地上0mから、前方$a = 4.0m$、高さ$h = 3.0m$にある的に向かって、仰角$\theta_0$、初速$v_0$で質量$m$の物体を投げる。物体が的に命中するために必要な最小の初速$v_{min}$と、その時の仰角$\theta_{min}$を求める。ただし、重力加速度の大きさは$g = 9.8 m/s^2$とする。

応用数学力学放物運動最適化三角関数微分
2025/5/28

1. 問題の内容

地上0mから、前方a=4.0ma = 4.0m、高さh=3.0mh = 3.0mにある的に向かって、仰角θ0\theta_0、初速v0v_0で質量mmの物体を投げる。物体が的に命中するために必要な最小の初速vminv_{min}と、その時の仰角θmin\theta_{min}を求める。ただし、重力加速度の大きさはg=9.8m/s2g = 9.8 m/s^2とする。

2. 解き方の手順

まず、水平方向と鉛直方向の運動をそれぞれ考える。
水平方向の運動(等速運動):
x=v0cos(θ0)tx = v_0 \cos(\theta_0) t
ここで、x=ax = aとなる時間をttとすると、
a=v0cos(θ0)ta = v_0 \cos(\theta_0) t
t=av0cos(θ0)t = \frac{a}{v_0 \cos(\theta_0)}
鉛直方向の運動(等加速度運動):
y=v0sin(θ0)t12gt2y = v_0 \sin(\theta_0) t - \frac{1}{2} g t^2
ここで、y=hy = hとなる時間をttとすると、
h=v0sin(θ0)t12gt2h = v_0 \sin(\theta_0) t - \frac{1}{2} g t^2
ttを消去するために、水平方向の式から得られたt=av0cos(θ0)t = \frac{a}{v_0 \cos(\theta_0)}を鉛直方向の式に代入する。
h=v0sin(θ0)av0cos(θ0)12g(av0cos(θ0))2h = v_0 \sin(\theta_0) \frac{a}{v_0 \cos(\theta_0)} - \frac{1}{2} g (\frac{a}{v_0 \cos(\theta_0)})^2
h=atan(θ0)ga22v02cos2(θ0)h = a \tan(\theta_0) - \frac{g a^2}{2 v_0^2 \cos^2(\theta_0)}
v02=ga22cos2(θ0)(atan(θ0)h)v_0^2 = \frac{g a^2}{2 \cos^2(\theta_0)(a \tan(\theta_0) - h)}
v0=ga22cos2(θ0)(atan(θ0)h)v_0 = \sqrt{\frac{g a^2}{2 \cos^2(\theta_0)(a \tan(\theta_0) - h)}}
v0v_0を最小にするためには、v02v_0^2を最小にすればよい。そのためには、ga22(asin(θ0)cos(θ0)hcos2(θ0))\frac{g a^2}{2 (a \sin(\theta_0) \cos(\theta_0) - h \cos^2(\theta_0))}の分母を最大にする必要がある。
f(θ0)=asin(θ0)cos(θ0)hcos2(θ0)f(\theta_0) = a \sin(\theta_0) \cos(\theta_0) - h \cos^2(\theta_0) を最大にするθ0\theta_0を求める。
f(θ0)=a(cos2(θ0)sin2(θ0))h(2cos(θ0)sin(θ0))=0f'(\theta_0) = a (\cos^2(\theta_0) - \sin^2(\theta_0)) - h (-2 \cos(\theta_0) \sin(\theta_0)) = 0
a(cos2(θ0)sin2(θ0))+2hcos(θ0)sin(θ0)=0a (\cos^2(\theta_0) - \sin^2(\theta_0)) + 2 h \cos(\theta_0) \sin(\theta_0) = 0
acos(2θ0)+hsin(2θ0)=0a \cos(2\theta_0) + h \sin(2\theta_0) = 0
tan(2θ0)=ah\tan(2\theta_0) = -\frac{a}{h}
2θ0=arctan(ah)2\theta_0 = \arctan(-\frac{a}{h})
θ0=12arctan(ah)\theta_0 = \frac{1}{2} \arctan(-\frac{a}{h})
a=4.0a = 4.0, h=3.0h = 3.0を代入すると、
θ0=12arctan(43)=12(53.13)26.56\theta_0 = \frac{1}{2} \arctan(-\frac{4}{3}) = \frac{1}{2}(-53.13^\circ) \approx -26.56^\circ
しかし、仰角は負の値を取らないので、θ0\theta_0の定義から、
tan(2θ0)=ah\tan(2\theta_0) = -\frac{a}{h}の関係を満たすθ0\theta_0を求める。
2θmin=arctan(43)+π2 \theta_{min} = \arctan(-\frac{4}{3}) + \pi
2θmin53.13+180126.872 \theta_{min} \approx -53.13^\circ + 180^\circ \approx 126.87^\circ
θmin63.43\theta_{min} \approx 63.43^\circ
次に、vminv_{min}を求める。
vmin=ga22cos2(θmin)(atan(θmin)h)v_{min} = \sqrt{\frac{g a^2}{2 \cos^2(\theta_{min})(a \tan(\theta_{min}) - h)}}
θmin63.43\theta_{min} \approx 63.43^\circのとき、tan(θmin)2\tan(\theta_{min}) \approx 2, cos(θmin)0.447\cos(\theta_{min}) \approx 0.447
vmin=9.8×422×0.4472(4×23)=9.8×162×0.2(83)=156.82=78.48.85m/sv_{min} = \sqrt{\frac{9.8 \times 4^2}{2 \times 0.447^2 (4 \times 2 - 3)}} = \sqrt{\frac{9.8 \times 16}{2 \times 0.2 (8-3)}} = \sqrt{\frac{156.8}{2}} = \sqrt{78.4} \approx 8.85 m/s

