関数 $f(x) = \tan^{-1} x$ の $n$ 階微分 $f^{(n)}(x)$ の $x=0$ における値 $f^{(n)}(0)$ を求めよ。

解析学微分逆三角関数マクローリン展開べき級数
2025/5/30

1. 問題の内容

関数 f(x)=tan1xf(x) = \tan^{-1} xnn 階微分 f(n)(x)f^{(n)}(x)x=0x=0 における値 f(n)(0)f^{(n)}(0) を求めよ。

2. 解き方の手順

まず、f(x)=tan1xf(x) = \tan^{-1} x を微分して、f(x)f'(x) を求める。
f(x)=11+x2f'(x) = \frac{1}{1+x^2}
次に、f(x)=11+x2f'(x) = \frac{1}{1+x^2}1+x21+x^2 で割ることを考える。
f(x)f'(x) をべき級数で表す。
f(x)=11+x2=k=0(1)kx2k=1x2+x4x6+f'(x) = \frac{1}{1+x^2} = \sum_{k=0}^\infty (-1)^k x^{2k} = 1 - x^2 + x^4 - x^6 + \dots
このべき級数は x<1|x| < 1 で収束する。
ここで、f(x)f'(x) を積分して f(x)f(x) を求める。
f(x)=f(x)dx=k=0(1)kx2kdx=k=0(1)kx2kdx=k=0(1)kx2k+12k+1+Cf(x) = \int f'(x) dx = \int \sum_{k=0}^\infty (-1)^k x^{2k} dx = \sum_{k=0}^\infty \int (-1)^k x^{2k} dx = \sum_{k=0}^\infty (-1)^k \frac{x^{2k+1}}{2k+1} + C
f(x)=tan1xf(x) = \tan^{-1} x であるから、f(0)=tan10=0f(0) = \tan^{-1} 0 = 0 である。
また、べき級数表示において、x=0x=0 とすると、k=0(1)k02k+12k+1+C=0+C=C\sum_{k=0}^\infty (-1)^k \frac{0^{2k+1}}{2k+1} + C = 0 + C = C である。
したがって、C=0C=0 である。
よって、f(x)=k=0(1)kx2k+12k+1=xx33+x55x77+f(x) = \sum_{k=0}^\infty (-1)^k \frac{x^{2k+1}}{2k+1} = x - \frac{x^3}{3} + \frac{x^5}{5} - \frac{x^7}{7} + \dots
次に、マクローリン展開を利用して f(n)(0)f^{(n)}(0) を求める。
マクローリン展開は f(x)=n=0f(n)(0)n!xnf(x) = \sum_{n=0}^\infty \frac{f^{(n)}(0)}{n!} x^n で表される。
f(x)=xx33+x55x77+f(x) = x - \frac{x^3}{3} + \frac{x^5}{5} - \frac{x^7}{7} + \dots と比較する。
x2kx^{2k} の項は存在しないので、f(2k)(0)=0f^{(2k)}(0) = 0 となる。
x2k+1x^{2k+1} の項の係数は f(2k+1)(0)(2k+1)!=(1)k2k+1\frac{f^{(2k+1)}(0)}{(2k+1)!} = \frac{(-1)^k}{2k+1} であるから、f(2k+1)(0)=(1)k(2k)!f^{(2k+1)}(0) = (-1)^k (2k)! となる。

3. 最終的な答え

nn が偶数のとき、f(n)(0)=0f^{(n)}(0) = 0
nn が奇数のとき、n=2k+1n = 2k+1 とおくと、f(n)(0)=f(2k+1)(0)=(1)k(2k)!=(1)n12(n1)!f^{(n)}(0) = f^{(2k+1)}(0) = (-1)^k (2k)! = (-1)^{\frac{n-1}{2}} (n-1)!
したがって、
f(n)(0)={0(n が偶数のとき)(1)n12(n1)!(n が奇数のとき)f^{(n)}(0) = \begin{cases} 0 & (n \text{ が偶数のとき}) \\ (-1)^{\frac{n-1}{2}}(n-1)! & (n \text{ が奇数のとき}) \end{cases}

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