$n$次正方行列 $A = [a_{ij}]$ が上三角行列であるとき、$a_{ij} = 0$ ($i > j$) である。上三角行列の和、差、積が上三角行列であることを示せ。

1. 問題の内容

$n$次正方行列 $A = [a_{ij}]$ が上三角行列であるとき、$a_{ij} = 0$ ($i > j$) である。上三角行列の和、差、積が上三角行列であることを示せ。

2. 解き方の手順

(1) 和について:

$A=[a_{ij}]$ と $B=[b_{ij}]$ を上三角行列とすると、$i > j$ のとき $a_{ij} = 0$ かつ $b_{ij} = 0$ である。

$C = A + B$ とすると、$C = [c_{ij}] = [a_{ij} + b_{ij}]$ である。

$i > j$ のとき、$c_{ij} = a_{ij} + b_{ij} = 0 + 0 = 0$ となる。

したがって、$A + B$ は上三角行列である。

(2) 差について:

$A=[a_{ij}]$ と $B=[b_{ij}]$ を上三角行列とすると、$i > j$ のとき $a_{ij} = 0$ かつ $b_{ij} = 0$ である。

$D = A - B$ とすると、$D = [d_{ij}] = [a_{ij} - b_{ij}]$ である。

$i > j$ のとき、$d_{ij} = a_{ij} - b_{ij} = 0 - 0 = 0$ となる。

したがって、$A - B$ は上三角行列である。

(3) 積について:

$A=[a_{ij}]$ と $B=[b_{ij}]$ を上三角行列とすると、$i > j$ のとき $a_{ij} = 0$ かつ $b_{ij} = 0$ である。

$E = A \times B$ とすると、$E = [e_{ij}]$ であり、$e_{ij} = \sum_{k=1}^{n} a_{ik}b_{kj}$ である。

$i > j$ のとき、$e_{ij} = \sum_{k=1}^{n} a_{ik}b_{kj}$ を考える。

ここで、$k < i$ のとき、$i > j$ より $i > k$ であるので、$i > j$ なる $k$ に対して、$a_{ik}$ に関わらず $i>j$ ならば $a_{ik}=0$とは言えない。しかし、$k > j$ ならば、$b_{kj} = 0$ である。

したがって、$e_{ij} = \sum_{k=1}^{n} a_{ik}b_{kj} = \sum_{k=1}^{i-1} a_{ik}b_{kj} + a_{ii}b_{ij} + \sum_{k=i+1}^{n} a_{ik}b_{kj}$となる。

もし、$i > j$ なら、$j < i$ なので、$k > j$ なら $b_{kj}=0$。従って、$e_{ij} = 0$である。

したがって、$i > j$ のとき、$e_{ij} = 0$ となるので、$A \times B$ は上三角行列である。

3. 最終的な答え

上三角行列の和、差、積は上三角行列である。