$l, n$ を正の整数とし、$A_1, A_2, ..., A_l$ を $n$ 次正方行列とする。もし積 $A_1A_2...A_l$ が正則であれば、任意の $1 \le i \le l$ に対して $A_i$ は正則であることを、$l$ に関する数学的帰納法で証明する過程における、下線部(1)~(6)の理由を説明する。

代数学行列線形代数正則行列数学的帰納法証明
2025/5/26

1. 問題の内容

l,nl, n を正の整数とし、A1,A2,...,AlA_1, A_2, ..., A_lnn 次正方行列とする。もし積 A1A2...AlA_1A_2...A_l が正則であれば、任意の 1il1 \le i \le l に対して AiA_i は正則であることを、ll に関する数学的帰納法で証明する過程における、下線部(1)~(6)の理由を説明する。

2. 解き方の手順

まず問題文に下線部(1)から(6)が書かれていないため、文脈から下線部を推測し、それぞれの理由を説明する。
* l=2の場合
* 下線部(1): In=BB1=A1(A2B1)I_n = BB^{-1} = A_1(A_2B^{-1})
これは、B が正則であることから、その逆行列 B1B^{-1} が存在し、BB1=InBB^{-1} = I_n (単位行列)が成り立つ。また、B=A1A2B = A_1 A_2 と定義しているので、BB1=A1A2B1BB^{-1} = A_1 A_2 B^{-1} と書ける。
* 下線部(2): A1A_1は正則
In=A1(A2B1)I_n = A_1(A_2B^{-1}) より、A1A_1(A2B1)(A_2B^{-1}) を右から掛けると単位行列になる。したがって、A1A_1 は右逆行列を持つため、正則である。
* 下線部(3): A2=A11BA_2 = A_1^{-1}B
B=A1A2B = A_1 A_2 の両辺に左から A11A_1^{-1} を掛けると、A11B=A11A1A2=InA2=A2A_1^{-1}B = A_1^{-1}A_1A_2 = I_n A_2 = A_2 となる。
* 下線部(4): A2A_2 は正則
A2=A11BA_2 = A_1^{-1}B であり、A11A_1^{-1}BB が正則であるから、A2A_2 も正則である。正則行列の積は正則である。
* l3l \ge 3の場合
* 下線部(5): A1A_1A2AlA_2 \dots A_l は両方正則
A1A2...AlA_1A_2...A_l が正則であるという仮定と、A1A2...Al=A1(A2...Al)A_1A_2...A_l = A_1(A_2...A_l)が成り立つことから、行列の積 A1(A2...Al)A_1(A_2...A_l) が正則であることがわかる。正方行列の積が正則ならば、それぞれの行列も正則である。

3. 最終的な答え

* (1) Bが正則なのでBB1=InBB^{-1}=I_n。B=A1A2よりA1(A2B1)=InA_1(A_2B^{-1})=I_n
* (2) A1(A2B1)=InA_1(A_2B^{-1})=I_n となる行列が存在するので、A1A_1は正則。
* (3) B=A1A2B=A_1A_2 の両辺に左から A11A_1^{-1} を掛けると A2=A11BA_2 = A_1^{-1}B
* (4) A1A_1BBが正則なので A2=A11BA_2=A_1^{-1}B も正則。
* (5) A1A2...Al=A1(A2...Al)A_1A_2...A_l = A_1(A_2...A_l) が正則なので、A1もA2...Alも正則。

「代数学」の関連問題

問題2では対数の性質を用いて与えられた対数の値を計算します。問題3では対数の底の変換公式を用いて、指定された底に変換し、対数の値を計算します。

対数対数の性質底の変換公式指数
2025/5/27

問題は、指数関数と対数関数に関する穴埋め問題です。定義域、値域、逆関数、対数の性質などを答える必要があります。

指数関数対数関数定義域値域逆関数対数の性質底の変換公式
2025/5/27

与えられた4つの連立一次方程式を解き、解をベクトルを用いて表す問題です。 (1) $2x + 5y + 10z = 1$ $3x + 6y + 11z = 2$ $x + 2y + 3z = 0$ (...

連立一次方程式ベクトル線形代数
2025/5/27

不等式 $2\log_3 x \ge \log_3(x+6)$ の解を求めます。

対数不等式真数条件二次不等式
2025/5/27

グラフから、わが国の技術貿易輸入額全体を $X$ 、ドイツからの技術貿易輸入額を $Y$ とおいたとき、$X$ と $Y$ の関係を表す式を選択肢の中から選ぶ問題です。グラフから、輸入額全体 $X$ ...

一次方程式割合比例式グラフ
2025/5/27

次の3つの二次関数のグラフが、それぞれ指定された条件を満たすような定数 $k$ の値または値の範囲を求める問題です。 (1) $y = x^2 + 3x + k$ が $x$ 軸と2点で交わる。 (2...

二次関数二次方程式判別式不等式
2025/5/27

与えられた複素数の絶対値を求めます。 複素数は以下の4つです。 (1) $4i$ (2) $3+i$ (3) $3-i$ (4) $-1-3i$

複素数絶対値複素平面
2025/5/27

複素数 $3+i$ の共役複素数を求める問題です。

複素数共役複素数
2025/5/27

与えられた複素数の絶対値を計算する問題です。 (1) $4i$ (3) $3-i$

複素数絶対値複素数の絶対値
2025/5/27

与えられた3つの2次関数について、そのグラフとx軸との共有点を調べ、共有点が存在する場合はそのx座標を求める。

二次関数二次方程式判別式解の公式グラフ
2025/5/27