)] > E[u(a_1)] である必要があるので、
p(20+90)+(1p)×0>59.5p(20 + 90) + (1-p) \times 0 > 59.5
110p>59.5110p > 59.5
p>59.51100.541p > \frac{59.5}{110} \approx 0.541

3. 最終的な答え

(1) a1a_1 を選択する。
(2) a1a_1 の確実同値: 3.637万円、リスク・プレミアム: 1.863万円
a2a_2 の確実同値: 1.942万円、リスク・プレミアム: 4.728万円
(3) 20万円を受け取る確率は少なくとも 0.541 でなければならない。

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