3. 最終的な答え

vmin8.85m/sv_{min} \approx 8.85 m/s
θmin63.43\theta_{min} \approx 63.43^\circ

「応用数学」の関連問題

ボールを投げる角度と飛距離の関係を考察する問題です。水平方向から45°と30°の角度でボールを発射した場合の放物線の軌跡について、頂点の座標、地面からの高さ、水平距離などを求め、最後にどちらの角度で投...

放物運動軌跡二次関数水平距離角度
2025/5/29

地面からの高さ20の位置から、水平方向から45°または30°の方向にボールを発射した場合、ボールが地面に落下するまでの水平距離をそれぞれ求め、どちらの角度で発射した方が遠くまで飛ぶかを考察する問題です...

物理力学放物運動水平距離三角関数
2025/5/29

地面からの高さが20の位置からボールを45度または30度の方向に発射したときの、ボールが地面に落下するまでの水平距離を比較し、その結果から何が言えるかを答える問題です。 ケコ、サ、シス、セの値を求め、...

放物運動物理二次関数三角関数水平距離
2025/5/29

太郎さんと花子さんがハンドボールを投げる角度について考察している問題です。まず、水平方向から15°の角度でボールを発射した場合のボールの軌道が与えられ、その軌道の頂点の座標、最も高い位置での地面からの...

放物運動軌道微分二次関数物理
2025/5/29

ボールが速度に比例する空気抵抗を受ける場合を考えます。ボールを投げ上げた時の時刻を$t=0$とし、速度の鉛直上方成分の大きさを$V_0$、水平成分の大きさを$U_0$とします。ボールが最高到達点に達し...

物理運動空気抵抗力学
2025/5/29

ボールが速度に比例する空気抵抗を受ける場合を考える。ボールを投げ上げたときの時刻を $t=0$、速度の鉛直上方成分の大きさを $V_0$ とする。ボールが最高到達点に達する時刻を $T_m$ とし、ボ...

運動方程式積分対数関数物理
2025/5/29

ボールが速度に比例する空気抵抗(比例定数 $\lambda$)を受ける場合を考えます。ボールを投げ上げたときの時刻を $t=0$、速度の鉛直上方成分の大きさを $V_0$ とします。ボールが最高到達点...

次元解析力学微分方程式対数
2025/5/29

ボールが速度に比例する空気抵抗を受ける場合を考える。ボールを投げ上げた時刻を $t=0$、速度の鉛直上方成分の大きさを $V_0$ として、ボールが最高到達点に達する時刻 $T_M$ を、ボールの質量...

微分方程式運動方程式対数関数物理
2025/5/29

ベクトル場 $H$ が $H = H_x i + H_y j + H_z k$ で与えられているとき、rot $H$ を $i, j, k$ を用いて表せ。

ベクトル解析rot演算子偏微分クロス積
2025/5/29

質量 $m$ の物体が、水平位置 $x=0$、高さ $h$ から水平方向に初速度 $v_0$ で発射される。重力加速度の大きさを $g$ とし、鉛直上方を正とする。 (1) 抵抗力が働かない場合、任意...

力学微分方程式運動方程式物理
2025/5/29