バネ定数$k$のバネで壁に取り付けられた、質量$m$の2つの振動子が、バネ定数$k'$のバネで繋がれた連成振動系について考察します。 (a) それぞれの質点の平衡位置からの変位を$x_1$, $x_2$として、運動方程式を立てる。 (b) 運動方程式の解を$x_1 = C_1\sin(\omega t + \alpha)$, $x_2 = C_2\sin(\omega t + \alpha)$と仮定し、$C_1 = C_2 = 0$以外の解が成立するための$\omega$が満たすべき特性方程式を導く。 (c) 特性方程式から連成振動の基準角振動数$\omega$と、対応する振幅$C_1$, $C_2$の関係を求め、それぞれの基準振動に対応する振動の様子を定性的に説明する。 (d) 連成振動の一般解は、基準振動の線形結合で表されることを利用し、連成振動に2つの周期運動が重なり合ったうなりが現れることを説明する。

応用数学力学振動連成振動微分方程式線形代数
2025/5/31
はい、承知いたしました。与えられた問題について、順を追って解説します。

1. 問題の内容

バネ定数kkのバネで壁に取り付けられた、質量mmの2つの振動子が、バネ定数kk'のバネで繋がれた連成振動系について考察します。
(a) それぞれの質点の平衡位置からの変位をx1x_1, x2x_2として、運動方程式を立てる。
(b) 運動方程式の解をx1=C1sin(ωt+α)x_1 = C_1\sin(\omega t + \alpha), x2=C2sin(ωt+α)x_2 = C_2\sin(\omega t + \alpha)と仮定し、C1=C2=0C_1 = C_2 = 0以外の解が成立するためのω\omegaが満たすべき特性方程式を導く。
(c) 特性方程式から連成振動の基準角振動数ω\omegaと、対応する振幅C1C_1, C2C_2の関係を求め、それぞれの基準振動に対応する振動の様子を定性的に説明する。
(d) 連成振動の一般解は、基準振動の線形結合で表されることを利用し、連成振動に2つの周期運動が重なり合ったうなりが現れることを説明する。

2. 解き方の手順

(a) 運動方程式
質点1について、バネkkkk'による力を考慮すると、運動方程式は
mx1¨=kx1+k(x2x1)m\ddot{x_1} = -kx_1 + k'(x_2 - x_1)
質点2について、バネkkkk'による力を考慮すると、運動方程式は
mx2¨=kx2k(x2x1)m\ddot{x_2} = -kx_2 - k'(x_2 - x_1)
これらを整理すると、
mx1¨+(k+k)x1kx2=0m\ddot{x_1} + (k+k')x_1 - k'x_2 = 0
mx2¨+(k+k)x2kx1=0m\ddot{x_2} + (k+k')x_2 - k'x_1 = 0
(b) 特性方程式
x1=C1sin(ωt+α)x_1 = C_1\sin(\omega t + \alpha), x2=C2sin(ωt+α)x_2 = C_2\sin(\omega t + \alpha)を上記の運動方程式に代入すると、
mω2C1+(k+k)C1kC2=0-m\omega^2 C_1 + (k+k')C_1 - k'C_2 = 0
mω2C2+(k+k)C2kC1=0-m\omega^2 C_2 + (k+k')C_2 - k'C_1 = 0
これらを整理すると、
((k+k)mω2)C1kC2=0((k+k') - m\omega^2)C_1 - k'C_2 = 0
kC1+((k+k)mω2)C2=0-k'C_1 + ((k+k') - m\omega^2)C_2 = 0
C1,C2C_1, C_2が自明な解でないためには、係数行列の行列式が0でなければならない。
(k+k)mω2kk(k+k)mω2=0\begin{vmatrix} (k+k') - m\omega^2 & -k' \\ -k' & (k+k') - m\omega^2 \end{vmatrix} = 0
よって、特性方程式は
((k+k)mω2)2(k)2=0((k+k') - m\omega^2)^2 - (k')^2 = 0
(c) 基準角振動数と振幅の関係
特性方程式を解くと、
(k+k)mω2=±k(k+k') - m\omega^2 = \pm k'
mω2=k+k±km\omega^2 = k+k' \pm k'
ω2=k+k±km\omega^2 = \frac{k+k' \pm k'}{m}
ω1=km\omega_1 = \sqrt{\frac{k}{m}}, ω2=k+2km\omega_2 = \sqrt{\frac{k+2k'}{m}}
ω1\omega_1に対応する場合:
(k+kmω12)C1kC2=0(k+k' - m\omega_1^2)C_1 - k'C_2 = 0
(k+kk)C1kC2=0(k+k' - k)C_1 - k'C_2 = 0
kC1kC2=0k'C_1 - k'C_2 = 0
C1=C2C_1 = C_2
このとき、2つの質点は同じ方向に同じ振幅で振動する。
ω2\omega_2に対応する場合:
(k+kmω22)C1kC2=0(k+k' - m\omega_2^2)C_1 - k'C_2 = 0
(k+kk2k)C1kC2=0(k+k' - k - 2k')C_1 - k'C_2 = 0
kC1kC2=0-k'C_1 - k'C_2 = 0
C1=C2C_1 = -C_2
このとき、2つの質点は逆方向に同じ振幅で振動する。
(d) 連成振動の一般解
一般解は、2つの基準振動の線形結合で表される。
x1(t)=Asin(ω1t+α)+Bsin(ω2t+β)x_1(t) = A\sin(\omega_1 t + \alpha) + B\sin(\omega_2 t + \beta)
x2(t)=Asin(ω1t+α)Bsin(ω2t+β)x_2(t) = A\sin(\omega_1 t + \alpha) - B\sin(\omega_2 t + \beta)
ω1ω2\omega_1 \neq \omega_2なので、2つの周期運動が重なり合い、うなりが生じる。

3. 最終的な答え

(a) 運動方程式:
mx1¨+(k+k)x1kx2=0m\ddot{x_1} + (k+k')x_1 - k'x_2 = 0
mx2¨+(k+k)x2kx1=0m\ddot{x_2} + (k+k')x_2 - k'x_1 = 0
(b) 特性方程式:
((k+k)mω2)2(k)2=0((k+k') - m\omega^2)^2 - (k')^2 = 0
(c) 基準角振動数:
ω1=km\omega_1 = \sqrt{\frac{k}{m}}, ω2=k+2km\omega_2 = \sqrt{\frac{k+2k'}{m}}
ω1\omega_1のときC1=C2C_1 = C_2 (同位相)、ω2\omega_2のときC1=C2C_1 = -C_2 (逆位相)
(d) 2つの基準振動の重ね合わせにより、うなりが生じる。

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